マガジンのカバー画像

福祉の仕事

805
仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

仕事で“初めて”のことを学ぶ

仕事で“初めて”のことを学ぶ

私の施設ではポスティング作業を行っている。

 
どの利用者とも行ったことがあるが
配るエリアの中でたった一箇所だけ
私は行ったことがなかった。

 
それが、月に二回、リーダーが担当するエリアである。

 
地図からして難易度が高いし
一緒に行く利用者も多動の方とマイペースな方なので
私は最強エリアだと思っていた。

 
だからいきなり、「今日俺と一緒に回って覚えてもらえますか?」とリーダーから

もっとみる
ただの愚痴

ただの愚痴

最近毎日のように多動で不穏な方を長時間見ているのだが
月曜日から午前も午後も散歩で疲れた。
日差しが眩しい晴れの日だったのだ。

 
更に言うと
疲れたのはそれだけではない。
公的機関の方から無愛想な態度を朝一でされたのだ。
何故無愛想かと言えば
私が朝から質問攻めにしたからだ。
それは私の意向ではなく
新施設長に命じられてのことだった。

 
リーダーと新施設長とで話や価値観が異なり
何度も書類

もっとみる
ズボンを下げた時

ズボンを下げた時

利用者Aさんがたまに行う行為がある。

それが、女性の前でいきなり無言でズボンを下げ、股間を見せる行為だ。

 
その発動条件はよく分からない。

某トイレ前でB職員の前でやったこともあったし
会議室で私の前でやったこともある。

 
だが
一番多い場面は
職員Bさんと利用者Cさんが某トイレに行く夕方だ。

 
 
ズボンを下げてはいけないことはわかっているのだろう。
さすがにみんなの前では行わな

もっとみる
鍵の特訓と販売

鍵の特訓と販売

私の職場は鍵が閉めにくい。
鍵を持つ同僚がよく施錠で苦戦するのを
この一年半ずっと見てきた。

 
鍵を持つ同僚は何人かいて
だから新人の私に
鍵を渡そうという動きにはならなかった。

ところが、だ。
ある土曜日、私はイベント販売の仕事になった。
私と共に販売になる職員も鍵は持っていなかった。

 
ついに、鍵の開け閉めを行わなければいけない日がやってきた。

 
だが、私は呑気だった。

その同

もっとみる
狭い場所でのバッグ駐車が苦手

狭い場所でのバッグ駐車が苦手

私は仕事である場所に駐車ができない。

 
狭い上にバッグ駐車をしなければいけないからだ。

 
私はバッグ駐車が苦手である。

入職前から恐怖感を感じていたし
入職してからも恐怖感を感じていて
いつもその手前に停めて
誰かに停車してもらっていた。

 
駐車場に停車されている送迎車を
そこから出すだけでも精一杯だ。
一歩間違えば柱にぶつかる。

 
私は面接時からあそこのバッグ駐車はできないと言

もっとみる
30分の優しさ

30分の優しさ

最近、多動の某利用者と二人で作業や活動をすることが多い。

指示を出すのはリーダーだ。
私はリーダーに命じられて
それに従う。

 
大抵はその多動で不穏になりやすく、トラブルメーカーな利用者を私が引きつける役目で
個室でその人と二人で過ごすか
外出してその人と二人で過ごす。

トラブルが起きないように
他者と遠ざける。

それが私の役目で、仕事だ。

 
私は福祉歴12年以上だが
なかなかに大変

もっとみる
停車が苦手な利用者

停車が苦手な利用者

前の職場には 
車の停車が苦手な利用者がいた。

 
車がどこかに停まるたびに
「ううぇぇぇえ!ううぇぇぇえ!」とグズる。

 
そんな時に周りが「うるさい。」とか何も言わないどころか
ある利用者にいたっては「大丈夫だよ~。歌でも歌おうか?」と、いつも優しく慰めたり、励ましてくれた。

優しいなぁと感じ、心があたたかかった。
心強かったし、ありがたかった。

 
発車すれば、すぐにケロッとするが

もっとみる
夢と現実

夢と現実

夢を見た。

 
前の職場の利用者の夢だった。
その方が「ベルトがつけられないの。」と言い
私にベルトを見せた。
透明でキラキラとした星やハートの模様が描かれている。
私はベルトをつけようとした。だけどベルトをつけられなかった。どうしてもつけられなかった。

そんな夢を見た。

 
ベルトの夢は
束縛や役割、防衛本能を意味しているらしい。

 
 
その次の日にまた夢を見た。

今度は今の職場の利

もっとみる
走り書きのメモ

走り書きのメモ

ある日の夕方、新施設長から在宅支援を頼まれた。

 
在宅支援とはコロナ禍で施設に登所できない利用者(持病がある等)に朝夕(テレビ)電話をして
体調や様子、自宅での活動内容を聞き、書面で記録することだ。

他の施設は分からないが
私の職場ではこのようにしている。

 
電話時間は大体15分なので
電話しながらメモ用紙に走り書きし
後でゆっくりまとめる。

「真咲さん、メモ貸してもらっていいですか?

もっとみる
「あの子は普通なの?」

「あの子は普通なの?」

ある日、私は有給をとった。

その日はポスティングの日で
チラシ量は多く
私は内心シメシメだった。

 
だけど私の小狡い気持ちをまるで見透かしたかのように
私が休んだ日はポスティングをやらなかった。

 
更に
配る範囲が広かった。

 
世の中とはそんなもんだ。

 
 
その日は曇りだけど蒸し暑く
時折吹く風が気持ち良かった。

 
多動の方が一緒だった為、気を張っていたが
なんとか無事終わ

もっとみる
力ある限り生きていくんだ今日も

力ある限り生きていくんだ今日も

前の職場で担当だった利用者の保護者が亡くなった。

 
まだ若いし
急な死だった。

 
それを知った時は言葉を失った。

 
 
転職先からでも十分に歩ける範囲にあったその利用者の家を
私はその道を通るたびに見ていた。

 
偶然、会えないかな。
私はここにいるよ。
今、ここにいるよ。

 
そう内心思いながら
その道を転職先の利用者と何度も通っていた。

 
外観はあの頃のまま
何も変わらずに

もっとみる
幼稚園バス置き去り事件について

幼稚園バス置き去り事件について

静岡県で幼稚園児がバス内で置き去りにされ
熱中症で亡くなった事件があった。

以前も似た事件があり
なんとも言えない気分になる。

 
事件の概要を見ると
ハイエース(10人)を理事長(70代)が運転し
補佐を70代の方がしていた。
乗っていた園児は6人。

8:50に園に到着したが
確認を怠り
車内で女児は置き去りにされた。

担任は不在に気づかなかったし
保護者に連絡をしなかった。

14:1

もっとみる
うちわが好きな利用者

うちわが好きな利用者

送迎車にはいくつかうちわがある。

 
一年を通してうちわがあるので何故だろうと思ったら
利用者がうちわで遊ぶ為だった。

 
車に乗っている時に
くるくると得意気にうちわを回す利用者がかわいらしかった。

何故か車内ではうちわで遊ぶが
車内以外では遊ばなかった。

 
ある日
行動援護をしている他施設の職員に会った。

「うちわ?」

と、聞かれ
私は利用者が使うのだと話した。

 
するとその

もっとみる
ポケモンの話をした結果

ポケモンの話をした結果

ポスティング作業時はたくさん歩く。

 
夏場は汗が止まらないし
なかなかの距離で
段々と疲れが見えてくる。

 
ある日のポスティング作業時にポケモンの話になった。

某利用者はポケモンが好きで
絵を描いたり、話をすると嬉しそうだ。
自宅ではゲームをしているらしい。

 
その日のポスティング作業もなかなかにハードだったが
話していると、足取りは軽いようだった。

ポケモンの種類やひでんマシンの

もっとみる