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Beyond The Reading

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本を読む先にあるものって、なんだろう。
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#日記

写真が終わる前に、を読んだ。

写真が終わる前に、を読んだ。

本著のハイライトは最後の杉本博司さんのお話、表現という行為に携わる人には絶対に読んでもらいたい。

「物欲なき世界」と「動物と機械から離れて」を拝読してから、すっかりファンになった菅付さん。

自分には写真の専門的な知識はないものの、コマーシャルフォトを定期購読したり、六本木にあるTARO NASUギャラリーで松江さんの展示会にお邪魔しゲリラインタヴューをする(!)など、写真を撮影するという行為に

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帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

自分は戦争に行ったことがない。これからも行くことはないだろう。日本国憲法第9条により、日本国民は戦争への参加が禁じられているからだ。しかし、何か起こるかわからないご時世である。こちらを読み終えた。

イラク戦争に参加した米軍の退役軍人が、癒されない深い心の傷に苦しむ。不合理に奪われた仲間や民間人の命。彼らを最も苦しめたのはモラルインジャリーだった。

戦争から帰ってきた兵士に見られた精神的な症状を

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漂流者は何を食べていたか、を読んだ。

漂流(遭難を含む)のルポルタージュは数多く存在するが、何を食べて生き延びていたのか、この点にフォーカスを充てたユニークな内容。

遭難経験がないので、当然のことながら想像の域は超えないが、照りつける太陽に苦しみ、忍び寄るサメに怯え、見渡す四方を海に囲まれ、絶望に追いやられる。そんな境遇でも食料を得て生き延びようとするガッツが物凄い。

漂流者はだいたい3日目で力尽きることが多いらしいが、上述の通り

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ベストエッセイ2021を、読んだ。

ベストエッセイ2021を、読んだ。

疲労回復にはエッセイが良い。などと「知ったフリ」で吹聴していたら、その通りとなった。肉体も精神も妙に緊張を強いられた数日、届いたばかりの最新刊を夢中になって読み耽った。

エッセイとは、特定の文学的形式を持たず、書き手の随想(思ったこと・感じたこと・考えたこと)を思うがままに書き記した文章のことである。 「随想録」ともいう。 ... エッセイが書かれた(エッセイのジャンルに区分される)書籍は、「エ

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久々に娑婆に出てみる。

久々に娑婆に出てみる。

娑婆に出るなどと書くと実に仰々しい。仕事で都内に出ただけのことである。しかし、久々に朝早くの通勤電車に乗ったが、緊急事態宣言どこふく風!SOKO-SOKOのMITSUでびっくり仰天。感染しないか心配である?汗

ひょんなことから仕事が充実してしまい(忙しいとは言わないのだ)、久々の12時間労働。協力会社の方にも遅くまでお付き合いいただき、20時過ぎに一緒にオフィスを出る。彼も久々に外出をして少しお

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DXとは何か、を読んだ。

DXとは何か、を読んだ。

最近はDX指南書の良著が多く非常に喜ばしい限り。

DXの思考法 と同じく抽象化が重要であることを再認識できた。

国家規模でのデータの活用は全体主義・共産主義が有利だということは非常に頷ける。個々人がプライヴァシー云々と懸念材料を並び立てていると鈍化するらしい。

DXによる中間層の圧縮は時として雇用問題にも劇的な変化をもたらす。中途半端な職域は無くなってしまうかもしれない、明日は我が身である。

心の鍛え方、を読んだ。

心の鍛え方、を読んだ。

お仕事のご縁で荒木香織さんの存在を知り、手にした1冊。

日本ラグビーの躍進には、彼女のような縁の下の力持ちがいたということ。表紙の五郎丸さんのお馴染みのポーズは、キックをする前のルーチン。

個人の成功体験ではなく組織としての成功体験を思い出す、役割と責任を明確にする、目標は変えずアプローチする手段を再検討する、ストレスが溜まることはなく重なる状態で”溜まる”という、などなど。

彼らの努力の氷

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最後の冒険家、を読んだ。

最後の冒険家、を読んだ。

冒険とはなんだろうか。

前回拝読したのが2019年の6月下旬。2年前だが時期が近しいのは何か理由があるのだろうか。当時の感想文を読み返してみると、今回感じたことと概ね近しかった。

ただ、気球で空を飛ぶという行為が、とてつもなく神秘的で崇高な行為に思えたのは何故だろう。

今週もお疲れさまでした。

自然のレッスン、を読んだ。

自然のレッスン、を読んだ。

大好きな小林聡美さんが選書されていて、手にした1冊。

人間らしく生きる。自然に生きる。これまた読書や健康と同じく超普遍的で既視感の強いキーワードだ。具体的に説明せよと言われ、それができる人は多くはないだろう。自分もわからない。

こうした本が流行ったり自分がそれを求めるのは、何やら周期的なものがあるのだろうか。人は何かを期待して手にするが、実はここには答えなどない。それはヒントに留まるのだ。ヒン

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6時に起きて、22時に寝る。

連休中に限らず、ほぼ毎日この時間割で生活している。

リモートワークが導入された2020年の春先には、通勤がなくなったので体力消耗も低減し、妙にエネルギッシュとなり無駄かつ頻繁に夜更かしなどをしていた。あつ森で午前3時まで起きていたとか、懐かしい...。

3月から英会話と水泳を始めて、メンタルもフィジカルも適度な負荷が課されたので、無意味な夜更かしなどはせず、潔く子ども達と川の字になって寝ている

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「ずばり東京2020」を読んだ。

「ずばり東京2020」を読んだ。

ノンフィクション同時代史。

熱心な読書家ならピンときているように、開高健の「ずばり東京」をオマージュしている。

日本橋と首都高、東京を走るタクシー、森ビルによる再開発、JRに集まる年間400万個の忘れ物、渋谷の地下に流れる川、五輪と新幹線、五輪と感染症、動物の愛護と福祉、消えゆく本屋、超高齢化社会の葬式、東京における水害、東京農産物、そして今回のコロナ禍。

東京という街を様々な角度で切り取り

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鬼滅の刃を5巻まで読みました。

鬼滅の刃を5巻まで読みました。

鬼滅の刃の作者の人間性に興味がある。

昨日になんだかんだ面倒臭いことを言ってしまったけど、やはり名作にはそれなりの理由があるんだなぁと関心してしまう。なんとなく午後にゴロゴロしている合間に昨日の続きの4巻に手を出してしまった。

鬼滅の刃をを読んで感じたのは、今のジャンプコミックスって使っている紙が昔のそれよりも薄い気がするんだけど気のせいかな。自宅にある、こち亀とジョジョよりも全然薄い。コスト

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予想どおりに不合理。

予想どおりに不合理。

行動経済学が明かす、あなたがそれを選ぶわけ。

友人が熱心に読んでいるのを見かけて興味を持ち購入。行動経済学というジャンルは、聞いたことがあるようで、実は初めて触れる学問だったかもしれない。500ページ近くある分厚い文庫本だが、非常に読みやすかった。

相対性の真相、需要と供給の誤謬、ゼロコストのコスト、社会規範のコスト、無料のクッキーの力、性的興奮の影響、先延ばしの問題と自制心、高価な所有意識、

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エベレストには登らない。

タイトルを見てピンときた人は、角幡唯介ファンだろう。ところで昨日にこの本を読み終えた。

勿論、彼の存在は承知していて、業界では物議を醸しているということもそれとなく知っていた。先日読んだトムラウシ山の大量遭難ドキュメントを読み終えて感じたのと同じく、登山の商業化については否定的なスタンスをとっている自分。読み始める前にも、なんとなくことの全容は想像していたが、見事に期待を裏切られた衝撃の内容だっ

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