国書刊行会

東都西北、様々な意味において辺疆に位置する特殊版元です。新刊・近刊について編集・営業担…

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東都西北、様々な意味において辺疆に位置する特殊版元です。新刊・近刊について編集・営業担当者が綴ります。

最近の記事

【圧巻20000字】奇書好き必見『教皇ハドリアヌス七世』訳者あとがき公開!

「冴えない中年作家がある日突然教皇になって宗教改革を始める」。そんな「なろう小説」のような内容が話題の奇書『教皇ハドリアヌス七世』(コルヴォー男爵/フレデリック・ロルフ)の刊行を記念して、大野露井さんによる「訳者あとがき」を公開します。 奇人作家「コルヴォー男爵」とは、どのような生涯を送った人物だったのか? 『教皇ハドリアヌス七世』とは、いったいどのような内容の「奇書」なのか? あとがきのボリュームは、圧巻の約20000字。 またとない大盤振る舞いの機会ですので、ぜひ本書購

    • 【話題書】川端裕人さん『ドードー鳥と孤独鳥』装幀制作小話

      新刊の川端裕人さん著『ドードー鳥と孤独鳥』は、科学記者「タマキ」とゲノム研究者「ケイナ」の幼馴染ふたりが、かつて江戸時代の日本に来ていた絶滅鳥「ドードー鳥」の足跡と謎を追う長編小説。 ノンフィクションのような味わいの科学小説でもあり、謎を追った先に驚きの結末が待つミステリでもあり、ジュブナイル、あるいはお仕事小説のような主人公たちの成長物語でもある、多面的で豊かな味わいをもつ本作は、おかげさまで話題を呼び、さまざまな雑誌・webメディア・動画サイトで取り上げられ、多くの読者の

      • 【100年前の「なろう小説」⁉】伝説的奇書『教皇ハドリアヌス七世』がついに邦訳!

        編集部(昂)です。 鈍器・奇書製造に定評ある弊社から、またしても恐るべき奇書が刊行されました。 その名は『教皇ハドリアヌス七世』。 この奇妙な題名の小説の作者は、「コルヴォー男爵」というこれまた奇妙で怪しげな名の人物。 『教皇ハドリアヌス七世』とはいかなる書物なのか? 「コルヴォー男爵」とは果たしていったい何者なのか? そして、「100年前のなろう小説」とは一体どういうことなのか? これより、100年の時を経て令和に翻訳召喚された恐るべき奇書の正体と、その秘密を明かします

        • 『吉田健一に就て』刊行記念・「序文」「あとがき」公開

          2023年10月、『吉田健一に就て』(川本直/樫原辰郎/武田将明 編)が刊行されました。 19人におよぶ執筆者が、《最後の文士》と言われる吉田健一をさまざまな観点から論じた、550頁を超える破格の本です。 本書の成り立ちおよび各論の特色について書かれた、川本直さんによる「序文」と、本書の読みどころに触れた、武田将明さんの「あとがき」を、ここに全文公開いたします。 序文 川本直  吉田健一(1912~1977)は様々な顔を持つ。英文学、フランス文学、日本文学を自在に往還し

        【圧巻20000字】奇書好き必見『教皇ハドリアヌス七世』訳者あとがき公開!

          【スパニッシュ・ホラー文芸】マリアーナ・エンリケス/宮﨑真紀訳『寝煙草の危険』訳者あとがき公開

          このほど現代アルゼンチン文学を代表する作家マリアーナ・エンリケスの第1短篇集『寝煙草の危険』(宮﨑真紀訳)を、エルビラ・ナバロ『兎の島』に続く〈スパニッシュ・ホラー文芸〉第2弾として邦訳刊行しました。幸い、刊行以来好評を博しております。 ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロも「ガーディアン」「ニューヨーク・タイムズ」などの錚々たるメディアで折に触れ絶賛、英訳は2021年度の国際ブッカー賞の最終候補にもなった、世界的にも大いに売れているホラー文芸短編集です。 刊行を記念しまして

          【スパニッシュ・ホラー文芸】マリアーナ・エンリケス/宮﨑真紀訳『寝煙草の危険』訳者あとがき公開

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】ウラジーミル・ソローキン関連文献リスト

          国書刊行会創業50周年記念として復刊した、ウラジーミル・ソローキン『愛』(亀山郁夫訳)、『ロマン』(望月哲男訳)が、お陰さまでたいへん好評です。 ソローキンは、《現代ロシア文学のモンスター》の異名を持つ通り、「狂気」「異常」といった言葉が似合う、過激で実験的な現代ロシア文学を代表するポストモダン作家。 その初期の代表的な2冊が『愛』と『ロマン』です。 刊行直後から、想定以上の異常な速度で初版在庫が消えてゆき、『愛』はたった3日で、分厚くて重い『ロマン』も1か月弱で完売。

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】ウラジーミル・ソローキン関連文献リスト

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】『ロマン』新装版訳者あとがき

          国書刊行会創業50周年記念として新装復刊した、ウラジーミル・ソローキン『ロマン』(望月哲男訳)が、『愛』(亀山郁夫訳)に続き重版となりました。 弊社のTwitterでの重版告知文や、『文藝』誌上での川名潤さんによる「装幀評」をご覧になった方はご存じかもしれませんが、本書と『愛』の突飛な装画は、なんとAIによって描かれています(装幀=松本久木)。 この異常装幀の秘密は、いずれどこかで詳しく語りたいと思いますが、まずはこのたびの重版に感謝を申し上げ、訳者望月さんによる、『ロマ

          【新装版『愛』『ロマン』重版記念大公開!】『ロマン』新装版訳者あとがき

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之二 所収「序文」の紹介

          ドナルド・マイケル・クレイグ『モダンマジック』第3版には、1組と3名の魔術師から序文が贈られております。その中からここで一部を抜粋してご紹介するのは、ひとつ目がジョン・マイケル・グリアのもの、ふたつ目がデヴィッド・F・ゴドウィンのもの。 ジョン・マイケル・グリアは「黄金の夜明け」系列の良書を多数出版しております。「アメリカ古代ドルイド団」のドルイド大司教でもあり、2013年には「ドルイド的結社 黄金の夜明け」団も設立しております。 デヴィッド・ゴドウィンは本書で入手を推奨され

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之二 所収「序文」の紹介

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之一 あるいは本物の儀礼魔術師になるための鈍器本

          〈本物の魔術師に、なりたくはないか?〉「Mr.マリックとか、引田天功?」って、それもすごいんだけど、それってMagicって綴るほうの魔術で、いわゆるマジシャンでしょ! 「ハリーポッター?」って、それってファンタジーの魔法のほうだし! そうじゃなくって、Magickって綴る魔術で、アレイスター・クロウリーとか、オースティン・オスマン・スペアとか、ダイアン・フォーチュンとかのやつですよ。 さて、このたび当社から刊行されますドナルド・マイケル・クレイグ著『モダンマジック』。原書は

          【実際に機能する魔術の教程本『モダンマジック』】其之一 あるいは本物の儀礼魔術師になるための鈍器本

          『長距離漫画家の孤独』製作よもやま話

          文=樽本周馬(国書刊行会編集部)   2023年1月22日(日)読売新聞朝刊の書評欄にて辛島デイヴィッドさんによるエイドリアン・トミネ/長澤あかね訳『長距離漫画家の孤独 通常版』の書評が掲載されました。去年4月に刊行された本の書評が今出るのも異例で、大変嬉しいことです。この機会に小社Twitterでポソポソとつぶやいていた本書の製作にまつわる裏話をまとめておきたいと思います。 まずは本書『長距離漫画家の孤独』について改めて簡単に紹介します。 エイドリアン・トミネは1974

          『長距離漫画家の孤独』製作よもやま話

          【スパニッシュ・ホラー文芸】奇妙で鮮烈な迷宮的悪夢を描く短篇集『兎の島』刊行!

          編集部(昂)です。うさぎ、白くてふわふわでとっても可愛い生き物ですよね。 このたび国書刊行会より、〈スパニッシュ・ホラー文芸〉の旗手エルビラ・ナバロによる、11篇の奇妙で鮮烈な短篇を収めた怪奇幻想作品集『兎の島』(宮﨑真紀訳)を刊行します。 川の中洲で共食いを繰り返す異常繁殖した白兎たち、 耳から生えてきた肢に身体を乗っ取られた作家、 レストランで供される怪しい肉料理と太古の絶滅動物の目撃譚、 死んだ母親から届いたフェイスブックの友達申請…… 現代文芸やホラー、あるいは

          【スパニッシュ・ホラー文芸】奇妙で鮮烈な迷宮的悪夢を描く短篇集『兎の島』刊行!

          【note限定】『陽だまりの果て』著者・大濱普美子氏、書き下ろしエッセイ

          発刊以来静かな支持が広がる『陽だまりの果て』の著者・大濱普美子さんから、本書にまつわる書き下ろしエッセイが届きました。本書をすでにお読みになった方も、まだの方も、どうぞお楽しみください。 記憶のかたち、かたちの記憶  目の前の壁に、五枚の油絵が掛かっている。全て同じような色と形と大きさをして、上背は二メートルくらいもありそうだ。一目したところぼんやりとおぼろげな画像は、光と影とが作り出した模様らしい。縦長の窓があって、その硝子の表面を覆い尽くしてキャンバス地が下がり、そこに

          【note限定】『陽だまりの果て』著者・大濱普美子氏、書き下ろしエッセイ

          【話題沸騰】ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』(木原善彦訳)訳者あとがき公開

          刊行即話題大沸騰!! 無職、肥満、哲学狂、ひねくれ者で口達者な崖っぷち30歳問題児が、借金返済のためしぶしぶ職を求めて就活を開始。ニューオーリンズの街で変人奇人たちと爆笑の大騒動を巻き起こす、全世界200万部超ベストセラー&ピュリツァー賞受賞作の爆笑労働ブラックコメディ、ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』。 デヴィッド・ボウイも愛読したという、アメリカ・カルト文学史上の伝説的傑作である本作は、いったい、どんな内容なのでしょうか? 御参考までに、刊行を記念して木原善彦

          【話題沸騰】ジョン・ケネディ・トゥール『愚か者同盟』(木原善彦訳)訳者あとがき公開

          【ピュリツァー賞&全世界200万部突破】米カルト文学史上の伝説的傑作『愚か者同盟』刊行!!!

          編集部(昂)です。 このたび国書刊行会から、アメリカカルト文学史上の伝説的傑作『愚か者同盟』を刊行します。 作者は、アメリカの作家ジョン・ケネディ・トゥール(John Kennedy Toole)。原題は "A Confederacy of Dunces"、1980年にLSU Pressより刊行されました。   訳者は、日本翻訳大賞・日本翻訳出版文化賞をW受賞したウィリアム・ギャディス『JR』や、一昨年大きな話題になったデイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』

          【ピュリツァー賞&全世界200万部突破】米カルト文学史上の伝説的傑作『愚か者同盟』刊行!!!

          【刊行記念】ピラール・キンタナ『雌犬』(村岡直子訳)訳者あとがき全文公開!

          ピラール・キンタナ『雌犬』(村岡直子訳)刊行を記念して、本書の訳者あとがきを以下に全文公開します。 衝撃的な内容が全米で物議を醸した、スペイン語圏屈指の実力派作家による本作『雌犬』が生まれるまでの驚くべきエピソードと、作家キンタナの一風変わった経歴についてご紹介します。 ~~~~~ 『雌犬』訳者あとがき  村岡直子 ジャングルと海がせめぎあう、コロンビア太平洋岸の僻村。都市まで小型船で一時間、それ以外には外部にアクセスする手段のないこの土地の住人たちは、服や靴といった

          【刊行記念】ピラール・キンタナ『雌犬』(村岡直子訳)訳者あとがき全文公開!

          雌犬と女の奇妙な愛憎関係を描く全米話題作『雌犬』(ピラール・キンタナ)を刊行します

          国書刊行会編集部(昂)です。   このたび衝撃的な内容が全米で物議を醸した、スペイン語圏屈指の実力派作家による話題作『雌犬』(ピラール・キンタナ/村岡直子訳)を刊行します。   2020年、柳美里さんの『JR上野駅公園口』が受賞したことで話題になった全米図書賞・翻訳文学部門(National Book Award for translated literature)。世界中の非英語圏トップクラスの英訳文芸作品が集まる同賞同部門ですが、そのとき、そこで覇を競った一冊の小説があり

          雌犬と女の奇妙な愛憎関係を描く全米話題作『雌犬』(ピラール・キンタナ)を刊行します