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意味のない妄想シリーズ「彼が私の甘さになるまで。」

突然だった。

本当に突然。
全身を貫く甘いものに、侵された。




週に2日程度お手伝いに行くスナック
そこで彼と出会った。

その日は、毎回火曜日で一人だけ綺麗な服装でやってくるその人を私は気にしていた。

彼はいつも楽しそうに一人で行った旅行の話をする。
スナックでふざけるお客さんと一緒に楽しむ彼の姿が好きだった。



・・・


じっと静かに私がグラスを拭く所作を見て、視線を私にあげる。

ニヤっとして、
微笑むから、
なんだかいつもより私を意識しているようで。

いや、私が彼を見ていた。


たまにうまくできない私のことを助けてくれるのも、
ふざけていじる様子も、
好きだった。

でも、所詮お客さんで
その場を楽しみに来ているだけ。


「僕そこにいた人のこと覚えていないんですよ。
気にしていないというか。そこを楽しみに来ているから」

話している会話を聞く。

でも、それが普通か。

気を張って誰かと何かを作りにくる人の方が少ないか。

私の名前
覚えていた。


女性を意識している様子もなくて、
その自由な周りのことなんて気にしない様子も好きだった。

好きだったしかかいていないか。





彼の綺麗なジャケットに体が収まった。


外の冷たい空気から彼の匂いに染まる。

どうしよう、
すぐにパッと離れる。

笑って、ありがとうございますと顔を下げてみる。

帰ろう。

耳に落ちる声。

まるでここにいるのが自然みたいに、
私は彼に包まれた。

絶対にこんなことをしない人だと思っていた。


どうしよう。

ドキドキして、
もう胸の奥まで彼に掴まれていた。


みんなでご飯に行った帰りだった。
二人になった私たちには、少しだけぼやっとした空気が流れる。

さっき、
目の前に座る私に突然言った。

頬杖をついて、赤く染まった頬に
優しい視線

「僕、好きだなぁ」

勘違いで、自意識過剰であって。




さっきまでとは違ってお酒に酔った様子はなく、
タイトスカートで足を引っ掛けた私を抱きしめる。

いい匂いだ。

思い切り抱きつきたい。


少し久しぶりの甘い書き殴り妄想ストーリーだ。

普通のR

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