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#書評

「失われた時を求めて」を巡る冒険②

「失われた時を求めて」を巡る冒険②

数日前に↓を読了しました。

まさに名作文学。人間描写の厚みというか、誰もが秘める二面性のリアリティが素晴らしかったです。たとえば貴族に批判的でありつつ、実はいわゆるスノッブ(上級国民に憧れ、連中の真似をしたがる俗物根性みたいな意味)の顔も持つルグランダン。しかし語り手は、彼を不誠実な人物とは考えていません。

己のウィークポイントや課題を、案外自分がいちばんわかっていない。

権威を批判し、前例

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「人生初のシェア型書店」で出会った2冊

「人生初のシェア型書店」で出会った2冊

心地良い空間でした。

直木賞作家・今村翔吾さんが、神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」です。先日行ってきました。

シェア型書店へ足を踏み入れるのは初めての経験。ひとつひとつの棚をじっくり眺めました。

時代小説、純文学、ミステリィ、ビジネス書、歴史書、絵本、料理書、旅行書、写真集、アート関連、コミック……想像していたよりも多様なジャンルの本が置かれていました。版元は大きい会社もあるし初

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「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

GWも終盤ですね。

前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。

大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動くことは、連日稼動し続けるのとは違ったしんどさを伴います。

年中無休の書店で働く身です。しかし営業マン時代は、年末年始に1週間弱のお休みがありました。年明け最初の朝礼で社訓を叫んだら声がガラガラ。驚きました。毎日やっている時は平気だ

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本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」

本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」

暇な時間にレジで同僚と話をします。

基本的には本に関することだけ。ちょっとした一言が選書や仕事への取り組み方を見直すヒントに繋がります。

数年前、純文学好きの同僚と某作家の話をしました。好きだけど「面白い?」と訊かれて「面白い」と返せる本ではない。不遜にもそう伝えたら、彼は軽く笑ってこう返しました。

「それが文学のいいところじゃないですか?」

たとえばある書籍が「さほど売れそうにない」と評

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「新しい環境でモヤモヤを抱える」人へオススメの一冊

「新しい環境でモヤモヤを抱える」人へオススメの一冊

4月もそろそろ中盤です。

新しい環境に馴染めず、もしくは「思ってたのと違う」と戸惑い、モヤモヤを抱える人が少なからずいるはず。私もそうでした。

新卒で入った営業会社。朝8時スタートで帰宅は早くても夜10時半。出社時間はまだしも、帰りがここまで遅いとは面接で言われなかったし募集要項にも書かれていなかった。しかも休みは週1日。

同期が初オーダーを挙げた直後に「義理は果たしたよ」と言い残して去った

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「歴史から学ぶ意義」を実感させてくれた一作

「歴史から学ぶ意義」を実感させてくれた一作

歴史が好きです。

学ぶ過程で得られた諸々を、仕事やプライベートへ落とし込んでいます。

いま思うと、学生時代は「歴史=暗記」みたいな風潮が強かったです。歴史に限らず? テストでいい点を取るためにとにかく記憶する。試験が終わったら忘れる。親も教師も成績さえ良ければ何も言わない。

人生のある局面では、理屈抜きで覚える作業も必要でしょう。

しかし取り込んだ情報をいかに活用するか、が本来の学ぶ意義の

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『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』書評風読書感想文

『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』書評風読書感想文

ご紹介する本はこちら

<書籍情報(公式サイトより)>
【書籍名】学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話
【著者】ちいさな美術館の学芸員
【判型】四六判変型(124mm×188mm)
【ページ数】216ページ
【定価】本体1,600円+税
【発売日】2024年1月24日
【ISBN】978-4-86311-392-3

noteでの連載から生まれた本書は、現役の学芸員である著者が、美術館の楽しみ

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