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ふるえる心〜詩のようなもの

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何でもない日の中に「詩」がある。 忘れたくない、一瞬の心のふるえがある。 noteだからこそ、綴ることが出来ました。つぶやき、または詩のようなもの。
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#note初心者

さようなら、恋人|#シロクマ文芸部

さようなら、恋人|#シロクマ文芸部

寒風の吹く休日の朝、noter様にはいかがお過ごしでしょうか。

心の向くままに、20文字小説を創ってみました。

ありがとうとさよならが一つに重なった日。
ねむるあなたを、心の棺にそっとおさめた。

さよならだけが人生だ、なんて作家が言う。
そんな遊びのような台詞は言えない…今は。

休日の電車は人もまばらで休符記号のよう。
ドアのガラスから冬の陽の暖かさを感じた。

不意に…無自覚に落ちる涙。

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詩と暮らした日々|#シロクマ文芸部

詩と暮らした日々|#シロクマ文芸部

昨日ゆっくり眠れたせいなのか、
夜中なのに詩が浮かびました。

詩の神様が消えてしまわないうちに、
失礼ですが投稿させて頂きます。

詩 と 暮 ら す

身を切るような冬の風に晒され
何かを忘れた罰を与えられているよう

詩 は 苛 む

ときに耐えられなくなる

詩 と 暮 ら す 

朝の日差しがあたたかく頬に触れ
誰かの愛が心に流れてくるよう

詩 は 慈 し む 

ときに 微笑みをもた

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20文字のYELL〜わが子へ|#小牧幸助文学賞

20文字のYELL〜わが子へ|#小牧幸助文学賞

「20字小説#小牧幸助文学賞」
2度目のエントリーをいたします。

ねえ。君は本当に父親にそっくりになるよ。

やさしさの質量も。はにかんだその笑顔も。

人当たりは良いけど、実は頑固なところも。

嘘のないことばは、時にはどきりと刺さる。

傷つくのは若さの標《しる》し。怖がらないでいい。

飛び立つ日。もう母を忘れるかもしれない。

思い出した時には、いつでも待っているよ。

大切な大切な君。

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楽観主義 (Optimist)|詩

楽観主義 (Optimist)|詩

午後、病院で薬待ちをしている。

広いロビーには

待合い椅子が何列も並び、

患者やその家族は

頭を揃えるように座っている。

密やかな話し声、 

案外楽しげで、不思議な会話。

大体二人ずつ。

大きな窓の外に、

枯葉が舞っている。

金色に光る木の葉。

偶には赤みを帯びて、

ずっと、舞い続けている。

少なくとも

「最後の一葉」の話は、

この病院に似つかわしくない。

少しだけ

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MOTHER〜母を恋うる歌|詩

MOTHER〜母を恋うる歌|詩

 母よ。
 あなたは わたしにとって

 すべてを 受け入れる
 ゆたかな 海でした

 足もとを 照らしだす
 やさしい 月でした

 明るく かがやく
 うつくしい 太陽でした

 はられた根に
 慈雨をそそぐ
 大地 そのものでした。

 
 母よ。
 あなたがいるから

 しとねに就き
 深く 眠れました

 
 母よ。
 もうあなたは…

 
 
 母よ、
 せめて祈りを。

 
 母よ

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一年後の私へ|詩手紙

一年後の私へ|詩手紙

秋の柔らかい陽が、心をあたためてくれます。

一年後の私へ。
穏やかに、日々を過ごせていますか?

電車に揺られ、家々が通り過ぎていくのを
眺めていると、
それぞれの想いやドラマがあるのだろうと
考えてみたりします。

今から1年前。
癒えかけた心を、
片付かない引き出しに入れて、
口を閉ざしていましたね。

人生のワークシート
答えを探しまわって、
分からずに頭を抱えていましたね。

本当の答え

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大嫌いだったけれど、大好きな母へ|詩手紙

大嫌いだったけれど、大好きな母へ|詩手紙

お母さん。あなたを思い出すと、目を見開いて叱っている顔が浮かんでいました。いつも厳しく注意する声が聞こえていました。
 

お母さん。お母さんを真ん中にして、私と弟が川の字のように、布団を並べて寝ていた子供の頃。静かに寝静まった夜中、目が覚めると、いつもお母さんは弟の方を向いて寝ていました。私はお母さんの頭の後ろを見つめて、とても寂しかった。

 「私より、弟の方が好きなんだ。
 私は愛されてない

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人恋しい9月|詩

人恋しい9月|詩

 秋晴れのある日。
 車を飛ばしてフィッシングへ。
 夫の大好きな趣味だ。

 空は澄んで青く、
 シックな色で塗られた小型船が
 私たち夫婦や
 釣人の前を
 横切ってゆく。

 海では、
 鯖などの銀色の魚影が、
 素早くかけめぐるのが見える。

 良いシーズンが訪れた、
 と言い合い、
 いそいそと
 竿やバケツなどを準備する。

 9月の日曜日の午後。
 今日も、息子は
 誘っても来なかっ

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