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インタラクションデザイナー。 デザインの講師。 X design, Inc.(http…

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インタラクションデザイナー。 デザインの講師。 X design, Inc.(http://www.x-design.co.jp/

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〈効果思考〉

1. 思考のかたちデザイン行為を考えるうえで、基本となる考えの枠組み/思考方法をしめしたい。職業的なデザイナーなら、ふつうに、ごく自然に、そのような仕…

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10か月前
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「生きのびるためのデザイン」

「生きのびるためのデザイン」(ヴィクター・パパネック 没1998) https://www.amazon.co.jp/gp/product/4794974132/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1 1…

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1か月前
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モノとコト/おくのほそ道

3年ほどまえ、芭蕉について読んで(*)、ああそういうことなんだ、とコネクティングドット事象があった。それは創造と表現ということに繋がることなんだが。 モノとコトにつ…

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4か月前
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モノとコト

モノとコトという対比構文が語られはじめたのは20年くらいまえだろうか。もっと前からだったかな。 大まかには、モノからコトへ、モノではなくコトが大切という流れの話し…

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4か月前
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心惹かれることのために

なぜデザインという仕事をしているのか。 なぜこのような文章を書いているのか。 じつはそれは自分の中ではかなりはっきりしている。 そのときどきの状況に流されたり、…

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9か月前
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ニコマコス倫理学

アリストテレス「ニコマコス倫理学」(山本芳久、100分で名著) アリストテレスは、つかみ所がないので避けていたけれど、この本によれば、あまりに自然であり普通の感覚…

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9か月前
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AIについて

AIについて、いろいろと驚いたり恐れたりしているが、今の自分の感じや考えを、いちおう書いておく。あとで答え合わせをするために。 (「あと」→たぶん50年後?) この…

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9か月前
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デザインと工学

1. 「デザイン」と「設計」“design”という言葉には、「設計」と「デザイン」という意味がある。なので両方にまたがる話しをしようとすると、いちいち「いわゆる」とか、…

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10か月前
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サピエンス全史2

第二部 農業革命第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇1万年前、サピエンスは狩猟採集から農耕へと生活スタイルを変えた。農耕と平行して家畜化がはじまったが、それらは要す…

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11か月前
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デザインは問題解決か?

「デザインは問題解決」という言い方がある。はじめて聞いたときから、個人的にはこの言い方はちょっと引っかかってモヤモヤしている。 これは捉え方によってどうとも応え…

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11か月前
2

サピエンス全史

もうかなり熟読しているが、少し時間ができたのでもう一度、ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」読み返す。至福だなぁ。 第一部 認知革命第1章 唯一生き延びた人…

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11か月前
7

◾️知ると作る

理系文系、それらと哲学について前回書いた。 理系は、世界を「知る」ために分割する、その分割の決まり・法則をさぐる。文系は、分けててもまだ残っている実際に存在する…

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11か月前
8

◼️理系文系、哲学

▪️理系文系 理系文系という分けかたは大学受験的だ。自分の時代は完全に二者択一な感じだったが、今は文理融合などといって昔ほどは乖離的ではないのは、いいことだと思…

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11か月前
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「目的」というドクサ2

「目的への抵抗」國分功一郎前回「目的」について書いた直後に、「目的への抵抗」を入手した。 自分はおもしろかった。視点はまったくちがうが、自分がいいたかったことと…

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1年前
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「目的」というドクサ

理由探し 人は「理由」を求める。 ある事象が起きたとき、人はそのことの理由とは何かと思考する。そのことは自然だ。理由を知ればより適切で根本的な「対処/対応」が可…

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1年前
20

■第三言語革命

自分が聞いたことがないだけかもしれないが、まだ誰もこういうことをいっていないようなので、一つの大きな話しをしてみたい。もちろん自分は専門家ではないが、ぎゃくに誰…

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1年前
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〈効果思考〉

〈効果思考〉

1. 思考のかたちデザイン行為を考えるうえで、基本となる考えの枠組み/思考方法をしめしたい。職業的なデザイナーなら、ふつうに、ごく自然に、そのような仕方で考えているのかもしれない。だが、この考え方そのものに直接に言及しているのは聞いたことがない。ということで、その思考方法には名前がついてない(か、単に自分は名前を知らない)。 このプラグマティックな思考方法に、自分は「〈

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「生きのびるためのデザイン」

「生きのびるためのデザイン」

「生きのびるためのデザイン」(ヴィクター・パパネック 没1998)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4794974132/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1

1974年つまり自分が大学に入った年に刊行された本で、50周年の今年2月に新版として再刊行された。題名は耳にしていたが未読だったのでこれを

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モノとコト/おくのほそ道

モノとコト/おくのほそ道

3年ほどまえ、芭蕉について読んで(*)、ああそういうことなんだ、とコネクティングドット事象があった。それは創造と表現ということに繋がることなんだが。

モノとコトについて先日書いが、改めて芭蕉の本をみると、そのままのことが書かれていて拍子抜けした。読んだことを忘れて、自分で気がついたと思っていたみたい。自分は線を引きながら本を読むタイプだが、その場所に線がまったく引かれていないので、かなりサブリミ

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モノとコト

モノとコト

モノとコトという対比構文が語られはじめたのは20年くらいまえだろうか。もっと前からだったかな。

大まかには、モノからコトへ、モノではなくコトが大切という流れの話しだった。おそらくモノを偏重する姿勢を批判する文脈で語られたのだと思うが、自分もその頃そう感じてそう主張していた。プロダクトデザインからITC関連のデザインへ進展したこととも関係があるかな(ということは、30年はゆうにたっている)。

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心惹かれることのために

心惹かれることのために

なぜデザインという仕事をしているのか。
なぜこのような文章を書いているのか。

じつはそれは自分の中ではかなりはっきりしている。

そのときどきの状況に流されたり、偶然の出会いや出来事があったりした結果として、このデザインという仕事を自分はしてきた。だが、場面場面の決断を後押しする、緩やかだが確かな、一定の力が自分の中には働いていた。「そのこと」はずっと考えてはいたような気がする。そしてかなり後に

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ニコマコス倫理学

ニコマコス倫理学

アリストテレス「ニコマコス倫理学」(山本芳久、100分で名著)

アリストテレスは、つかみ所がないので避けていたけれど、この本によれば、あまりに自然であり普通の感覚/常識だ。自分が小さい頃から考えていたこと/考えてきたこと、気づいてきたことの道筋にしっかり沿っている。

それは気づいた自分がアリストテレスなみにエライ、という意味ではなく、単に自分はアリストテレスから連綿と続く思考の枠組みの中に生ま

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AIについて

AIについて

AIについて、いろいろと驚いたり恐れたりしているが、今の自分の感じや考えを、いちおう書いておく。あとで答え合わせをするために。
(「あと」→たぶん50年後?)

この急峻に立ち上がってきたAIの波は、本物であると思う。実体としての大きな波であって、けっして幻影ではない。 かつて、マルチメディアとかハイパーメディアとか、○○革命とか、○○2.0とか、「これこそ」レベルのたくさん「ブーム」があったが、

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デザインと工学

デザインと工学

1. 「デザイン」と「設計」“design”という言葉には、「設計」と「デザイン」という意味がある。なので両方にまたがる話しをしようとすると、いちいち「いわゆる」とか、「設計とも訳される」とか断りをいれないと誤解が生じて面倒なことになる。

一つの言葉が複数の意味を持つことは、めずらしいことではない。けれどこの二つは、意味の境界をぼかし、両方の意味を互いにほのめかすような使い方が、わざと、あえて、

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サピエンス全史2

サピエンス全史2

第二部 農業革命第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇1万年前、サピエンスは狩猟採集から農耕へと生活スタイルを変えた。農耕と平行して家畜化がはじまったが、それらは要するに自分以外の動植物の生命を操作することだった。サピエンスはそれに夢中になった。今でも。

BC9000小麦の栽培ヤギの家畜化、BC8000エンドウ豆レンズ豆、BC5000オリーブ、BC4000馬、BC3500ブドウなどが栽培ないし家畜化

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デザインは問題解決か?

デザインは問題解決か?

「デザインは問題解決」という言い方がある。はじめて聞いたときから、個人的にはこの言い方はちょっと引っかかってモヤモヤしている。
これは捉え方によってどうとも応えられる。要は何を強調したいのか、ということなのだろう。

何を?

大きくゆるくいえば、デザインは「問題解決」であると、いえなくはない。しかしそれでは工学はどうなのか。問題解決以外の何ものでもあるまい。あるいは芸術だって、何らかの問題を解決

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サピエンス全史

サピエンス全史

もうかなり熟読しているが、少し時間ができたのでもう一度、ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」読み返す。至福だなぁ。

第一部 認知革命第1章 唯一生き延びた人類種

135億年前「物理学」という物語りが始まり、38億年前「生物学」という物語りがはじまった。
7万年前、〈認知革命〉とともに歴史学がはじまった。そして1万2千年前に〈農業革命〉があり、500年前〈科学革命〉が起きた。

サピエンスは

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◾️知ると作る

◾️知ると作る

理系文系、それらと哲学について前回書いた。

理系は、世界を「知る」ために分割する、その分割の決まり・法則をさぐる。文系は、分けててもまだ残っている実際に存在する個物に注目する。そのためそれぞれ、同一性、差異性の眼鏡で世界を観る。
哲学は理系文系からは独立し、両者の調停・統合によって最終的な世界図を描く。
これらの真摯な学は、すべて「知る」ことにかかわっている、ともいえる。あるいは世界をどう「わか

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◼️理系文系、哲学

◼️理系文系、哲学

▪️理系文系
理系文系という分けかたは大学受験的だ。自分の時代は完全に二者択一な感じだったが、今は文理融合などといって昔ほどは乖離的ではないのは、いいことだと思う。完全に分けられなるはずも、分けていいはずもない。
でも理系文系とはそもそもどういうことなんだろう。

理系は、合理的、論理的な思考を要するに科目、数学や物理化学など。文系は、歴史や地理、文学などすでに現実にある事象が何であったかを考える

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「目的」というドクサ2

「目的」というドクサ2

「目的への抵抗」國分功一郎前回「目的」について書いた直後に、「目的への抵抗」を入手した。 自分はおもしろかった。視点はまったくちがうが、自分がいいたかったことと結論的には同じだととも感じた。

本書の結論:

われわれの生活から目的が消え去ることはありえないが、あらゆるものが目的合理性に還元されてしまう事態に警戒すべきである。

自分が前の文章で書こうとしたことは、目的は意味はあるけど、あまり縛ら

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「目的」というドクサ

「目的」というドクサ

理由探し

人は「理由」を求める。
ある事象が起きたとき、人はそのことの理由とは何かと思考する。そのことは自然だ。理由を知ればより適切で根本的な「対処/対応」が可能になる。
何かを「知る」目的は、もちろんその事態に適切に「対処」するためであり、「適切な対処」は自らの生存に有利に働く。つまり自分(たち)が生き延びるために、ある事態を理由も含めて知ることはとても役に立つ。
時間的にいえば理由は過去に属

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■第三言語革命

■第三言語革命

自分が聞いたことがないだけかもしれないが、まだ誰もこういうことをいっていないようなので、一つの大きな話しをしてみたい。もちろん自分は専門家ではないが、ぎゃくに誰なら専門家を名乗れるというのだろう? これは自分なりのコンシリエンス/帰納統合の結果である。骨子は5年くらい前に考えた内容だが、ここへ来て「いよいよ感」が高まっている。 このAIで起きている「変化」は、人類の第三の言語革命の一つの章なのでは

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