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#退職エントリ
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #6(完結編)
(前回)
かつて勤めていた出版社は、決して悪い職場ではなかった。
大手企業で給与も十分、人間関係も良好だった。
それでも退職しようと思ったのは、自分の居場所ではないと思ったからだ。
物書きとしての夢を追うため、もっと相応しい居場所があると信じた。
出版社を退職して1年後、僕はキャバクラで黒服をすることになった。
汚い場末のキャバクラだが、出版社にいた頃とは別の楽しさを感じていた。
執筆業と両
出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #5
(前回)
「事件」が起こったのは9月初旬のことだった。
当時、店では新しいキャストが勤務を始めていた。
ナノハという源氏名で、地雷系ビジュアルの可愛い女の子だ。昨年度までは浅草方面の店で働いていたらしい。引っ越しに伴い、知人の紹介もあってこの店に入店することになった。
それだけならよくある話だが、このナノハはちょっと特別だった。何しろ恐ろしいほどの太客を連れてきたのだ。
その太客というのはミ
京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #3
(前回)
配属ガチャから抜け出すために
長時間の立ち仕事や多忙な勤務スケジュールなど、コンビニ店員という職業は楽なものではない。にも関わらず、都内某所のファミリーマートで見かけたA氏は、今日も穏やかな表情で働いていた。
「あと数年したら希望の部署に配属されるかもしれない。それだけを希望に働いてます。ただ、自分の市場価値が下がっているのも実感しています。だからこそ保険で資格の勉強をしています」
京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #2
(前回)
この会社にいること自体がリスクなのか?
「ゆるブラック企業」とは、長時間労働や過剰な責任、精神的ストレスがない代わりに、仕事に対する意欲ややりがいを感じられない企業を指す。近年、ブラック企業の減少にともない、このような環境で働くことに不満を抱く人が増えてきている。
A氏もその一人である。彼にとって、年を取ってもスキルアップができないという現実が将来への不安材料になっているようだ。
「
京大卒で大手入社したらコンビニ店員になった話 #1
早朝のコンビニは騒がしい。客が入ってくるチャイムの音、店内を歩き回る音、コーヒーマシンの音、飲み物の補充音、全てが混ざり合う。コンビニでは、音を拾いながら動くことが大事だとA氏はいう。
今回話を聞かせてくれたA氏は京都大学を卒業後、大手インフラ企業に就職。1年目から駅ナカ事業(駅の中や周辺施設におけるビジネス展開)を担当する部署に配属され、駅構内での小売店の売上促進を担当している。
字面として