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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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記事一覧

マーケットは「円」を中心に回っている?

マーケットは「円」を中心に回っている?

 最近こういう動きに気付いた。BTCは円建てで900万円を下値抵抗線にして1,000万円を軸に動いているように見える(標題グラフは6ヶ月チャート)。WTI(NY原油先物)然りで、こちらは@12,000円絡み。どちらも年初来の円建て運用成績はダントツの1.2位

 マーケットは「円」を中心に回っている?

 確かに様々な兆候はある。まずはFX。FRBに金融政策の歩調を合わせているユーロ、ポンドのボラ

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続・FXの「需給」ー「円買介入」も「利上げ」「テーパリング」も市場の「円」を吸収する効果は同じ

続・FXの「需給」ー「円買介入」も「利上げ」「テーパリング」も市場の「円」を吸収する効果は同じ

 FXの「需給」ー「外国為替特別会計」とは何者なのか|損切丸 (note.com) の続編

 ゴールデンウィーク中の「円買介入」警戒もあって先週末(5/3)の弱い米雇用統計後には@151円台まで突っ込んだ「ドル円」だが、連休最後の今日(5/6)、気が付けばまるでゴムのように@154円台まで戻った。まさに  思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.

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米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ

米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ

 米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
 続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編

 昨日(5/2)東京時間早朝、意表を突いた「ドル売円買介入」で▼4円程急落した時、置いておいた買いオーダーがついて喜んだトレーダーもいただろう。その後@157円台まで戻して喜んだのも束の間、ドル円はジリジリ値を下げ翌日(5/3)には一時@153円割れ。「なぜ上がらな

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FXの「需給」ー「外国為替特別会計」とは何者なのか

FXの「需給」ー「外国為替特別会計」とは何者なのか

 久しぶりに「介入」が入ってネットでも議論が喧々諤々渦巻いているので、ここは1つその "基本的な枠組み” についてお復習いしてみよう

 日本の「為替介入」の所管は財務省為替資金課であり、日銀はその指示に基づいて取引を執行する。その中心にあるのが「外国為替特別会計」だ

 「ドル買円売介入」( ↑ 標題図)の取引手順は次の通り:
 取引額1,000万ドル(10本)、ドル円@107円で換算

 筆

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「金利」より「量」ー 「ドル高」の脅威に対処する ”国際協調” の枠組み

「金利」より「量」ー 「ドル高」の脅威に対処する ”国際協調” の枠組み

 政治的配慮が強すぎて 2021年12月の パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) まで「利上げ」が遅れて以来、あまりパウエル議長を信用していない「損切丸」。だが今回のFOMCの決定には頷ける点が多い

 メディアは議長の「利上げ」否定をヘッドラインに持ってきた(その方が分かり易いから)が、今回のポイントはQT(量的引締)の減額 ↓

 FXやドル円では「金利差」「金利差」

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思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

 「介入」の有無を調べる時に日本では便利な方法がある。コール市場等の取引を媒介している短資会社は毎日精緻な「日銀当座預金」の増減予想を出しているが、5/1の「財政要因」は従来の▼2兆円から▼7.5兆円に修正。これにより5.5兆円規模の「介入」があったと推定されている

 財務省管轄の「外為特会」は150兆円程( ↑ 標題添付)だが、このうち「介入」にすぐ使える「ドル」は「外貨当座預け預金」の11兆

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国民が背負う「荷物」Ⅲ ー 今度は「インフレ税」という "重税"

国民が背負う「荷物」Ⅲ ー 今度は「インフレ税」という "重税"

 国民が背負う「荷物」。|損切丸 (note.com)
 続・国民が背負う「荷物」。|損切丸 (note.com) からの続編

 税金+社会保険料を合わせたいわゆる「国民負担率」が50%に達し重税苦に喘ぐ日本国民だが、財政赤字を加味すると「6公4民」という試算もある。ここまで来るとさすがに政府もこれ以上負担を引き上げるのには無理があり、選挙で負けるなど政治的に難しくなってきた

 そこで浮上した

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「円」を買う理由が見当たらない

「円」を買う理由が見当たらない

 日銀の政策変更無しを受けて「円売り」に拍車。” Ms. Watanabe" =FXの個人トレーダーは「介入」期待で「ドル円」を逆張りで売っていた(円買い)ようだから「損切り」で値が飛んだように見える

 植田総裁のこの発言に恨み節を言うトレーダーも多かろう。だが筆者は実は同意見。「円安」は「インフレ」の根本原因ではない。日米欧とも "根っこ" はベビーブーマー引退に伴う人口動態の変化=「人手不

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「高金利時代」再び? - 「インフレ」>「景気減速」の金融政策

「高金利時代」再び? - 「インフレ」>「景気減速」の金融政策

 PMIの減速で 「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」|損切丸 (note.com) と期待した矢先、あっさり "芽" を摘まれた。やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) 

 これを受けて米国債のフラットニング(平坦化)が進み、年内の「利下げ」はほぼ消滅。それどころか「再利上げ」まで心配になって来た

 景気が減速する中での物価上昇はまさに「ス

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 ”みんなと一緒” では乗り切れない - 日本人はもっと「リスク」について勉強した方がいい

”みんなと一緒” では乗り切れない - 日本人はもっと「リスク」について勉強した方がいい

 イギリス人の同僚がよく使っていた言葉だ。 "No Risk & No Return" "High Risk & High Return" と言い換えてもいい。相場や投資はこの一言に集約される。だから ”Challenge" (挑戦)が推奨される

 ところが日本人はどうも様相が違う。極端に言うなら:

 「団塊の世代」を中心にこう言う感覚が染みついている。推奨されるのは ”みんなと一緒” 。起き

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「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

 PMIの大幅な減少は昨年8月以来でやや意外感があった。価格や雇用指数を見ても、まんべんなく ”景気減速” が見て取れ、これが真のトレンドになるならようやく「利下げ」の ”芽” が吹いた事になる

 これを受けて米国債も全般に買われ年内「利下げ」シナリオも徳俵に足が掛かった状態で持ち堪えた。ここまで金利上昇が急だっただけに当然の小休止とも言える

 これを諸手を挙げて歓迎したのが株式市場。「マグニ

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「インフレ」は成長する - イギリス、アメリカの経済史に学ぶ

「インフレ」は成長する - イギリス、アメリカの経済史に学ぶ

 現在こう呼ばれているのはドイツだが、1960~1970年代にはイギリスの呼称だった。歴史を振り返ってみるとかなり悲惨

 1973〜1974年の第1次オイルショックをきっかけにイギリスは経済の停滞と物価の上昇が共存する「スタグフレーション」に陥った。失業率は増大、原材料費と賃金の高騰が原因となって生産性が低下し通貨ポンドの価値は下落。にもかかわらず、国際収支は改善しなかった

 何だかどこかの国

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まるで ”モグラ叩きゲーム” - 苦しむファンド・トレーダー

まるで ”モグラ叩きゲーム” - 苦しむファンド・トレーダー

 参照: 溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...|損切丸 (note.com)
 "積み上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較|損切丸 (note.com)
 「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com)

 最近の相場を見ていて「損切丸」の正直な感想。

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「利上げ」が先か「株安」が先か - 「投機」は「円安」ではなく「日経平均」?

「利上げ」が先か「株安」が先か - 「投機」は「円安」ではなく「日経平均」?

 「利下げ」が先か「株安」が先か|損切丸 (note.com) ではアメリカとFRBの事を書こうと思ったが、それより先にまさか「日経平均」がここまで落ちるとは...。完全に想定外(ごめんなさい)。これでは日本版:「利上げ」が先か「株安」が先かになってしまう

 今回の急落にはいくつか背景が考えられる

 まず "主役" はファンドを中心とした海外勢だろう。「新NISA」の「お金」も入っているだろう

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