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#ノンフィクション
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #5
(前回)
「事件」が起こったのは9月初旬のことだった。
当時、店では新しいキャストが勤務を始めていた。
ナノハという源氏名で、地雷系ビジュアルの可愛い女の子だ。昨年度までは浅草方面の店で働いていたらしい。引っ越しに伴い、知人の紹介もあってこの店に入店することになった。
それだけならよくある話だが、このナノハはちょっと特別だった。何しろ恐ろしいほどの太客を連れてきたのだ。
その太客というのはミ
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #4
(前回)
出版社に勤めていた頃は、毎日同じ社員と顔を合わせるだけの日々だった。
コロナ禍によって自宅でのリモートワークがメインになってからは、誰とも会わない時期が続いた。
人と話すのが好きな僕には、正直つまらなかった。
僕の世界が一変したのは、キャバクラの黒服を始めてからだ。場末のキャバクラとはいえ、いつも違った顔ぶれの客と出会える刺激に勝るものはなかったのだ。
僕が勤めていた店では、客層
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #3
(前回)
中野区のさびれたキャバクラに勤務して1か月が経っていた。
薄給で衛生面も良くない、場末感のただようバイト先。
ゴミだめのような環境で僕が辞めずにいられたのには理由がある。
不思議なことに、可愛い女の子が多かったのである。
特に僕のお気に入りだったのはリタという源氏名の女の子だ。
モデルのように背が高く、日本人形のように黒髪を伸ばした清楚系だった(水商売に従事している時点で清楚系もへ
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #2
(前回)
「さっそく今日から入れる? 初日は『体験入店』だから時給1000円だけど」
面接後、白髪の男から声をかけられた。
平常時の時給ですら求人情報より300円も安くしておいて、なんと初日は時給1000円。あまりのケチ具合に呆れるが、僕は「はい、いけます!」と笑顔で元気よく答えた。
バカだと思わせておいて損はない。こちらもネタ探しに来ているのだから。
僕が水商売の初心者であることは店側も