笠井潔

笠井潔『テロルの現象学~観念批判論序説』

笠井潔は、『テロルの現象学―観念批判論序説』を、自分が「連合赤軍事件に対して有責であるという思い」から書いたという。有責であるというのは、かつて黒木龍思というペンネームで「拠点」「情況」「構造」「革命の武装」といった新左翼系理論誌で評論を書き、党派活動に関与していたためである。笠井は、マルクス主義は論理必然的に連合赤軍事件のようなテロリズムを生み出すという認識に到達し、戸田徹・小阪修平らとともに「

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「首切りの本質は……殺人という事実の隠匿です」

■感想文『バイバイ、エンジェル』/著者・笠井潔さん

現象学に秀でた学生である矢吹駆と、司法警察の警視モガールの娘であるナディアが、パリのヴィクトル・ユーゴー街で発生した死体をきっかけに、
謎を解いていくミステリー小説。とても緻密に書き込まれたロジックは、
なかなか引き込まれました。本格、と呼ばれるミステリー小説が好きなら、
私よりも、もっと楽しめる一冊なのかもしれません。

抽象的な概念の話が苦

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スキと感じてくださって、ありがとうございます!
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cinema, local, emotional 011

今日は福岡空港から愛知県の中部国際空港に飛びました。

写真は、オープンして間もない中部国際空港第2ターミナル。

「おかえりなさい!」とか、複数の県を「中部」で括ってみたりとか、「We have it all!」とか、プロジェクションマッピングとか。
底の浅いディレクターとデザイナーがそこそこの予算もらって仕事したのかな?と、いきなり辟易させられました。日本にこういった上澄みすくっただけのような

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不連続線と絶対の探求~竹本健治著『匣の中の失楽』をめぐって

零 相対化と絶対化のベクトル
 竹本健治の『匣の中の失楽』は、相反するふたつの意志のベクトルに貫かれている。
ひとつは、根底的なな相対化への意志であり、もうひとつは、絶対的なもの、超越的なものへの意志である。

壱 <現実>と<虚構>のあいだで
 まずは、相対化ということについて考えてみよう。
 読者は、まず「序章に代わる四つの光景」によって、以下のような光景を目撃することになる。
1.曳間了の霧

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天啓とウロボロス

前史
 竹本健治『囲碁殺人事件』(河出文庫)解説で、中井英夫は「竹本健治が『匣の中の失楽』で颯爽とデビューしたのは、弱冠二十一歳のときで……(中略)……『囲碁殺人事件』、そして『将棋殺人事件』と『トランプ殺人事件』を書き下ろしで刊行したときは、若いミステリーファンの歓声はさらに昂まった。それは笠井潔の『バイバイ、エンジェル』から『サマーアポカリプス』、そして『薔薇の女』と続く、いずれ劣らぬ力作が立

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笠井潔著『探偵小説と二〇世紀精神』

笠井潔の『探偵小説と二〇世紀精神~ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つか?』は、前半が「1 形式体系と探偵小説ロジック」、後半が「第三の波とポストモダニズム」となっている。
前半は法月綸太郎の言う<後期クイーン的問題>に呼応した内容を扱っており、エラリー・クイーンの『ギリシア棺の謎』と『シャム双生児の謎』が標的にされている。
これに対し、後半は巽昌章の「論理の雲の巣の中で」にインスパイアされており、

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コリン・ウィルソンに関する問題群

(初出 コリン・ウィルソン情報BBS)
(1) 投稿日:2003/02/02(日) 15:24:10
ここでは、コリン・ウィルソン関連の問題群を提示します。ここで答える解答はあくまで例ですから、各自自分なりに(実存的に)考えてみるとよろしいでしょう。
Q.コリン・ウィルソンの唱える新実存主義とサルトルの唱える実存主義との共通点と差異について答えよ。
A.『アンチ・サルトル』の邦訳がないのが、

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現代日本思想の基本書を読む

◆浅田彰著『構造と力―記号論を超えて』(勁草書房、1983)
 本書は、現代思想(現象学/実存主義~構造主義~記号論~ポスト構造主義)の流れをチャート化し、各人がこれを実践的に応用できるように書かれている。
 まず、第一ラウンドは、「現象学/実存主義」批判である。ソシュールの構造言語学を、文化人類学のトーテミズム等の解明に応用したクロード・レヴィ=ストロースの「構造主義」が取り上げられ、「構造主

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