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午前の朝ごはん

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思いつき短編のまとめ
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アワセカガミ

アワセカガミ

今時の子供らは知っているかはわからないが、平成の初めはオカルトブームで色んな怪奇現象、怪談、噂話、都市伝説が賑わっていた。

その中でも学校の七不思議はとても身近で手っ取り早く怪奇体験ができるので夏になると学校の肝試しと題して校舎内を歩き廻るのだ。

学校の七不思議は地域によって内容が異なるのだが、今回はアワセカガミの話だ。

合わせ鏡と言うと、夜中に鏡と鏡を合わせると悪魔が出てくる、とか、13番

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思いつき短編:赤子の家

扉を超すたびに自分がおかしくなっていくのを母は感じていた。

そもそもおかしな世界に迷い込んでいるのだから無理はないのかもしれないが…。

だからといって人型の意思疎通のできるパンを食べてしまったのはなんとも複雑な気持ちだ。

これは、罪を犯したことになるのだろうか…。

回復した身体で次の部屋へと向った。

地下室だった。

青白い蛍光灯と緑色の光があちこちで光っている。

透明のガラス瓶の中に

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思いつき短編:死→MISSION

私のもとに手紙が届く、内容はこうだ。

MISSION:大統領の娘、救出作戦

エージェントはテロリスト集団の住む食品工場へ向かう為に他のエージェントと落合う。

まず最初、一回自殺する。

その後即座に復帰したあと、車に乗り込み二人でテロリスト集団の一員である男性をつけて身柄拘束する。

そこでもう一度、自殺をする。

再び復帰したら身柄を拘束した男性から持っている情報をすべて聞き出し、本部へ送

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思いつき短編:牛乳の家

今いるこの建物は、元は小さなビジネスホテルだったらしい。

朝方なのか、夕方なのかは同じ薄暗さなのでわからない。

恐る恐る、歩き回る。

扉があるところは、今と違う場所に行かないように鉄パイプのようなもので破壊してから中へ入った。

ーーーーが、特にこれといったものは発見できなかった。

最後に、3人は地下にある電気制御室へ向った。

薄暗くて不気味だ。

電気制御室の前につくと、扉があったがこ

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思いつき短編:自殺村

俺らが大学に通っているときの話だ。

大学が比較的大自然に囲まれているところにあり、地元の人達とも交流が多く、よく森の中のゴミ拾いのボランティアや除草作業などをやっていた。

夏休みのその日も仲間と集まってゴミ拾いや除草作業をしていた。

ある程度、時間や範囲を決めて作業をしていたのだが、いつの間にか辺りが薄暗くなって夕暮れになっていた。

森の中の夜は危険だ、野生動物が、特に熊なんかに襲われでも

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思いつき短編:事故不動産

チリンッチリンッチリンッーーーー。

店内に来客用ベルの音が鳴り響いた。

二人の男女カップルが来店したようだ。 「いらっしゃいませ、今日はどんな物件をお探しで?」

上から下までピシッと決まった接客社員が対応する。

「あの、なるべく駅の近でーーーーー」

客が色々条件を述べた。

どんなに苦しい条件を言われてもニコニコして話を聞いている。

一通り聞き終わると、3件のお部屋を提示した。

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思いつき短編:続毛人様

山の中は林業が盛んなためか意外にも整っており、刑事の足取りを邪魔するものがなかった。

それでも足跡を見つけるのは容易だった。

なぜなら、その足跡の部分だけ土や植物が枯れていたからだ。

どんどん、どんどん、奥へ進んでいく。

景色は変わって、人間の手が加わっていないありのままの山中へ入った。

変わらず足跡は目立つが、刑事の額には汗が滲み、疲労が出てきた。

一体どこまで続いているんだと愚痴を

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思いつき短編:迷う家

それは、都市開発中の住宅地の中にポツンと立っている。

周りは土地の買い手がまだ見つからず、空き地となっていた。

いや、もしかしたらもはや買い手は見つからないかもしれない。

なにせ、その家の周辺以外はもう、家が立っているから。

それだけ曰く付きだということだ。

黒ぐろとした瓦屋根はひび割れが起きており、隙間からは雑草が生えている。

白壁も少し黄ばんでいて、つる草が壁を登るように茂る。

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思いつき短編:視えなくなった

世の中には…

呪いを信じる人、信じない人

昔からの言い伝えを信じる人信じない人

祀られているものを信じる人信じない人

妖怪を信じる人信じない人

幽霊を信じる人信じない人

視えるのを信じる人信じない人

いろんな意見がある。

現代は科学が進歩してから何でも分析して答えを見つけ、ネットという情報網によって流れていく。

今はいろんな情報入手するのが容易だ。

自分の持論を発信するのも簡単

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思いつき短編:喋れぬ者

ふわぁ〜。

今年もようやく目が覚めた。

温かくなってきたな。

俺らの出番もそろそろだ。

この間なんかスーツ着た人が来たし、きっともう知られているんだろうな。

全力でがんばるぜ!

みんなの喜ぶ顔が眼に浮かぶねぇ〜。

あ~でも、例のウイルスで自粛するんじゃないだろうか。

まぁ、俺らには関係ないな。

なにせ昼も夜も俺らは仕事だし。

風とか鳥とか来なければ働き続けられる。

雨も嫌だね

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思いつき短編:欲

ここは、我々のモノだー!

ここも、我々のモノだー!

あそこも我々のモノだー!

そっちも我々のモノだー!

あっちも我々のモノだー!

こっちも我々のモノだー!

どっちも我々のモノだー!

そこも我々のモノだー!

これも我々のモノだー!

あれも我々のモノだー!

どれも我々のモノだー!

奪うならば、言うこと聞かなければ、従わなければ戦争も辞さない!!

さぁ、君のところも我々のモノだ。

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思いつき短編:最後?

これで最後だから・・・

もう一杯、ビールちょうだい。

これで最後だから・・・

もう一回、カケさせて。

これで最後だから・・・

もう一回、付き合って。

これで最後だから・・・

お金、貸ーして♡

これで最後だから・・・

内部を探ってこい。

これで最後だから・・・

これで最後だから・・・

これで最後だから・・・

これで最後だから・・・

これで最後だから・・・

最後ってなんで

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思いつき短編:空は

朝起きてカーテンを開ける。

窓を開ける。

思い切って外に出る。

見上げると、今日はいい天気だ。

雲が程よくあって、寒くもなく暑くもなく過ごしやすい。

この空は平和だ。

ボロボロのトタンの家で目が覚める。

ゴミ溜めのような外へ思い切って出る。

空を見上げると、今日はいい天気だ。

外の匂いはキツイけど、雲が程よくあって、寒くもなく暑くもなく過ごしやすい。

この空は平和だな。

地下

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思いつき短編:記憶

忘れてしまった…。

本当に、忘れてしまった。

幼い頃はそれを惜しみなく与えていた。

貰っていた。

だってそれは無限に溢れ出ていたものだから。

汲み上げて、恥じらわずに与え、貰っていたのに。

いつからだろうか、その方法が分からなくなってしまった。

それを言葉で伝えても、空っぽ。

行動で示しても、空っぽ。

あれぇ?

おかしいなぁ…?

思い出せない。

思い出せるかと思ってベットの

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