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続・”Cash is King" → "王" の帰還 ー 「適正値」へ修正の動き

 ” Cash is King" → "王" の帰還 ー 鍵を握る米国債の「イールドカーブ」|損切丸 (note.com) なんて note. を書いた後だけに「始まったか...」と感じてしまうが、何しろドル円もエヌビディアもビットコイン(BTC)も揃って急落WTI(NY原油先物)も一時@70ドル割れとボロボロ。こう言う時「お金」の動きを知らせるのは「FX」と「金利」になる

 元々5月に次いで9月は株の売りが出やすい月なのである程度覚悟はしていたが、せっかく一時@39,000円を回復した日経平均も▼1,000円以上下落でまた "やり直し" の体。植田総裁の発言米ISM製造業指数 ↓ が材料視されているがどちらも説得力に欠ける。JGBに至ってはほとんど金利は動いておらず、単純に「お金」が動いたと考える方が合理的だ

 8月ISM製造業指数 47.2 予想 48.6 前月 46.8
 *雇用指数 46.0 予想 41.8 前月 43.4
 *新規受注指数 44.6 予想 48.6 前月 47.4

 「FX」と言ってもユーロやポンドはあまり動いておらずもっと具体的には「ドル円」。つまり "王" =「円」であり、まだ「円キャリートレード」の残骸の「損切り」が続く。加えて一時@147円台に戻したように 続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー  きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達" |損切丸 (note.com) も健在。これだけ何でもかんでも売られればそれしか儲ける方法がないのだろう。「レパトリ」(損失穴埋めのための換金売り)で "虎の子" BTCも売らざるを得なくなっている

 これで判断が難しくなったのが「株本位制金融帝国」アメリカの守護神FRB。状況によっては9月FOMC@9/18で▼0.50%「利下げ」のカードを切る事も有り得るが、悩ましいのはそれが米景気悪化を印象づけてしまう点。更に厄介なのは「ドル安」を誘発すれば状況が悪化する可能性がある

 おそらく筆者同様、FRBも日銀も現在のマーケットの状況を「適正値」への修正と捉えており「利上げ」も「利下げ」も急ぐ必要がない。むしろ中央銀行が慌てふためくのは「信用」の問題に関わるので好ましくない。幸い両者とも時間に余裕があるので「中立金利」は急がないだろう

 考えようによっては新たに「新NISA」を始める人にとってはチャンスになり得る。前回日経平均が@31,000円台に急落した時に買いぞびれた人にとっては思わぬ機会到来

 そして "王" =「円」の帰還にとって重要なのは海外に企業が残している莫大な「経常利益」の動き「円安」が続くうちはドル等で保有しているのが有利だが@160円台でトップを打てば「利食い」≓「円転」の機会を窺うことになる。日銀が「利上げ」に舵を切った時点で政府から "耳打ち" されているだろうから、徐々に効いてくる。具体的に日本への投資計画が無くても「自社株買い」という方法もあり、筆者が日本株をそれほど心配していないのはこのキャッシュフローの変化を推定できるからだ

  ” Cash is King" → "王"=「お金」の威力は絶大

  ” Where is MONEY!! " (お金はどこだ!!)

 これは2008年「リーマンショック」時の「資金会議」の一コマ。今では笑い話だがロンドンのドル担当者が叫んでいたのを忘れられない。「お金」が取れなければどんな大銀行でも倒産するわけで、その緊張感たるや(苦笑)この時は筆者が東京市場で1,000億円単位の「円」を取りまくって本店に送ったが、こと市場流動性という点で「円」の力は絶大サムライ債(非居住者による円建外債)の発行が相次ぐのもそのためで、投資銀行で「円」を担ってきた「損切丸」はそういう「お金」の動きで市場価格が急変動する様を何度も見てきた。今回の「円キャリートレード」騒ぎもそう

 ただ今日(9/4)の東京市場の動きを見ていると、マーケットも個人投資家も大分 ”暴落慣れ” してきている。名目値が上がれば1,000円単位の上下動はそれ程大事ではなく、まして今は30年近く続いた「超低金利」から脱出している最中。これも ”リハビリ” の一環であり避けられない "痛み"

 老婆心的にアドバイスすると、こういうマーケットでは慌てないこと。買いそびれたと思っても「エントリーポイント」はまたやってくるし、「損切り」も雰囲気に流されずに冷静に売り時を探せばいい。要は自分自身の ”平衡感覚” を保つことが肝要

 1つ心配なのは政治。今総裁戦の真っ只中だが、安易なバラマキ(含.減税)は厳に慎んでほしい。せっかく「適正値」に戻そうと ”リハビリ” しているのに「XXノミクス」とか「XXバズーカ」とかの再来はご勘弁。まあ「円安」「インフレ」の薬が効いているうちは無いとは思うが…

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