出羽健太郎

読書、仕事、生活、そして家族など。

出羽健太郎

読書、仕事、生活、そして家族など。

マガジン

  • Beyond The Reading

    本を読む先にあるものって、なんだろう。

最近の記事

  • 固定された記事

狩りの思考法、を読んだ。

我らの角幡唯介さんの待望の最新作である。 2018年に出会い熱心なフアンになってから、著作は全て拝読した。同じ作品を何度も何度も拝読し、角幡さんが読んだという本も精読。自称、日本一の角幡唯介ファンである(非公式なファンクラブの会長を拝命している)。 本作はこの数年、精力的に通っているグリーンランドでの活動をまとめたものだが、ただの活動報告記ではない。題名にある通りに「狩猟という行為」を通じて人間という存在を、生命というものを、鋭く考察した大傑作だ。 彼のファンは、実際に

    • 思考の整理学、を読んだ。

      40年にわたり我々の知の開発の一助となり続けた名作。 アウトプットする、まずは手を動かし書き出してみる、あえて忘却する、アイデアを一晩寝かす、読書の方法などなど...嬉しいことに自分自身の行動や考え方を肯定してくれるような話題が多く、なぜか一安心。東大京大で多く読まれたという喧伝コピーが今回だけは微笑ましく思えた(権威主義ではないので念のため申し添えます)。 ハイライトは第一次現実と第二次現実について。先日拝読した我らの角幡唯介さんの「書くことの不純」で三島由紀夫が外部や

      • ヘッドハンター、を読んだ。

        巻末解説を我らの角幡唯介さんが担当。雪男探しの際にザックに持ち込んだ文庫本が、このヘッドハンターだったそう。空白の五マイルで停滞時に読んだ月と六ペンスと同じく、角幡作品に登場する作品はもれなく読むようにしている。 元傭兵の男が、世界の荒野や山岳地帯でハードなハンティングに勤しむ姿がひたすら続くのだが、特筆すべきは異常ともいえる精緻な状況描写である。ハンティングに用いる武器や装備類の材質やサイズなどを逐一細かく説明している。 読み始めた頃はこの偏重した文体に苦しんだが、不思

        • 合格、おめでとう。

          息子が第一志望の公立高校に合格することができました。応援していただいた皆様、この場をお借りして御礼申し上げます、本当にありがとうございました。 合格はウェブで各校ごとにPDFで閲覧できるのですが、今日の朝の9時に息子と奥様(あえて敬称)と3人で確認することに。アクセスが集中していたのか、数分間待機していましたが、ブラウザのタブが.pdfに変わった瞬間、3人で顔を見合わせて、おそるおそる結果を見ることに..。 息子の受験番号を見つけた瞬間、大絶叫して涙がドバドバと溢れて失神

        • 固定された記事

        狩りの思考法、を読んだ。

        マガジン

        • Beyond The Reading
          131本

        記事

          インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則、を読んだ。

          本書の原題はthe inevitableで、不可避という意味だ。何が不可避なのか?それはデジタル化したテクノロジーが持つ本質的な力の起こす変化だ。それは水が川上から川下に流れるように、太陽が東から出て西に沈むように、この世界に普遍的な理でもある。*訳者あとがきから抜粋 長年テクノロジーの進化を最前線で考察し続けてきたケヴィン・ケリーは、自著「テクニウム」で「テクノロジーの進化により人類は選択する機会が増える」と言っていたが、私はその意見を受け入れつつ手放しで歓迎しない。

          インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則、を読んだ。

          営業はどこまで首を突っ込むべきなのか。

          埼玉県朝霞市の花火大会で、打ち上げる会社さん(業者という言い方が嫌いなので、こう表現します)が、花火を積んだトラックが間に合わないということで、大会が11月に順延されたそう。当日は有料の観覧席もあり、会場は大混乱に陥ったそうだ。 花火屋さんは「間に合わない」という連絡を、大会開始30分前に市の実行委員会に入れている。これは明らかにビジネスとしては最低のレヴェル。明らかに軌道修正のきかない時間帯、もっと早くに連絡を入れるべきだった。 *** この記事を見て思ったのは、発注

          営業はどこまで首を突っ込むべきなのか。

          宇宙からの帰還、を読んだ。

          70億の人類が存在する地球を宇宙から眺めた時、その人の価値観が劇的に変化することが多いらしい。 取材対象となった当時の宇宙飛行士の大半は、なにかしらのキリスト教宗派に所属しており、彼らの宇宙飛行体験は、神は何か創造主とは何かという既成概念を強制的に覆してしまった。 キリスト教以外の宗派ではどうなのか、イスラムは、仏教は....そしてNASAというアメリカ合衆国の威信を背負わない民間の宇宙旅行者では、彼らと同じ様な価値観の変容が生じるのか。是非同じテーマで近代の宇宙飛行士に

          宇宙からの帰還、を読んだ。

          勉強をしなさい、と言うのをやめた。

          来年高校受験を控えた息子。今日は英検の二次試験のために、隣町の会場まで車で送迎をした。一次試験は記述で、二次は面接。口頭試験らしい。 当日の今日まで、準備というか勉強をしている様子がほとんど見られず、昨日にオネダリをされて契約してしまったadobeのサービスの動画編集ソフトで試験本番となる今朝も、なにやら映像制作に夢中になる息子に「そろそろ準備したらどうだ?」と強めの口調で促すも、「わかってるって!!」と逆ギレされるなど。 仕事でも家庭でも、叱ったり催促することが本当に苦

          勉強をしなさい、と言うのをやめた。

          お母さん、ありがとう。

          今日は24回目の母の命日。 随分と遠い昔のことになった。 あれから、どんな出来事があったのだろう。 大学を卒業し、 就職して、 交際が始まり(のちの奥様)、 父と喧嘩をして、 一人暮らしを始め、 左前十字靭帯を断裂し、 父と和解し、 同棲を始めて、 結婚して、 転職して、 家を買い春日部に引っ越し、 息子が生まれ、 娘が生まれ、 転職をし、 父が亡くなり、 義父が亡くなり、 娘が生まれ、 左脛骨高原骨折をし、 パワハラを受け、 転職をし、 読書と出会い、 角幡唯介さんと出

          お母さん、ありがとう。

          偶然完全勝新太郎伝、を読んだ。

          素晴らしかった。本当に素晴らしかった。 先日、著者の田崎さんが手がけられた、真説・長州力を拝読。おおいに感動し、立て続けに田崎ワールドに触れる。 *** 勝新太郎と聞いて何を思い出すだろうか。もうパンツは履かないという、あの記者会見。それとも中村珠緒の夫、というイメージがあるのかもしれない。ご多聞にもれず、自分も同じ印象を抱いていた。 過去に一度だけ、勝新ルポを読んだことがある。 ただ、春日さんには誠に申し訳のないことだが、あまり心に引っかかることがなかった。 本

          偶然完全勝新太郎伝、を読んだ。

          選挙、を観た。

          結局のところ、日本は、巨大なムラ社会でしかなかった。 想田監督の「カメラを持て、町へ出よう」を2度拝読し、ようやくAmazon primeで視聴する。 文章で制作秘話的なエピソードを2度読んでいるので、どのような内容か大枠承知していたが、改めて実際に映像を観ると圧巻の一言。撮影者の想田さんが見事に現場で気配を消していることに本当に驚く。 すべての人がそうではないと思うが…なんとなく、隣(ちかく)の人が、そう言ってるから自分もそうしようか。みたいな感覚が連鎖して出来上がっ

          選挙、を観た。

          真説・長州力、を読んだ。

          \長州力ここにあり/ 長州力というプロレスラーを知ったのは、芸人の長州小力のモノマネを見た時。それから神奈月のモノマネで妙に滑舌が悪い人という印象を植え付けられ、興味を強くもつ決定的な契機は、武藤敬司とのオンライン飲み会のyouyube動画。 絶妙な間合いとユーモラスな話術と、二人の歴史をそれとなく示唆する業界の裏話。長州力というキャラクターと、プロレスがどのような世界であるのか、深く知りたいと思うようになる。 ご高察の通り、プロレスは純然たるスポーツではない。そこを深

          真説・長州力、を読んだ。

          歌舞伎町アンダーグラウンド、を読んだ。

          45年の人生で最も縁遠い街のひとつ、それが新宿。 幼少期はもちろん、学生時代も通過駅のひとつでしかなく、遊んだり飲食したりする機会はほぼゼロ。ただメディアを通じた怖い街というイメージしか持ち合わせていなかった。 怖い街というイメージは間違いのないものだが、その中身を知るか知らぬかで、新宿そして歌舞伎町の息遣いは容易に語れない。これからの人生においても変わらず縁遠い街であり続ける可能性が高い。ただ、この本を通じて知り得た、交錯し続ける人間模様は心の底から好きだ。 いつも素

          歌舞伎町アンダーグラウンド、を読んだ。

          VALE TUDO を読んだ。

          VALE TUDOは、生き方だった。 先日読んだドキュメンタリー撮影問答の対談者のなかで「ブラジリアン柔術黒帯の肉体派写真家」という見出しのもとに、明らかに他の対談者とは異なるオーラを放つ丸刈りのイカツイ男性。それが著者の井賀さんだった。 ブラジリアン柔術黒帯で写真家...?武道や格闘技に強く興味を持つ自分、慌てて本書を購入。貪るように読み進めた。文章はもちろん、挿入されているブラジルのお写真も本当に素晴らしく、毎度のように付箋でびっしり埋め尽くしてしまった。 ***

          VALE TUDO を読んだ。

          ドキュメンタリー撮影問答、を読んだ

          ドキュメンタリの構造や概念を言語化。 ひょんなことから得意先様のインナーブランディング施策として、社員さんへのインタビュー映像のご相談をいただき、情報収集もかねて色々と調べていくなかで幸運にも巡り会えた1冊。 自分と映像の最初の出合いは、小学校低学年の頃。地元横浜の神奈川テレヴィで深夜に放送されていたMTVを父親が録画してくれていて、小学校から帰ると家で録りだめてあったMVをひたすら観ていた。行為としては音楽鑑賞だったが、実際には映像鑑賞としてインプットされていたのだと思

          ドキュメンタリー撮影問答、を読んだ

          HSPブームの功罪を問う、を読んだ

          ラベリングの功罪ここにあり 大昔、空の上で突如ゴロゴロと鳴り響く轟音に人々は大いに恐怖した。誰かが「これは龍の怒声である」と言い出し、雷が鳴ると「龍が怒っている」と人々はじっと身を潜めたという。 人は、得体の知れない名の知れないものに最も不安を抱き恐怖する。ネーミングやラベリングは現代にはじまったことではなく、安心したいと願う生存本能の発露なのかもしれない。 大切なのは、ときには深く考えること。そしてアルファベットやカタカナに騙されないこと。

          HSPブームの功罪を問う、を読んだ