損切丸

福島県郡山市出身。「お金」に特化した note. 邦銀から英系投資銀行へ転職、欧州通貨…

損切丸

福島県郡山市出身。「お金」に特化した note. 邦銀から英系投資銀行へ転職、欧州通貨危機、リーマンショック、東日本大震災等に直面しながら何とか20数年生き延びた。後年は円の責任者として日銀、金融庁、財務省等ともやり取り。銀行間市場の金利取引の元専門家としての見解をご参考までに

マガジン

  • 「損切丸」ー 金利編

    かつて「金利」を専門としていた「損切丸」がマーケットでの専門知識を生かして書いたnote。

  • グローバル&地方編

    世界各地や日本各地を眺めてみて経済面から考えた note。

  • 「損切丸」- 「株・為替編」

    「損切丸」から株、為替のマーケットに焦点を当てた note。

  • 「損切丸」-「日銀」編

    「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。

  • 「損切丸」ー「クライシス(危機)」編

    数年に一度マーケットを襲うクライシス(危機)。「損切丸」が実際に経験したことをベースに市場動向や分析をまとめた note。

最近の記事

  • 固定された記事

「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介

 筆者は大学卒業後日本の大手都市銀行に入行。バブル全盛の頃は銀行業務の花形とまで謳われたディーリングルームで外貨の資金、金利取引に関わった。7年程勤めた後、外資系金融機関の東京支店に転職。いわゆる投資銀行業務で資金調達や金利トレーディングに22年間に渡って従事し、後年は日本円のグローバルな責任者として当局である日本銀行や金融庁、財務省とのやり取りを多くこなすことになった。  合計29年マーケット関連の仕事をこなす中、湾岸戦争、欧州通貨危機、アジア通貨危機、リーマンショック、

    • 米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ

       米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)  続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編  昨日(5/2)東京時間早朝、意表を突いた「ドル売円買介入」で▼4円程急落した時、置いておいた買いオーダーがついて喜んだトレーダーもいただろう。その後@157円台まで戻して喜んだのも束の間、ドル円はジリジリ値を下げ翌日(5/3)には一時@153円割れ。「なぜ上がらないんだ?」やきもきしたことだろう  そういう時に限って 続・「行って欲しくない

      • FXの「需給」ー「外国為替特別会計」とは何者なのか

         久しぶりに「介入」が入ってネットでも議論が喧々諤々渦巻いているので、ここは1つその "基本的な枠組み” についてお復習いしてみよう  日本の「為替介入」の所管は財務省為替資金課であり、日銀はその指示に基づいて取引を執行する。その中心にあるのが「外国為替特別会計」だ  「ドル買円売介入」( ↑ 標題図)の取引手順は次の通り:  取引額1,000万ドル(10本)、ドル円@107円で換算  筆者の記憶では約1兆ドルの「介入」平均単価は@107円近辺だったのでここで換算レー

        • 「金利」より「量」ー 「ドル高」の脅威に対処する ”国際協調” の枠組み

           政治的配慮が強すぎて 2021年12月の パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) まで「利上げ」が遅れて以来、あまりパウエル議長を信用していない「損切丸」。だが今回のFOMCの決定には頷ける点が多い  メディアは議長の「利上げ」否定をヘッドラインに持ってきた(その方が分かり易いから)が、今回のポイントはQT(量的引締)の減額 ↓  FXやドル円では「金利差」「金利差」と喧しいが、「過剰流動性」がマーケットを蹂躙してきたこの20年の相場に鑑みれば「

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        「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ1  筆者の自己紹介

        マガジン

        • 「損切丸」-「日銀」編
          527本
        • 「損切丸」- 「株・為替編」
          843本
        • グローバル&地方編
          774本
        • 「損切丸」ー 金利編
          873本
        • 「損切丸」ー「クライシス(危機)」編
          307本
        • 「お金のマニュアル」
          324本

        記事

          思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

           「介入」の有無を調べる時に日本では便利な方法がある。コール市場等の取引を媒介している短資会社は毎日精緻な「日銀当座預金」の増減予想を出しているが、5/1の「財政要因」は従来の▼2兆円から▼7.5兆円に修正。これにより5.5兆円規模の「介入」があったと推定されている  財務省管轄の「外為特会」は150兆円程( ↑ 標題添付)だが、このうち「介入」にすぐ使える「ドル」は「外貨当座預け預金」の11兆円程度。だから今回はその半分を使ってしまったことになる。つまりもう1回同規模の介

          思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

          国民が背負う「荷物」Ⅲ ー 今度は「インフレ税」という "重税"

           国民が背負う「荷物」。|損切丸 (note.com)  続・国民が背負う「荷物」。|損切丸 (note.com) からの続編  税金+社会保険料を合わせたいわゆる「国民負担率」が50%に達し重税苦に喘ぐ日本国民だが、財政赤字を加味すると「6公4民」という試算もある。ここまで来るとさすがに政府もこれ以上負担を引き上げるのには無理があり、選挙で負けるなど政治的に難しくなってきた  そこで浮上したのが「円安」を起点とする「インフレ税」。全ては「国債の利息を払いたくない」≓「財

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          「円」を買う理由が見当たらない

           日銀の政策変更無しを受けて「円売り」に拍車。” Ms. Watanabe" =FXの個人トレーダーは「介入」期待で「ドル円」を逆張りで売っていた(円買い)ようだから「損切り」で値が飛んだように見える  植田総裁のこの発言に恨み節を言うトレーダーも多かろう。だが筆者は実は同意見。「円安」は「インフレ」の根本原因ではない。日米欧とも "根っこ" はベビーブーマー引退に伴う人口動態の変化=「人手不足」である  ただこれは学者出身者特有の素直さというか、市場心理に疎い部分でも

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          「高金利時代」再び? - 「インフレ」>「景気減速」の金融政策

           PMIの減速で 「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」|損切丸 (note.com) と期待した矢先、あっさり "芽" を摘まれた。やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com)   これを受けて米国債のフラットニング(平坦化)が進み、年内の「利下げ」はほぼ消滅。それどころか「再利上げ」まで心配になって来た  景気が減速する中での物価上昇はまさに「スタグフレーション」の様相を呈してきたが、金融政策の教科書的には「インフレ」>「景

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          ”みんなと一緒” では乗り切れない - 日本人はもっと「リスク」について勉強した方がいい

           イギリス人の同僚がよく使っていた言葉だ。 "No Risk & No Return" "High Risk & High Return" と言い換えてもいい。相場や投資はこの一言に集約される。だから ”Challenge" (挑戦)が推奨される  ところが日本人はどうも様相が違う。極端に言うなら:  「団塊の世代」を中心にこう言う感覚が染みついている。推奨されるのは ”みんなと一緒” 。起きた結果は常に ”誰かのせい” でいつも政府が、日銀がと騒ぎ立てる。ろくに選挙も行

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          「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

           PMIの大幅な減少は昨年8月以来でやや意外感があった。価格や雇用指数を見ても、まんべんなく ”景気減速” が見て取れ、これが真のトレンドになるならようやく「利下げ」の ”芽” が吹いた事になる  これを受けて米国債も全般に買われ年内「利下げ」シナリオも徳俵に足が掛かった状態で持ち堪えた。ここまで金利上昇が急だっただけに当然の小休止とも言える  これを諸手を挙げて歓迎したのが株式市場。「マグニフィセント7」も含めようやく反発、” Sell in May" (5月に売れ)を

          「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

          「インフレ」は成長する - イギリス、アメリカの経済史に学ぶ

           現在こう呼ばれているのはドイツだが、1960~1970年代にはイギリスの呼称だった。歴史を振り返ってみるとかなり悲惨  1973〜1974年の第1次オイルショックをきっかけにイギリスは経済の停滞と物価の上昇が共存する「スタグフレーション」に陥った。失業率は増大、原材料費と賃金の高騰が原因となって生産性が低下し通貨ポンドの価値は下落。にもかかわらず、国際収支は改善しなかった  何だかどこかの国で今起きている事のような…  ちなみに1970年代は所得税の最高税率が83%(

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          まるで ”モグラ叩きゲーム” - 苦しむファンド・トレーダー

           参照: 溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...|損切丸 (note.com)  "積み上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較|損切丸 (note.com)  「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com)  最近の相場を見ていて「損切丸」の正直な感想。NYダウやナスダックが調子が悪くなると「日経平均」や独DAX、それも駄目だと英F

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          どうした?「マグニフィセント7」

           参考: 米国「株」本当に強い? - ”マグニフィセント7” その影響力は?|損切丸 (note.com)  最近ナスダックの調子が悪い。元々NYダウも上値が重かったがこれで双方とも年初来の上げをほとんど消してしまった。いかに(税還付の影響による) " Sell in May" (5月に売れ)だとしてもちょっと異様。主因は:  どうした?「マグニフィセント7」  何れも時価総額1兆ドルを超えるアメリカのモンスター企業だが、直近の売られ方が激しい。EV(電気自動車)の不調

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          それでも受験生は「医学部」を目指す?

           今回はちょっと趣向を変えて「お医者さん」の話  親戚筋に医療・病院関係者がいるので色々な話を見聞きするが、今や大学受験は空前の「医学部」ブーム。特に費用の格安な国公立は地方大学でも大人気で、偏差値でいうと東大に入れるぐらいの実力が必要らしい  そうなると選択肢として私立大学も入ってくるが、これが相当「高い」。「医学部」専門塾なるものが流行っているが有名所は年間数百万円かかる。入学後は授業料だけで6年間で数千万円かかるのはザラで、これに遠隔地なら家賃に数百万円、臨床研究や

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          「利上げ」が先か「株安」が先か - 「投機」は「円安」ではなく「日経平均」?

           「利下げ」が先か「株安」が先か|損切丸 (note.com) ではアメリカとFRBの事を書こうと思ったが、それより先にまさか「日経平均」がここまで落ちるとは...。完全に想定外(ごめんなさい)。これでは日本版:「利上げ」が先か「株安」が先かになってしまう  今回の急落にはいくつか背景が考えられる  まず "主役" はファンドを中心とした海外勢だろう。「新NISA」の「お金」も入っているだろうが「オルカン」(オールカントリー)やS&Pが人気だった事を考慮すると国内勢の "

          「利上げ」が先か「株安」が先か - 「投機」は「円安」ではなく「日経平均」?

          "積み上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較

           このところの日経平均の急落で「新NISA」を始めたばかりの方はマーケットからの "洗礼" を浴びているが、こういう時だからこそ「自分自身との対話」を深めて頂きたい。危機に直面した時①我慢する②ムキになって刃向かう③一旦「損切り」して出直す④横を向いて見ないようにする、等人それぞれ。最後の④だけは感心しないが自分の心がどう動いているかは判るだろう  日本人はとかくドル円や日経平均に目が向きがちだが、このところマーケットの至る所で "異変" が起きている。犯人はパウエル議長。

          "積み上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較