ドリル

心にも体にも障害を持っている
せめて体のほうだけでも治したくて
脳の手術を受けることに決めた
頭に4カ所ブスリと麻酔を打たれて
頭蓋骨と脳みそにドリルで穴を開けるのだ
ぶっちゃけ怖い
みんながんばってねと言ってくれるけれど
がんばる?何を?
私は俎板の鯉になって
不安と恐怖と痛みに耐えるだけだ
おまけにその病院は食事がとてつもなく不味い
俺たちは内臓が悪いわけじゃねえんだから
もっと美味いもの食わせろよと
キレていたおっさんがいたが
普段の私ならそういったクレーマは
冷ややかな目で見下すのだが
その時ばかりは深く共感した
もう恐ろしい手術は決定事項だから
せめて注射の上手い看護師に当たりますようにと
もうそれくらいしか望みがない
煙草と酒を断たなければならないのが
かなり堪えるが
というかこのヘビースモーカーが
本当に耐えられるのかは神のみぞ知るところだが
退院したらもう真っ先に
紫煙を吹かしてまた肺を汚そう
辛抱だとにかく辛抱だ
入院も悪くないじゃんと笑顔で帰って来る可能性は
ゼロに等しいけれど

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