誰鏡 照

うつ病歴20年。病魔と闘いながら詩を紡いでいます。同じく心を病んでしまった人の支えにな…

誰鏡 照

うつ病歴20年。病魔と闘いながら詩を紡いでいます。同じく心を病んでしまった人の支えになれることを夢見て。 誰鏡照という名は、ダレカガミテル、誰かが見ていてくれてるよ、という希望からつけたものです。 あなたは一人じゃないよ、それだけを伝えたくて、今日も拙い詩を書きます。

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もしもあなたが私の恋人だったら 私の細胞ぜんぶ あなたの一番好きな色に塗り替えて ベッドの乾いた汗は染みになって 翌日は必ず晴れ 風船みたいに針でつついたら す…

誰鏡 照
2か月前
3

エンドロール

やけに長いエンドロールだった だけど僕には足りなかった 映画のタダ券2枚あるんだけど 君を誘う口実に支払った3600円 その価値はあったよな いや数百倍あったよ…

誰鏡 照
2か月前
2

儀式

儀式としての口づけ 冷たくて硬い唇 なんてジョークみたいなさよなら まだ愛されてることを知ってた 二人を結ぶ縄を 断ち切ろうとする私を あなたは黙って見ていた …

誰鏡 照
2か月前
3

悪癖

ちょっと疲れていると 生きてる意味なんて考えだす 僕の悪癖 なおらないだろうなぁ 笑い飛ばしてくれた人のことを いつまでもズルズル引きずって もうあんな人には出…

誰鏡 照
2か月前
1

千里

その隙だらけの笑顔は ピルを飲んでないAV女優か 今にも抱き締められそうな距離で つっこみを入れずにはいられない だけどもし心を通わせようと思ったら その入り口ま…

誰鏡 照
2か月前
1

ドリル

心にも体にも障害を持っている せめて体のほうだけでも治したくて 脳の手術を受けることに決めた 頭に4カ所ブスリと麻酔を打たれて 頭蓋骨と脳みそにドリルで穴を開けるの…

誰鏡 照
2か月前
2

天才

絵心がなくて それでも死ぬ思いで藝大に入って やっぱり才能がなくて 酒浸りになって27で死んだ 私だけが歳をとっていく 今の私をまだ抱ける 墓石に尋ねてみても …

誰鏡 照
2か月前
2

向日葵

あなたに私の一番好きだった笑顔で もう笑って欲しくない 他の誰にも見せないで せめてそれだけは これからも私だけのもので カメラの早回しで向日葵が咲くような 私…

誰鏡 照
2か月前
1

髪の香り

やっぱり男だからさ 抱き締めたいとか思っちゃうわけよ 君がそんなこと望んでないの百も承知でさ 星空見上げちゃったりするわけよ 今日も可愛かったなあって ティッシ…

誰鏡 照
2か月前
1

はさみ

おなかが空くと 子どもの頃を思い出す 硬くなった菓子パンを 齧ってた子どもの頃を 何か言うと 産んでやった恩も忘れてと殴られた 地獄という言葉を知った時 そんなこ…

誰鏡 照
2か月前
1

血糖値

バナナクレープを食べたのに 全く言葉が出てこない 血糖値と詩作は比例する かと思うとすごい空腹時に 言霊が溢れてきたりする 要は謎に包まれた生き物だ 物書きって…

誰鏡 照
2か月前
3

血縁

お風呂に入れなかった最高記録は何日だろう そんなこと忘れた 忘れたほうがいいんだ 叔母は鬱病で自殺した その血を色濃くひく私は 一体どんな最期を遂げるのだろう …

誰鏡 照
2か月前
3

悪くはないよね

おつかれさまじゃ足りないから 抱き締めて頭を撫でている もういいよと笑うあなた もっとしてほしいくせに 声で分かるよ 生きることに何の心配も要らなかった 子ども…

誰鏡 照
2か月前
1

初声

あなたのことですから 散々言われてきたことでしょう 私には分不相応な 上等で上質な男 数知れない告白を撥ね退けて ここまで残っていてくれていたのは 私なんかを選ぶため…

誰鏡 照
2か月前
2

探し物

疲れ切った身体を引きずって 家路に着く 重くなりがちな足取りを 周りの人間たちに強要されるように 速足に変える 一人きりの俺の城へ ただいまが独り言なんて笑える…

誰鏡 照
2か月前
1

木漏れ日

乾かないで涙 あの人はもういないの だからせめてあの人の為に泣いている 私の証を消さないで下さい この悲しみが癒える頃 私はまだ生きているかしら それともあなた…

誰鏡 照
2か月前
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color

もしもあなたが私の恋人だったら
私の細胞ぜんぶ
あなたの一番好きな色に塗り替えて
ベッドの乾いた汗は染みになって
翌日は必ず晴れ
風船みたいに針でつついたら
すぐ割れちゃう魔法じゃなくて
氷水の中にかかる虹を抄ったら
二人の体温まで暖めるの
とっても時間がかかるのよ
それが嬉しくて嬉しくて
たまらないのよ

エンドロール

やけに長いエンドロールだった
だけど僕には足りなかった
映画のタダ券2枚あるんだけど
君を誘う口実に支払った3600円
その価値はあったよな
いや数百倍あったよな
2時間も二人隣同士で
君と座ってられたんだから
エンドロールが終わる
僕の恋も終わる
いい映画だったねと笑う君は
彼の元へと帰る

儀式

儀式としての口づけ
冷たくて硬い唇
なんてジョークみたいなさよなら
まだ愛されてることを知ってた
二人を結ぶ縄を
断ち切ろうとする私を
あなたは黙って見ていた
微かに微笑みながら
大切の意味も分からずに
逃げ出そうとする私を
人は変われない
愛されずに育った私は
愛されることに耐えられない

悪癖

ちょっと疲れていると
生きてる意味なんて考えだす
僕の悪癖
なおらないだろうなぁ
笑い飛ばしてくれた人のことを
いつまでもズルズル引きずって
もうあんな人には出会えないことが
分かってしまうのが切ない
命は重いほうがいい
心は軽いほうがいい
実践できてた日々は
もう遥か遠く

千里

その隙だらけの笑顔は
ピルを飲んでないAV女優か
今にも抱き締められそうな距離で
つっこみを入れずにはいられない
だけどもし心を通わせようと思ったら
その入り口までは千里の道
ぶっちゃけやるだけならやれるだろう
だから手も握れない
尻軽女に本気になるなんて
待ってるのは地獄だけなのに

ドリル

心にも体にも障害を持っている
せめて体のほうだけでも治したくて
脳の手術を受けることに決めた
頭に4カ所ブスリと麻酔を打たれて
頭蓋骨と脳みそにドリルで穴を開けるのだ
ぶっちゃけ怖い
みんながんばってねと言ってくれるけれど
がんばる?何を?
私は俎板の鯉になって
不安と恐怖と痛みに耐えるだけだ
おまけにその病院は食事がとてつもなく不味い
俺たちは内臓が悪いわけじゃねえんだから
もっと美味いもの食わ

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天才

絵心がなくて
それでも死ぬ思いで藝大に入って
やっぱり才能がなくて
酒浸りになって27で死んだ
私だけが歳をとっていく
今の私をまだ抱ける
墓石に尋ねてみても
冷たい風がそよぐだけ
NOと言われた気がして
だよねと笑った
マルボロ積み上げて
私はいつも振り返らない

向日葵

あなたに私の一番好きだった笑顔で
もう笑って欲しくない
他の誰にも見せないで
せめてそれだけは
これからも私だけのもので
カメラの早回しで向日葵が咲くような
私の太陽
ここに置いて行ってもらえませんか
いつまでも後ろ姿を見送って
あなたの姿が見えなくなった時に泣き崩れる

髪の香り

やっぱり男だからさ
抱き締めたいとか思っちゃうわけよ
君がそんなこと望んでないの百も承知でさ
星空見上げちゃったりするわけよ
今日も可愛かったなあって
ティッシュの消費量ばっか増やして
何やってんだろうな俺
男ってつくづくバカだな
一度だけ嗅いだ君の髪の匂い
忘れらんねえよ

はさみ

おなかが空くと
子どもの頃を思い出す
硬くなった菓子パンを
齧ってた子どもの頃を
何か言うと
産んでやった恩も忘れてと殴られた
地獄という言葉を知った時
そんなことないって思った
母が好きだった
大好きだった
殴られても蹴られても
はさみで頭を切られた傷跡が
シャンプーする度に疼く
それでも今でもずっと愛してる

血糖値

バナナクレープを食べたのに
全く言葉が出てこない
血糖値と詩作は比例する
かと思うとすごい空腹時に
言霊が溢れてきたりする
要は謎に包まれた生き物だ
物書きって奴は
でもとてつもなくおなかが空いていて
一刻も早く何か食べたい時に
泣きながら詩を書いた事もあるから
チョコくらいは傍に置いとこ

血縁

お風呂に入れなかった最高記録は何日だろう
そんなこと忘れた
忘れたほうがいいんだ
叔母は鬱病で自殺した
その血を色濃くひく私は
一体どんな最期を遂げるのだろう
病気が治る可能性は限りなく低いと
自分が一番よく分かってる
生きるのはとても苦しい
でもその苦しみから沢山学んだ
無駄じゃない
無駄じゃなかった

悪くはないよね

おつかれさまじゃ足りないから
抱き締めて頭を撫でている
もういいよと笑うあなた
もっとしてほしいくせに
声で分かるよ
生きることに何の心配も要らなかった
子どもの頃に戻してあげる
いつの間にか美味しくなったビールと引き換えに
沢山のものを失ったから
でもさ人を愛することを知ったじゃない

初声

あなたのことですから
散々言われてきたことでしょう
私には分不相応な
上等で上質な男
数知れない告白を撥ね退けて
ここまで残っていてくれていたのは
私なんかを選ぶためじゃなかったって
そこまで思い上がってはおりません
どうして一緒にいてくれるの
怖くて聞けないその一言
もっと自分に自信があったら
甘い声が出せたのかな
いつまで一緒にいてもらえますか
もっと怖くて聞けない問いを
見透かしたようにキス

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探し物

疲れ切った身体を引きずって
家路に着く
重くなりがちな足取りを
周りの人間たちに強要されるように
速足に変える
一人きりの俺の城へ
ただいまが独り言なんて笑えるな
チャンネルを回しながら
俺は何を探してるんだろう
テレビの中を彷徨って
たかが缶ビール一本で
捨てた夢など戻っては来ない

木漏れ日

乾かないで涙
あの人はもういないの
だからせめてあの人の為に泣いている
私の証を消さないで下さい
この悲しみが癒える頃
私はまだ生きているかしら
それともあなたの腕の中に
舞い戻っているかしら
木漏れ日の中をどこまでも歩いて行ったら
優しい眠りに就けるかしら