KEISHIRO NINO

夢も希望もないが、好奇心だけはある。 ネガティブで卑屈な30代が海を渡るとどうなるのか…

KEISHIRO NINO

夢も希望もないが、好奇心だけはある。 ネガティブで卑屈な30代が海を渡るとどうなるのか、徒然なるままに。

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記事一覧

BoN Voyage 🇧🇬🇬🇷

居心地が良くて6日間も滞在したブルガリアはソフィアの最終夜、飛び込みで観戦した地元リーグの想像を遥かに超える盛り上がりに興奮覚めやらず、つい夜更かししてしまった…

KEISHIRO NINO
2週間前
12

チンチャンチョン処女卒業🇮🇷

サッカー以外で大声を出したのは何年ぶりだろうか。 話やニュースを耳にする度にそんなの受け流せば良いのにと軽んじていたが、いざやられてみると感情的になってしまうも…

KEISHIRO NINO
4週間前
22

月曜から夜ふかし〜後編・桐谷さん登場🇲🇾🇰🇿〜

クアラルンプールのラウンジで食事もシャワーも済ませ、機内用にYouTubeもダウンロードした。カザフスタンはアルマトイ空港までの8時間の備えは完璧だ。 出発ロビーの待合…

KEISHIRO NINO
1か月前
23

月曜から夜ふかし〜前編・多様性を探して🇯🇵🇲🇾〜

「世界一周」 そう息巻いて日本を飛び出したはいいものの、ドメスティックな事情とはいえ、ものの三ヶ月も経たずに帰国したのが昨年夏。様々な方々から送別会など開いてい…

KEISHIRO NINO
1か月前
20

映画『PIGGY』はラスト台詞で色物映画から大傑作に化ける。

『PIGGY』 99分 スペイン 監督 カルロタ・ペレダ 主演 ラウラ・ガラン 【STORY】 スペインの田舎町。精肉屋の娘、女子高生のサラはその体型から周囲から「子豚」と罵…

KEISHIRO NINO
11か月前
5

僕が映画『怪物』が大嫌いな理由

カンヌで脚本賞を受賞し、興行的にも大成功を収めた今作。 羅生門的手法で物事を多角的に見せ、我々が認知できるのはあくまでも一面に過ぎず、見えない部分、得体のしれな…

KEISHIRO NINO
11か月前
17

『くないは飛ぶよ。インドまで。』 ~日本語のお話~

「景色キレイくない?」「終わったくない?」 最近の若者言葉では「くない」が飛び交っている。勿論「寒くない」「赤くない」のように形容詞の連用形ではないので、明確な…

KEISHIRO NINO
1年前
7

Eternal Travel ~ロシア人の巣窟にて~

「ウクライナ軍がロシア軍の侵攻阻止、戦車〇両撃破~」「ウ軍反転攻勢で拠点奪還成功~」このような報道を目にする度に、僕は心のどこかにざらつきを感じていた。この戦争…

KEISHIRO NINO
1年前
8

『ペニスJAPAN』~ジョージアの温泉で裸の心震わせて~

男子校をしっかりとこじらせていた中高校生時代。合コンという一大イベントでは必ずグループ魂の『ペニスJAPAN』を歌っていた。そうして女子をげんなりさせた帰り道、ダサ…

KEISHIRO NINO
1年前
8

『健康優良不良少年』

インド、ヒンドゥー教の聖地バラナシ。ガンジス川の沐浴で有名なこの地がやけに気に入って、10日間ほど滞在していた時の話。 日の出、日没とともに河原で行われるプージャ…

KEISHIRO NINO
1年前
12

「優しさのベクトル」

「なんでこいつらこんな自己中なのだろう。」 海外で何度この負の感情を抱いたことか。例えば飛行機内でひじ掛けは間違いなく占拠されるし、ホステルの室内では夜中であろ…

KEISHIRO NINO
1年前
25

第2話『聖戦』#タイ2

バンコクでの宿はカオサン通りのホステルを取っていた。カオサン通りはバックパッカーの聖地と呼ばれ、旅の始まりにはうってつけだろう。 ホステルといえば、単身バックパ…

KEISHIRO NINO
1年前
22

28話『旅の恥を搔き集め』

バラナシで有名な和食屋「MEGU CAFÉ」は残念ながらコロナで閉店したようなので(26話参照)、別の和食屋「BUNNY CAFÉ」へ訪れてみることにした。日本だったら間違いなく…

KEISHIRO NINO
1年前
21

第1話『計画的無計画計画』#タイ1

バンコクはカオサン通りで「Anti Social Social Club」のTシャツを着ている青年を見かけた。ファイトクラブといえばブラッド・ピットの肉体と、ヘレナ・ボタム=カーターの…

KEISHIRO NINO
1年前
15

第27話『散髪』

髪を切った。理由は主に3つ。 1つ。 特にやることもなく、朝晩はガンガーを眺め、暑すぎる昼はカフェで過ごす日々が続き、何かイベントが欲しくなる。 海外で、しかもイ…

KEISHIRO NINO
1年前
16

第26話『振り返れば奴がいる』

今夜は日本食を食べに行こう。胃袋山根君。油ものもスパイスも苦手な僕にインド料理のハードルは高く、とにかく薄い味の優しいものを求めていた。 調べると、MEGU CAFÉと…

KEISHIRO NINO
1年前
16
BoN Voyage 🇧🇬🇬🇷

BoN Voyage 🇧🇬🇬🇷

居心地が良くて6日間も滞在したブルガリアはソフィアの最終夜、飛び込みで観戦した地元リーグの想像を遥かに超える盛り上がりに興奮覚めやらず、つい夜更かししてしまった。

バスターミナルまで歩いて10分の立地に宿をとっていたという油断もあるが、朝の便に乗るのにパッキングもせず寝てしまい、結局大慌てで宿を後にして、発車時刻7:30ぎりぎりの7:20にターミナルに到着。

結局毎度と同じくターミナル内の無数

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チンチャンチョン処女卒業🇮🇷

チンチャンチョン処女卒業🇮🇷

サッカー以外で大声を出したのは何年ぶりだろうか。

話やニュースを耳にする度にそんなの受け流せば良いのにと軽んじていたが、いざやられてみると感情的になってしまうものですね。

夕暮れ時。イラン、シラーズのカフェで一息ついていた折、向かいの席に5人の家族連れが。その中の10歳前後くらいのガキンチョが僕を見るなりチンチャンチョンと口にした。なにぶん生で聞くのが初めてなもので、最初はもしかしてと思って聞

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月曜から夜ふかし〜後編・桐谷さん登場🇲🇾🇰🇿〜

月曜から夜ふかし〜後編・桐谷さん登場🇲🇾🇰🇿〜

クアラルンプールのラウンジで食事もシャワーも済ませ、機内用にYouTubeもダウンロードした。カザフスタンはアルマトイ空港までの8時間の備えは完璧だ。

出発ロビーの待合は好きだ。これから向かう国の雰囲気をかすかに感じ取ることができるし、僕のフライトの道連れはこの中の誰なのかと夢想するのも一興。

搭乗が開始されたら早々に機内に乗り込む(LCCでは最後の方になると荷物棚が埋まっていたりして、預け荷

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月曜から夜ふかし〜前編・多様性を探して🇯🇵🇲🇾〜

月曜から夜ふかし〜前編・多様性を探して🇯🇵🇲🇾〜

「世界一周」

そう息巻いて日本を飛び出したはいいものの、ドメスティックな事情とはいえ、ものの三ヶ月も経たずに帰国したのが昨年夏。様々な方々から送別会など開いていただいていたこともあり、居た堪れないという表現がぴったりの帰国であった。

そんな背景もあり、今回は極力静かに旅立つことにした。7月8日。七夕を終えた月曜日である。

幾人かの友人が見送りに足を運んでくれ、深夜便を待つ間酒盛りの流れに。(

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映画『PIGGY』はラスト台詞で色物映画から大傑作に化ける。

映画『PIGGY』はラスト台詞で色物映画から大傑作に化ける。

『PIGGY』 99分 スペイン
監督 カルロタ・ペレダ
主演 ラウラ・ガラン

【STORY】
スペインの田舎町。精肉屋の娘、女子高生のサラはその体型から周囲から「子豚」と罵られいじめられていた。ある日、近所のプールに一人水浴びに出掛けたサラは、怪しげな男と、いじめっ子の女子3人組と遭遇する。そこでもサラは溺れかけるほどに苛烈ないじめを受け、着替えや荷物も持ち去られてしまう。泣く泣く帰路につくサ

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僕が映画『怪物』が大嫌いな理由

僕が映画『怪物』が大嫌いな理由

カンヌで脚本賞を受賞し、興行的にも大成功を収めた今作。
羅生門的手法で物事を多角的に見せ、我々が認知できるのはあくまでも一面に過ぎず、見えない部分、得体のしれない部分=怪物であり、そういった意味では人間は皆が怪物と言える。
なるほど、タイトルと映画の内容も上手くハマっているし、画の綺麗さ、役者の演技も名監督と名優の化学反応も素晴らしいと思いました。

だがしかし、僕は言葉遊びでなく、今作が大嫌いな

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『くないは飛ぶよ。インドまで。』 ~日本語のお話~

『くないは飛ぶよ。インドまで。』 ~日本語のお話~

「景色キレイくない?」「終わったくない?」

最近の若者言葉では「くない」が飛び交っている。勿論「寒くない」「赤くない」のように形容詞の連用形ではないので、明確な誤用である。
この手のいわゆる「若者言葉」が使われ始めた時に、「馬鹿者言葉だ」と不快に感じるか、「実に面白い」と興味を持つか反応の別れるところだ。後者の方がなんだか「本物感」「知的感」があるので(僕の中では荒俣宏を連想する)、本音では前者

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Eternal Travel ~ロシア人の巣窟にて~

Eternal Travel ~ロシア人の巣窟にて~

「ウクライナ軍がロシア軍の侵攻阻止、戦車〇両撃破~」「ウ軍反転攻勢で拠点奪還成功~」このような報道を目にする度に、僕は心のどこかにざらつきを感じていた。この戦争のロシア=加害者、ウクライナ=被害者という世界の共通認識に異を唱えるつもりはないが、ロシア軍の戦車が撃破されたということは、ロシア人が確かに死んでいるのだ。マクロ視点では当然喜ばしいことなのだろうが、少なくとも当事者ではない国の人間が「やり

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『ペニスJAPAN』~ジョージアの温泉で裸の心震わせて~

『ペニスJAPAN』~ジョージアの温泉で裸の心震わせて~

男子校をしっかりとこじらせていた中高校生時代。合コンという一大イベントでは必ずグループ魂の『ペニスJAPAN』を歌っていた。そうして女子をげんなりさせた帰り道、ダサ男たちは「結局女はラッドウィンプスなんすかね‼」なんて散々愚痴って盛り上がるのである。しかし、稀に現れるノリノリでぶち上げてくるJKには気後れして「いや、ちょっとあれは下品だわ、、」なんて言い出すのだから童貞男子は始末に負えない。

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『健康優良不良少年』

『健康優良不良少年』

インド、ヒンドゥー教の聖地バラナシ。ガンジス川の沐浴で有名なこの地がやけに気に入って、10日間ほど滞在していた時の話。

日の出、日没とともに河原で行われるプージャという礼拝を僕は毎日欠かさず見学していた。
ある朝、見学を終えちょっとした堤防の様なところに腰掛け、何をするでもなくぼうっとガンジスを眺めていると、突然背後からHey!!という声が。驚いて振り返ると5人組の少年たちに取り囲まれていた。年

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「優しさのベクトル」

「優しさのベクトル」

「なんでこいつらこんな自己中なのだろう。」
海外で何度この負の感情を抱いたことか。例えば飛行機内でひじ掛けは間違いなく占拠されるし、ホステルの室内では夜中であろうとイヤホンも使わずに動画を大音量で見ていたりする。日本人であればまずしないことばかりだ。
その度に「なんて嫌な奴だ」と表に出さずとも敵愾心を抱くのだが、その火がなかなかどうして続かない。というのも、「嫌な奴」のはずの彼らは、僕の気も知らず

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第2話『聖戦』#タイ2

第2話『聖戦』#タイ2

バンコクでの宿はカオサン通りのホステルを取っていた。カオサン通りはバックパッカーの聖地と呼ばれ、旅の始まりにはうってつけだろう。

ホステルといえば、単身バックパッカーが多く、そこで交流が生まれるのも楽しみの一つである。しかし、結局は身軽を好む人間たち同士なので、深く干渉し過ぎることもなく、一期一会の邂逅を楽しむ。どこか新宿のゴールデン街に似たところがある。

僕の宿泊するホステルは欧米人9割、ア

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28話『旅の恥を搔き集め』

28話『旅の恥を搔き集め』

バラナシで有名な和食屋「MEGU CAFÉ」は残念ながらコロナで閉店したようなので(26話参照)、別の和食屋「BUNNY CAFÉ」へ訪れてみることにした。日本だったら間違いなくガールズバーかその類のこの店名、今回はGoogleの最新口コミが2週間前ということも確認済みなので、閉店ということはないだろう。

GoogleMapもあてにならないとにかく複雑なバラナシの路地を右往左往しながらやっと店を

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第1話『計画的無計画計画』#タイ1

第1話『計画的無計画計画』#タイ1

バンコクはカオサン通りで「Anti Social Social Club」のTシャツを着ている青年を見かけた。ファイトクラブといえばブラッド・ピットの肉体と、ヘレナ・ボタム=カーターの嬌声。そして、この言葉遊びである。

旅の予定は狂うことこそ醍醐味だと信じてやまない僕からすれば、バンコクのドンムアン空港に着いた瞬間に入った一通の連絡は僥倖といえた。タイで会社を営む友人のO君から、今から事務所に遊

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第27話『散髪』

第27話『散髪』

髪を切った。理由は主に3つ。

1つ。
特にやることもなく、朝晩はガンガーを眺め、暑すぎる昼はカフェで過ごす日々が続き、何かイベントが欲しくなる。
海外で、しかもインドで髪を切るなんて話のネタには充分だろう。

2つ。
僕が滞在しているホステルはいわゆるヒッピー宿で、共有テラスでは昼夜問わず宿泊客がガンジャを吸っている。というのも、バナラシは大麻の神でもあるシヴァ信仰が強い。伝統的な大麻入りラッシ

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第26話『振り返れば奴がいる』

第26話『振り返れば奴がいる』

今夜は日本食を食べに行こう。胃袋山根君。油ものもスパイスも苦手な僕にインド料理のハードルは高く、とにかく薄い味の優しいものを求めていた。

調べると、MEGU CAFÉという和食屋が有名なようだ。宿から徒歩40分程下流のところにあるようなので、ディナーをいただいた後で別のガートのプージャを味わおうと算段し、16時過ぎに宿を出た。

いつも通り最寄りのアッシーガートからガンガーに降り、河沿いを歩き始

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