思いつき短編:迷う家
それは、都市開発中の住宅地の中にポツンと立っている。
周りは土地の買い手がまだ見つからず、空き地となっていた。
いや、もしかしたらもはや買い手は見つからないかもしれない。
なにせ、その家の周辺以外はもう、家が立っているから。
それだけ曰く付きだということだ。
黒ぐろとした瓦屋根はひび割れが起きており、隙間からは雑草が生えている。
白壁も少し黄ばんでいて、つる草が壁を登るように茂る。
窓ガラスは摺りガラスのため、中は見えない。
玄関は板で打ち付けられていて、表札はどこにもなかった。
そこへ、3人の中学生が好奇心を抑えきれない様子で家の前に来た。
この家の噂を聞いてやってきたらしい。
何も変哲もない普通の2階建ての家、以前は4人の家族が住んでいたのだが、忽然と姿を消してしまったのだ。
一家誘拐の線で警察が捜索したが、手がかりが見つからず、3か月後には捜査打ち切りをした。
60年後、その家から白髪で髭モジャの老人をたまたま通っていた主婦が見つけ、泥棒だと思い警察へ連絡した。
警察署で話を聞くと、老人はあの家に住んでいた者だという。
60年前、家族全員が休日で平凡に過ごしていると、突然家が揺れだした。
地震かと思ったがテレビをつけても速報が無かったそうだ。
だが、あまりの揺れにリビングから飛び出すとそこには知らない何処かの家の居間にいた。
勘違いされないよう、音立てずに外の方へと向かう為に玄関の方へ行った。
ゆっくりと開けて外へ出る。
すると、玄関を開けたその先には神社があり、家の外はねっとりとした暗闇が漂っていた。
雨が降り、時折稲妻が走る。
先程の玄関はいつの間にか消えてしまった。
どうしたものかと悩んでいると、後ろから光が見えた。
動きからして懐中電灯を持っている人がいるらしい、父がその光の方へ走っていった。
自分たちは、社殿の前で雨宿りをしていると突然、悲鳴が聞こえた。
父の声だった。
皆で父親の元へ行こうとした、だが目の前の光景に固まってしまう。
父が殺されていたーーーー。
分厚い雨合羽を着ている人間が二人いて、父親を懐中電灯で照らしながら、何度も草刈り鎌で胴体の部分を刺していた。
母が小さな悲鳴を上げた瞬間、その二人はこちらへゆっくりと顔を向けた。
照らされた自分たちは急いで社殿の中へ飛び込んだ。
今度は何処かの廃墟へ繋がっていた。
とりあえず、逃げ切れた。
ーーーーが、父を置いてきてしまった。
振り向くともうそこはドアのない階段へ続く入口だった。
ーーーー戻れなかった。
母はその場で泣き崩れてしまう。
二人の子供は母に寄り添った。
このままここに居ても事は動かない、そう思った母親は近くの朽ちたドアを見つけ、行こう、と子供達の手を引いた。
そして3人は違う部屋へと進んだ。
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