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好きな記事、好きな小説、好きな文体

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個人的に好きな記事や小説や文体。個人的に注目している書き手、活動。
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#note

「花束みたいな恋をした」と「ドライフラワー」における、花と恋と20代。

「花束みたいな恋をした」と「ドライフラワー」における、花と恋と20代。

映画「花束みたいな恋をした」を観た。

タイトルが"花束"なので、花束そのものがこの物語のキーとなるのかと思いきや、相手に花束どうぞするシーンなど全く出てこなかった。もちろん、卒業式にサプライズで花束を渡す所をTikTokに載せるシーンもなければ、真っ赤なバラの花束100本でプロポーズするシーンもない。

だからこの映画は、観た人に、この恋がどう「花束みたい」なのかを考えさせる作品なのだと勝手に受

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焼きそばの果てしなき旅【その1】

焼きそばの果てしなき旅【その1】

数をこなすことが僕の宿命だと判っている。思い起こせば食の雑誌dancyuの初めての取材でやったのが国産の缶詰を何百種類も食べ比べる記事だった。何十ではなく何百。ありとあらゆるジャンルの缶詰が一堂に会したのを目の当たりにした時に、僕の心の中に得も云われぬ昂ぶりがあったのを今でも良く覚えている。自分の好きなギタリストのことをまとめた自分の本「ギタリスト大食らい」ではギタリスト150人以上をリストアップ

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トマトで乗り切る、この灼熱地獄

トマトで乗り切る、この灼熱地獄

何年か前、トマトのおかげで乗り切れた夏があったなあ。あまりの暑さに呼吸さえやっとというとき、食欲がなくてもトマトなら食べられた。オリーブオイルと、あったら粉チーズをかける。ほおばると、青臭さはあるけれど、口の中に清涼感が広がる。
火を使わなくて切るだけでいいというのも、夏の天使だ。

トマトの名前を始めて意識したのは桃太郎。それまでトマトはトマトだった。その桃太郎がずっしりしていて甘かった。

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砂男さま、登場。

砂男さま、登場。

noteを始めて2ヶ月が経過した。
とにかく最初はある程度のクオリティを保ちながら、2日に1度は書くことを目標にした。

書き終えると、当然のことながら記事の反応が気になり、3分に1度のペースでチェックし、反応がないと溜息を漏らした。
自分の記事が少ないことが恥ずかしくて、書いては予約投稿、書いては予約投稿を繰り返し、明日が来るのを待ちわびた。

少しずつコメントがつき始め、皆さまの記事を読める余

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10000人へのありがとうと、SNSの数字の裏側

10000人へのありがとうと、SNSの数字の裏側

noteのフォロワーさんが10000人を超えました!え?ホントに?と思わず自分のページを何回もリロードしたのですが、バグじゃなさそうです。

今年の1月28日頃におそらく初期登録のおすすめユーザーになったようで、一気にフォロワーさんが増え始めました。

実はどれくらいの投稿数やフォロワー数でどんな反応があるかは経過をずっとデータとっていまして、フォロワー数や投稿数の推移を見られるサービスもあります

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止まった時間と透明な回転扉

止まった時間と透明な回転扉

自分の中に止まった時間がある。

生きることに必死だったが、どこにも向かえなかった時間。精一杯もがいたが、少しも動けなかった時間。

希望はなかったが、絶望しないように必死だったときの記録と記憶。

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二年前のある日、有楽町線の電車に乗っていた。当時通っていたカウンセリングルームの帰りか散歩の帰りか、よく覚えていないが、めずらしく外出した日だった。

自分の気持ちがわからなくなってから、し

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