見出し画像

幼稚園バス置き去り事件について

静岡県で幼稚園児がバス内で置き去りにされ
熱中症で亡くなった事件があった。

以前も似た事件があり
なんとも言えない気分になる。

 
事件の概要を見ると
ハイエース(10人)を理事長(70代)が運転し
補佐を70代の方がしていた。
乗っていた園児は6人。

8:50に園に到着したが
確認を怠り
車内で女児は置き去りにされた。

担任は不在に気づかなかったし
保護者に連絡をしなかった。

14:10、帰りの準備をしようとした保護者が
車内でグッタリしていた園児に気づく。

その日は最高気温30.5度。
熱中症で、既に亡くなっていた。

園児は服を脱ぎ、水筒は空っぽの状態だったという。

 
 
この事件を見て思ったことは
防げた事故だったということ。

 
運転手や補助が乗っていて
たった6人なら
誰が乗ったか把握できる人数だったように思う。

 
運転手担当の方は病欠で休み
代わりに理事長が運転したというから
運転に慣れていないのだろう。

 
補助の方はもしかしたら
普段そこまで園児に関わりがないのかもしれない。

 
見てみると
園のバスとして使われたハイエースは
外側の窓にも目いっぱいペイントが施してあり
車内の窓から助けを呼べないような作りにも見えた。

 
担任は不在を不信に思わなかった。
だから確認をしなかった。
もし、担当が気づいていたらまた違ったのかもしれない。

 
幼稚園の先生は多忙だ。
クラスの担当人数は多いし
構っていられないぐらい忙しかったのかもしれない。

 
昨日
仕事をしていた際
新施設長から、この事件の話があった。

私達の仕事でも起きえないことではない、と。

 
ただ
私の職場は利用者は送迎車1台にたくさん乗ることはないし
停留所方式の送迎なので
滅多にこんなことはないと思う。

 
何より
送迎後は掃除や消毒が義務づけられているし
利用者の到着が遅かったりしたら
それに敏感に気づく職員は
何人もいる。

私の職場は
意識が高い職員が多いと思う。 

ただ、絶対とはもちろん言えない。

 
新施設長は続けた。

送迎よりも、施設内把握の方が私達の職場は意識的に行うべきだと。

 
私の職場には多動の方や公共機関を利用して来る利用者の方がいる。

電車やバスに乗り遅れるケースもある。
その時に利用者が施設に連絡しないケースもある。

 
そんな時はすぐに違和感に気づいて情報共有すべきだし
多動の方で一人で空き部屋に行ってしまう方の把握も忘れずに、とのことだった。

 
「送迎車に置き去りはないと思いますが」

そう新施設長が言った時
私はかつて働いていた某施設を思い出していた。

 
そこでは私が知る限り二回、送迎のミスがあった。

 
一回目は、内向的な利用者を自宅に降ろさずにそのまま施設に戻り
戻ってからバックミラーで気づいたケース。

毎日休まずに来ている利用者だが
なんせ内向的なので
自宅を素通りされても声は出せなかった。
気づいてはいただろうと思う。

  
運転手はピンチヒッターでもなく、レギュラーの方だったので
何か考えごとをしていたり、疲れていたのかもしれない。

 
二回目は、一種のホラー体験だった。

その日、私は残業で書類作成をしていた。
他の職員も残っていた。

そろそろ帰ろうか…

と、他の同僚と話していたら
一足先に施設を出た同僚が
「送迎車内に人がいる!」と戻ってきた。

 
その場で残っていた職員みんなで鍵を持ってその送迎車に近づくと
中からバンバン窓を叩く音が聞こえた。
利用者だった。
どうやら、その利用者を降ろし忘れたらしい。

 
その利用者は話すことができない。

だけど降ろされずに施錠されたから焦ったのだろう。
窓をバンバン叩いていた。

 
真っ暗な中、誰もいないはずの送迎車から聞こえる音や存在は
今から帰ろうとする私達にとってビックリすることだったが
利用者は更にビックリし、恐怖したことだろう。

 
鍵を開けて利用者を車から出し
慌てて施設長に連絡し
家まで送迎した。

 
今でも思う。

あの時、私達が残業していなかったら。
あの時、気づかなかったら。

新聞に載り、ニュースに載るのは私達の施設だった。

 
この日も、利用者は毎日利用されていたし、運転手もいつもと同じ方だった。

 
そう、同じ方だろうとこんなことが起きるのだから
ピンチヒッターの方が対応したら
更にその確率は上がるだろう。

 
きっとこんなヒヤリハットは
人を扱う施設や幼稚園等で
一度は起きているのではないかと思う。

 
 
失った命は決して戻らない。
他人事ではない。
私も絶対やらない、私の職場では絶対ない、なんて言えない。
だからみんなで気をつけていかないといけないし
対策を考え、実行しなければいけない。

 
人様を預かる仕事をしている
責任の重み、命の重みを忘れてはいけない。

 
最後に
河本千奈ちゃんにご冥福をお祈りする。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?