この本を手にすれば 豪華客船で美酒を口にして ゆったりと揺られているような 気持ちになる 古今東西・酒の旅 日本酒もブランデーも極上ものは 味が水に近くなる 東北の酒は 仏ボルドーの白葡萄酒の香りがする 缶入りのほろ酔いジントニックを 飲みながら読めば さらに酔い心地となる
吉田健一先生によれば 「犬が寒風をよけて日向ぼっこをしている」 ような境地が最上の酔い方だという。
【本】吉田健一「汽車旅の酒」。吉田健一にとって旅も酒も同じで、効率や目的なんてみみっちいことを考えずに、それが与える幸福な時間に浸っていればよい。それを表現したのが小説だ。最後に載っている二つの小説は陽だまりのようだ。平穏な田舎暮らしを書くだけで一編の作品になるのは心地よい。
河の水までがウイスキー色をして流れているスコットランドでは 道端の小さな飲み屋で飲むウイスキーも例外なしに旨いと 英国帰りの健一 この本を手にとれば 豪華クルーズ船に乗って美酒佳肴を口にしながら ゆったりとゆられるようで何とも心地よい 寝床で読めばすぐ眠りに ああ、しあわせ