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意味のない妄想シリーズ「彼が私の甘さになるまで。」
突然だった。
本当に突然。
全身を貫く甘いものに、侵された。
週に2日程度お手伝いに行くスナック
そこで彼と出会った。
その日は、毎回火曜日で一人だけ綺麗な服装でやってくるその人を私は気にしていた。
彼はいつも楽しそうに一人で行った旅行の話をする。
スナックでふざけるお客さんと一緒に楽しむ彼の姿が好きだった。
・・・
じっと静かに私がグラスを拭く所作を見て、視線を私にあげる。
ニヤっ
意識的にする恋には、無意識の恋ほどの強烈さはなかった。
あ、
これ好きだわ。
・・・
年齢を重ねると、だんだん簡単に人を好きになれなくなっていて
恋人なんていなくても一人で幸せに生きる方法も知っていって。
そうして気づくとどうやって人をすきになってたっけとなる人もいる。
友達が最近マッチングアプリで出会った人と、結婚したらしい、
へぇ、
じゃあ私も入れたら恋人くらいできるかな。
いざ入れてみると
あれ。
好きな人すら
まず会うことすら面倒くさ
チロルチョコなバレンタインデー、嗅覚の未練がましさが恋を誘導した。
1日目
「この匂い…」
その少し濃い匂いと共に彼の顔がパッと浮かんだ。
そうして
なんだか気持ちよくなって人気のない奥の席を仰いだ時、
恋に落ちたことに気づいた。
「こんにちは〜」
オープンしたばかりの夜間食堂にやってきたのは、
店長の知り合い達だった。
まだ広告も出していないからか、お店を出して連日知らない顔ぶれの人たちがゾロゾロと店長と会話を交わしながらお店に入る。
ホール