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【腕前】人生には腕前が必要だ!?

「人生の腕前」。
光文社文庫、740円プラス税。
 
そんなタイトルの文庫を
見つけた時、足が止まった。

今年の秋、本屋さんの文庫売り場で
この新刊を見かけた時は、
頭に何かひっかかりました。
うん? 

普通は、腕前といえば、
料理の腕前、
大工さんの腕前、
裁縫の腕前、
運転の腕前といった風に使いますね。

で、人生に腕前? 

人生には「腕前」が必要なのかあ?
うまいこと、おっしゃる!

確かに、人生には、
才能とか貯金とかも必要だけど
腕前かあ? 
けだし、名言だなあ。
 
著者は岡崎武志さん。
渋い本や作家の世界を開拓してきた
達人ライターさんだ。

さて「人生の腕前」。
目次を見て、さらに唸りました。

この本は、
高い腕前を持って生きてきた
達人たちを紹介する評伝エッセイ。

紹介されるのは、
なんだか飄々と、あるいは
颯爽と生きた自由人ばかりだ。

1人目は、
小説家の井伏鱒二。
ユーモラスに飄々と
生きた作家の典型人ですね。
『山椒魚』は哀しいけれど
とってもユーモラスでした。

2人目は、歌手の高田渡。 
フォークソングの第一人者。

3人目は、評論家、翻訳家の
吉田健一。
いつまでも続く吉田健一の文章は
読んでいると、こちらまで
酔っぱらってくるような、
不思議な魅力の文体でした。
この人もまた、飄々と生き、
生きたいように生きた文筆家。

4人目は、作家の木山捷平さん。
今も、木山捷平文学賞という 
文学賞があるくらい、
カッコとした実力の小説家。
その作品も、威圧感のない飄々ぶり。

5人目は、詩人の田村隆一氏。
昭和の詩人でもっとも
ダンディな詩を書き、
もっともダンディな生き方をした男。

6人目は、
落語家の古今亭志ん生。
貧乏のドン底な体験さえお笑いにする
筋金入りの落語家さんでした。
昭和に悠々に生きたクリエイターで
噺家・志ん生を漏らさない辺りは、
著書、岡崎武志さんのセンスの
見事さがよくわかりますね。

最後の7人目は、
絵本作家で、エッセイストの
佐野洋子さん。
ああ、確かに、この人もまた、
自由に飄々と颯爽と
生き抜いた作家でしたね。
そうかあ、、、佐野さんみたいな人を 
腕前ある生き方というのかあ?

野暮なところもない。
生真面目なところもない。
ただし、太い芯が一本、
きちんと通った人たちばかり。
そうした、硬さ軟かさを
バランスよく生きるのが
腕前ってことらしい。

こんな人たちの評伝を
悠々と書いてしまえる著書・
岡崎武志さんも、やはり、
人生の腕前がある人にちがいない。

日頃から、
人生には
夢や才能や愛が必要なのは
わかっていましたが、
腕前が必要とは、、、?!


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