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#小説

歴史小説「Two of Us」第4章J‐23

歴史小説「Two of Us」第4章J‐23

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~

第4章 On A ”SABO Tea Room” About Some Last Scenes 

J‐23

 花畑屋敷は、ほぼ平屋建ての造り。
 肥後熊本城は、細川忠興が大きな地震を予想し、堀の石垣や本丸天守閣など、大規模な改修工事を行っていた。忠興は京都盆地の育ちではあるが、『何を思ってこのような自然災害に脆弱な平城を建立したのか。。。❓』と、故加藤

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐22

歴史小説「Two of Us」第4章J‐22

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~

第4章 On A ”SABO Tea Room” About Some Last Scenes 

J‐22

 朝日がこぼれ差し込む、熊本城内の庭。新緑の静かな清々しさが聴こえて来そうな、三畳程の建付けの茶室。

 寛永五年五月(1628年6月)、和紙の障子格子を通して、忠興(細川三斎宗立)はおもむろに、竹林の軽やかに揺れる丸窓の影を眺めた。幻の名品『平雲

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐21

歴史小説「Two of Us」第4章J‐21

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐21

 帰路に着いた、細川忠興一行。
 奥州から何泊かしながらも、道中は足は休めずに来た4名は、京への入り口、西へ行けば備前や播磨その手前の長岡(長岡京市)、まっすぐ桂川を越えれば五条通への坂道で、一服休憩の腰を下ろす事にする。

 〈沓掛〉は現在も北京都や山陰への玄関、縦貫道のインターチェ

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐18

歴史小説「Two of Us」第4章J‐18

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐18

 白百合と胡蝶蘭を調合した、アロマの香り。
 3名が過ごす奥の間の灯籠に落としたそのアロマは、伊達政宗自身が調合し、まだ丹波の水戸野に幽閉されていた頃の細川珠子に、家臣を通じて贈ったものと、同じ香りである。

 細川忠興とガラシャ珠子は、ポツポツと〈大坂の陣〉以降の『ふたり』を語り始め

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐16

歴史小説「Two of Us」第4章J‐16

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐16

 細川忠興の三男忠利は、細川軍本体から離れ、現在でいう天王寺駅付近で呆然自失して、身動きも出来ずに佇んでいた。

 そこが上方大坂の地である事も忘れて、目の前百尺(約30メートル)程先に仁王立ちして独りでまっすぐに睨みつけている男から、眼を反らせずにいる。剃髪したスキン・ヘッドの後ろか

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐15

歴史小説「Two of Us」第4章J‐15

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐15

 細川家臣が記したとされる「茶人四祖伝書」の中で、茶人細川三斎宗立について記された文言。
『細川忠興は天下一気が短い人で、反対に気が長い茶人は蒲生氏郷である』

 前述のとおり気が短いのは、持病の【癪】(しゃく)のせいだと云われる。短気で怒りっぽい人物を『癇癪持ち』と呼ぶ程、心因性の強

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歴史小説「Two of Us」第4章J-14

歴史小説「Two of Us」第4章J-14

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐14

 絶壁の崖の上に建立された杵築城は、現存する日本一小さな天守閣。
 それだけでなく、唯一、おんな城主が江戸時代に居城としていた時期が在る城郭。その女性こそが『ガラシャ珠子』だった。

 別府(本拠地とは別に統治する処)として細川領ではあるが、城代家老の代替えに、ガラシャ珠子が住まいとし

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐13

歴史小説「Two of Us」第4章J‐13

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐13

 二杯目の八女茶があなたガラシャ珠子の古伊万里茶碗に注がれると、与一郎忠興は、傍に居た若手の侍従に何がしかを頼み事する。
 二十歳前の彼は黙って頷いて、広間から姿を消した。

 あなた珠子は引き続き、『大坂玉造屋敷からの大脱出』を語る。
「侍女が待っていたのです。女官のシモとオクです。

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歴史小説「Two fo Us」第4章J‐12

歴史小説「Two fo Us」第4章J‐12

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐12

「たしかに。云われてみると、朝鮮半島へ出征して以降は、珠子と逢えたのはまだ両手で数えられる程だ。
 悪かったの。もう、小倉の財政難も落ち着いた。悪かったの」

 【癪持ち】用の丸薬を口に含んで白湯を飲み干す、与一郎忠興。若い時から未病の医学には造詣が深いが、40台半ばにも成ると、さすが

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歴史小説「Two of Us」第4章J‐10

歴史小説「Two of Us」第4章J‐10

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J‐10

 杵築城広間のど真ん中たたみ一畳分にて、細川忠興は、条幅半紙に極太の毛筆で書き上げた書を眺め、ひと息ついた。

『蜻蛉が出ると 蜘蛛の子散らす也
   手に蜻蛉 頭の角の凄まじき
     鬼か人か しかと分からぬ 兜也』

 その川柳は、桑名藩初代藩主本多平八郎忠勝の、葬儀に参列した

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歴史小説「Two of Us」第4章J-9

歴史小説「Two of Us」第4章J-9

~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~
第4章 Foward to〈HINOKUNI〉Country

J-9

 1610年12月初旬(慶長15年10月下旬)。
 小倉藩初代藩主細川忠興は、城代家老の松井康之を中津城に呼び出した。

 江戸幕府二代将軍徳川秀忠が武家諸法度を発令する以前に、細川家は嫡男忠利を江戸屋敷に置き、忠興とは交代で領内に戻る二元統治を行っていた。

 これは、三男忠利は関ケ原

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歴史小説「Two of Us」第3章J-36

歴史小説「Two of Us」第3章J-36

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"

J-36 ~ The end of a Civil War era ~

 細川忠興は一晩中、本陣に戻っては来なかった。

 枯れるまで涙を流したのか、それとも、あなた珠子との今までの二人の

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歴史小説「Two of Us」第3章J-35

歴史小説「Two of Us」第3章J-35

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"

J-35 ~ The end of a Civil War era ~

 稲富祐直は、三日三晩走り続けた。
 それはどの早籠や飛脚よりも駿足だった。通りがかった関所手前の旅籠で、一旦仮眠を

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歴史小説「Two of Us」第3章J-34

歴史小説「Two of Us」第3章J-34

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"

J-34 
~ The other last nights of the ”Battle SEKIGAHARA ”~
 (もうひとつの関ケ原合戦前夜)

「なぁなあ、河内屋はん!あれ見て!あ

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