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「集英社ギャラリー[世界の文学]イギリスⅣ」

吉田健一(ウォー)・矢野浩三郎(アトウッド)・富士川義之(マキューアン)・出淵博(イシグロ) 訳  集英社版世界の文学ギャラリー  集英社

読みかけの棚から
読みかけポイント:掲載作品のうち、シリトー、オブライエン、マードック、スパークの中長編は別のところで読んだ。ウォー「ピンフォールドの試練」を前半の長編部分では読む。「蝿の王」はずっと昔、文庫で挫折(笑)。後半の短編集のうち読んだのが、アトウッド(この本表記だとアットウッド)、マキューアン、イシグロの3作品。

マーガレット・アトウッド「ダンシング・ガールズ」

昨日買ってきた集英社版世界の文学ギャラリーのイギリス4で、短編集(イギリスには短編が少ないと解説の方は言っていたが)からアットウッドの作品をみつけ、早速それから読んでみることに。
作品(「ダンシング・ガールズ」)は海外留学生のアメリカでの孤独ということで、コンラッドにも似たテーマ(こっちは沈没した移民船から流れついたスラブ系の男の話)の作品あった。
何故アットウッドの名前知ってたかというと、前に「侍女の物語」というこの作家の長編小説の紹介を見たことがあったから。女性が子供を産むだけの奴隷と化した近未来世界という、「1984年」というか、ちょっと前のアフガニスタンというか…
まあ、ウィキペディアやアマゾンで調べてみたところ、その作品以外にも邦訳割とあって更に興味がわく。劇中劇になっている作品とか。アトウッド…なのか…らしい。ギャラリーではアットウッド。
アトウッドはカナダの女流作家(カナダで言えばあと自分が知っているのはマコーマック…って、こっちはスコットランド出身でカナダ在住なのか…どっちにしてもクセのある作家だなあ…)。カナダの人々って、(アメリカではなく)カナダ人なのだ、というこだわりを持っている人が多い。この「ダンシング・ガールズ」の主人公もそう。
(2008 09/07)
補足:この集英社ギャラリー版は矢野浩三郎訳。池澤夏樹監修世界文学全集の短編集1では岸本佐知子訳。岸本訳はもともとは1989年に出た「ダンシング・ガールズ」というアトウッド短編集のもの(らしい)

イアン・マキューアン「ポルノグラフィー」と石黒一雄「夕餉」


石黒一雄は、カズオ・イシグロの方が通りがよい。
昨日は集英社版世界の文学ギャラリーのイギリス4からやっぱり短編集。標題の二人の短編。
まあ、同じ短編集に収められていなければ同時には読まれないだろうなあ、と思うほど作風が違う。一方はロンドンのポルノ書店、一方は鎌倉のとある家での夕餉(ゆうげ)。でも、続けて読んだなりの発見もあって、どちらの短編も部屋(それも空っぽというか、あんまり部屋として機能してないというか…)の描写が巧み。
イアン・マキューアンは最近(といっても、集英社版世界の文学ギャラリーが出た頃の最近)長編も手掛け始め、カズオ・イシグロはもう言うまでもなく知られることに。どうなのだろうか? 今のところよくわからないが。
(よくわからないのならまずは読めって?)「日の名残」から?
(2008 09/11)

ウォー「ピンフォールドの試練」

…を読み始め。ウォー自身だと思われる50代の作家がビルマへの南洋航路に乗り静養に出掛ける。その船上で睡眠薬他による幻覚に襲われるという話。ウォーならではのくすぐりが数々。結末は「大転落」のように循環する。循環の手法としてはノーテボームの「これから話す物語」に一番近いのだが、あの作品にあったような絶望感というよりはライトな感覚。
(2008 10/30)

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