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アクセスの多い記事

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全体ビュー(全期間)でアクセスの多い記事を集めました。アクセスの多い順に並べてあります。
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記事一覧

何も言わないでおく

何も言わないでおく

 今回は「簡単に引用できる短い言葉やフレーズほど輝いて見える」という話をします。内容的には、「有名は無数、無名は有数」という記事の続編です。

 前回の「名づける」の補足記事でもあります。

*「「神」という言葉を使わないで、神を書いてみないか?」

 学生時代の話ですが、純文学をやるんだと意気込んでいる同じ学科の人から、純文学の定義を聞かされたことがありました。

 ずいぶん硬直した考えの持ち主

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人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

 今回は「立体人間と平面人間」の続きです。それぞれが別の方向をむいた言いたいこと(断片)がたくさんあり、まとまりのない文章になっています。申し訳ありません。

 お急ぎの方は最後にある「まとめ」だけをお読みください。

人間椅子から「人間椅子」へ
 江戸川乱歩の『人間椅子』の文章は朗読に適していると思います。音読してすらすらと頭に入ってくる文体で書かれているのです。特に難しい漢語が使われているわけ

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まなざし、目差し、眼差し

まなざし、目差し、眼差し

 私は言葉を転がすのが好きです。眠れない夜とか、昼間にぼーっとしているときにやっています。

 具体的に言うと、次のように連想にうながされる形で言葉を並べていくのです。

 まなざし、目差し、眼差し、なざし、名指し、名付ける

 よく記事の中でも、言葉を転がしています。あれは記事を書きはじめたり、書きつづけるために、取っ掛かりを探しているのです。見切り発車で記事を書くので、どうしてもそうなります。

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【小話集】似ている、そっくり、同じ

【小話集】似ている、そっくり、同じ

 今回の記事はとても長いです。太文字のところだけに目をとおしても読めるように書いていますので、お試しください。なお、小話間で重複があるのは、そこが大切だという意味ですので、どうかご理解願います。

【小話0】
 似ている、そっくり、ほぼ同じ、同じ、同一を体感するのには、刻々と変っていく時計――アナログでもデジタルでも日時計でも腹時計でもいいです――を見つめたり、耳を傾けたり、触れたり、目をつむって

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「ここには何もない」という「しるし」

「ここには何もない」という「しるし」

space・空間・空白、sense・方向・意味、order・順序・序列
*「空白・区切り・余白」の捏造

 蓮實重彥『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』所収の「Ⅰ肖像画家の黒い欲望――ミシェル・フーコー『言葉と物』を読む」を読んでいて頭に浮ぶのは、英語の「space」と、その語義である「空間」と「空白」です。

 簡単に言うと、

・「空間」とは現実の立体に「ある」もの、または「感じられる」もの
で、

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名づける

名づける

 前回に引きつづき、今回も、蓮實重彥の『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』の読書感想文です。

 引用にさいしては、蓮實重彥著『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』(河出文庫)を使用していますが、この著作は講談社文芸文庫でも読めます。

*あとで名づける、とりあえず名づける

 蓮實重彥の『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』を読んでいると、「名づける」、「命名する」、「名」という言葉が目につきます。目につく箇所

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うつす、ずれる

うつす、ずれる

 今回は「何も言わないでおく」の続きです。見出しのある各文章は連想でつないであります。緩やかなつながりはありますが、断章としてお読みください。

 断片集の形で書いているのは体力を考慮してのことです。一貫したものを書くのは骨が折れるので、無理しないように書きました。今後の記事のメモになればいいなあと考えています。

書く、描く
「書く」のはヒトだけ、ヒト以外の生き物や、ヒトの作った道具や器械や機械

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読みやすさについて

読みやすさについて

 今回は、「読みにくさについて」に引き続き、執筆中の記事の一部を独立させて、先に投稿することにします。これは体調が良くないための措置で、全体を一気に書こうとして無理をしないようにとの配慮からです。

 現在執筆している記事のタイトル(仮題)は「sense・意味・方向、order・順序・序列、space・空間・空白」です。前回の「読みにくさについて」では「sense・意味・方向、order・秩序・序

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表、目、面

表、目、面

 今回の記事は、「立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)」と「「タブロー、テーブル、タブラ(『檸檬』を読む・02)」」の続きです。

 見出しのある文章は連想でつないであります。緩やかなつながりはありますが、断章としてお読みください。

表、表裏、裏表
 表。ひょう。おもて。あらわす。あらわれる――。

 表を分けてみると、このような言葉とイメージがあらわれてきます。

 いま私が興味を持ってい

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エッセイ、一人称の小説、三人称の小説

エッセイ、一人称の小説、三人称の小説

 今回は、古井由吉のエッセイと小説を紹介します。

 前回の記事でお知らせしましたように、しばらくnoteでの活動をお休みして読書に専念するつもりでいたのですが、気になる下書きが複数あるので、ペースをうんと落として投稿する方向に気持ちが傾いてきました。ふらふらして申し訳ありません。

◆雪の描写
 古井由吉が金沢大学の教員として金沢に住んでいたころを回想した文章を読んでいて、感動したことがあります

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立体人間と平面人間

立体人間と平面人間

 今回の記事は、「立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)」と「「タブロー、テーブル、タブラ(『檸檬』を読む・02)」」の続きです。

◆立体と平面 自分には立体の時と平面の時があるような気がします。正確に言えば、自分を立体として意識している時と平面として意識している時があるのです。

 入浴中なんかは自分が立体だとつくづく感じます。なにしろ自分の体を自分の手を使って洗っているのです。自分の手の皮

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わける、はかる、わかる

わける、はかる、わかる

 本記事に収録した「同一視する「自由」、同一視する「不自由」」と「「鏡・時計・文字」という迷路」は、それぞれ加筆をして「鏡、時計、文字」というタイトルで新たな記事にしました。この二つの文章は以下のリンク先でお読みください。ご面倒をおかけします。申し訳ありません。(2024/02/27記)

     *

 今回の記事は、十部構成です。それぞれの文章は独立したものです。

 どの文章も愛着のあるも

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長いトンネルを抜けると記号の国であった。(連想で読む・02)

長いトンネルを抜けると記号の国であった。(連想で読む・02)

「「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」(連想で読む・01)」の続きです。

連想を綴る この三文は私にいろいろな連想をさせ、さまざまな記憶を呼びさましてくれます。

・「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

 約物である句点も入れると二十一文字のセンテンスをめぐっての連想を、前回は書き綴りました。

 今回は、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号

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読みにくさについて

読みにくさについて

 ある記事を書こうとしていて、ある部分が長くなってきたので、そこだけを記事にすることにしました。以前なら多少長くなっても強引に記事にしたのですが、このところ体力が落ちているので、無理をせずに別の記事にします。

文章の特徴
 蓮實重彥の文章を読んでいて感じる特徴はいくつかありますが、なかでも私が目を惹かれるのは以下の四つです。

1)音声化できない文章の要素である約物の使用。

⇒「立体、平面、空

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