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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2022年12月の記事一覧

立ちはだかる「金利の壁」。- 世界経済は何%まで耐えられるのか。

立ちはだかる「金利の壁」。- 世界経済は何%まで耐えられるのか。

 バタバタと売買いが繰り返される中、気が付くと結構国債の金利が上がっている。ドイツは@2.5%を超え、フランスが@3%台、スイスも@1.5%、かつての「高金利国」イタリア、ギリシャ、オーストラリアも@4%台。

 その割には堅調さを保っている株式市場だが、「金利」「インフレ」が強力なライバルとして急浮上する中、単に値が上がればいいと言う訳でもない。ファンドは「金利」やCPI、e.g., アメリカ@

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一味違うクリスマス2022。

一味違うクリスマス2022。

 今年も無事(?)クリスマスが終わったが、2022年のそれはどこか情景が違って見えた。皆さんのところはどうだっただろうか。

 大雪で大変な方には申し訳ないが、12/24,25共に東京は本当にいい天気。驚いたのは人出の多さだ。今年のイブは土曜日で、所要があって午前中に都心方面へ電車で出掛けたのだが、何とギュウギュウ詰めの満員。プレゼントでも買って貰うのか、それともお食事なのか、これだけの人が一体ど

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粘着質なアメリカ経済の「需要」「インフレ」 vs 「ゼロ金利」の泥沼にはまり込む中国。

粘着質なアメリカ経済の「需要」「インフレ」 vs 「ゼロ金利」の泥沼にはまり込む中国。

 昨日(12/23)のPCE、新築一戸建て住宅販売 ↑ を見て、いつものことながら改めてアメリカ経済の「需要」と「インフレ」の根強さを痛感させられる。PCEは確かに低下傾向だが、それでもまだ@+5%台。物価連動債(TIPS)が示すBEI(予想物価率)の+2.2~2.3%には程遠い。

 住宅市場も30年ローン金利が@7%を割っただけで息を吹き返すのだから、前稿 日本人にとっての「最適投資」2023

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日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。

日本人にとっての「最適投資」2023。- 円金利上昇で狭まる選択肢。

 日本人にとっての「最適投資」は...。 ー 2022年に儲かったのは誰?|損切丸|note からの繋がりとして。

 ようやく終わる ”狂気のバズーカ時代” → 本格化する世界の「QT」(量的引締)。|損切丸|note は個人的には良かったと思うが、いざ「日本人の投資」で考えると複雑な思い。

 2021年までは分かり易い「円安」「株高」がトレンドで海外株を「ガチホ」すれば鉄板だったが、2022

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「黄門様」はもういらない。

「黄門様」はもういらない。

 「選挙と金融政策だけはウソをついてもいい」

 筆者が駆出しの頃、マーケットではこう嘯かれていた。だから78歳の黒田総裁にとっては昨日(12/20)の「サプライズ」は半ば当たり前。さしずめ「黄門様」が正体を明かして「控えおろう!」と「印籠」を出したようなもの。何で文句を言われないといけないのかピンとこなかったかもしれない。

 おっと、30代以下の方には「水戸黄門」シリーズを知らない方がいるかも

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ようやく終わる ”狂気のバズーカ時代” → 本格化する世界の「QT」(量的引締)。

ようやく終わる ”狂気のバズーカ時代” → 本格化する世界の「QT」(量的引締)。

 「損切丸」もよもやこのタイミングは予期していなかったが、*FXも株も完全に虚を突かれた。本日12/20の日銀政策決定会合でYCC( Yield Curve Control )の上限を@0.25% → @0.50%に+0.25%拡大。どこかのメディアも報じていたが、実質的「利上げ」(小幅)である。

 バタバタしているが(苦笑)ここは深呼吸して要点をまとめてみる:

 こうやって2.国債買入の減額

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中国経済失速に脅える ”デフォルト予備軍” -「資金繰り危機」は突然訪れる。

中国経済失速に脅える ”デフォルト予備軍” -「資金繰り危機」は突然訪れる。

 ↑ 標題添付の「セディ」、どこの通貨かお判りだろうか。筆者も知らなかったがアフリカ・ガーナの法定通貨だ。FXで1ドル=@15セディに急騰(セディ安)から@10割れに戻ったと安心していたら、あっという間に「デフォルト」。もしFXで手張りしていれば、まさに「天国と地獄」。

 おそらくセディ急回復はIMFによる救済が主因だが、1週間も経たないうちに暗転。まあ55億ドル≓7,500億円程度の債務で国外

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やっと動き出す ”低金利の巨人” 。- アルゼンチンの二の舞を避けるために。

やっと動き出す ”低金利の巨人” 。- アルゼンチンの二の舞を避けるために。

 先週末(12/17土)にこの報が出てビックリした市場関係者が多かったかもしれない。「増税」ばかりが先行する現政権で、初めて「お金」を国民に還元させる政策「利上げ」。最も影響を受けたのはドル円 ↓ だろう。

 ただJGB(Japanese Government Bond、日本国債)をじっくり見てきた「損切丸」にはその "臭い" はしていた。主な理由は2つ:

 ①じわじわと上昇していた5年JGB

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「逆鞘」の金利市場をどう生き抜くのか。- 「安定収益」を失う銀行。 

「逆鞘」の金利市場をどう生き抜くのか。- 「安定収益」を失う銀行。 

 「逆イールド」は苦しみのサイン。- 一方的「金利上昇相場」からの大転換。|損切丸|note を参考にお読み頂きたい。

 「損切丸」では何度か*長短の金利差を利用した「ギャッピング・トレード」(Gapping Trades)について説明してきたが、これは世界中の銀行にとって「安定収益」の柱になる。

 同様の取引を金利市場でも行うが、困ったことに米国債は1~30年どの年限を買ってもO/N@4.3

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FRBの "本音" 。マーケットの "願望" 。

FRBの "本音" 。マーケットの "願望" 。

 前稿.「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの? Ⅲ - 米CPIの中味。|損切丸|note でFRBの "本音" について述べたが、「損切丸」の見立てはそれ程ずれてはいない。FED Dot Plot ( ↑ 標題添付)を見るとターミナルレート@5~5.5%の理事も数人おり、@4.75%止まりですぐ「利下げ」転換を "要求" しているマーケットに釘を刺した印象だ。

 これを受けて米国債はやや売

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「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの? Ⅲ - 米CPIの中味。

「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの? Ⅲ - 米CPIの中味。

  続・「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの? - 今回のパウエル発言は "とても大事" 。|損切丸|note からの再・続編。

 11月の米CPIが "期待通り" 低下し、米国債は特に2~5年債が一時▼0.2%以上低下。「逆イールド」は修正、10-30年も「順イールド」に戻った。

  "ターミナルレート" (FRBの政策金利到達点)は@5%→@4.75%に低下。一部のエコノミストは2月に

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コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?(続編)

コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?(続編)

 2年半前(2020.5.11)の投稿 コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?|損切丸|note で恐縮だが、「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?について1つの答えが出てきた。

 国際政治の状況は単純化出来るものではないが、「アメリカ側」と「中国側」で色分けすれば、最新はこんな感じになる ↓ 。

 この30年間で進んできた「グローバル分業」の流れが「コロナ危機

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常に必要な ”ブーム” ”バブル” - 1番困るのはマーケットが動かない事。

常に必要な ”ブーム” ”バブル” - 1番困るのはマーケットが動かない事。

 「今度は1周回ってまた中国株か...。」

 「損切丸」を時系列で整理してみた。|損切丸|note 「損切丸」を時系列で整理してみたⅡ。ー「過剰流動性」フローの変化。|損切丸|note 辺りを参考に読んで頂きたいが、とにかく人間は "懲りない動物" 。

 「俺たちは "低金利" "過剰流動性" が好きなんだ!」 Ⅱ 。 ー 日米欧、その "優先順位" の違いとは...。|損切丸|note とい

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続・アメリカの需要は本当に弱まっているのか? - 中古車、木材、エネルギー、etc., etc.

続・アメリカの需要は本当に弱まっているのか? - 中古車、木材、エネルギー、etc., etc.

 アメリカの需要は本当に弱まっているのか? - 裏で進行する「脱炭素戦争」。|損切丸|note の続編。

 マーケットはどうしても雇用統計やCPIなど代表的な指標を追ってしまう習性があるが、実はどちらも遅効性指標。「将来価値」を取引する株やFXでは思ったより役に立たない。 ”確定した事実” を伝える傾向のあるメディアの報道が ”市場動向ありきの後付け" になってしまうのもそのせい。

 今回注目

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