安田早苗

自宅展→メールアート→種をまく→芽が出るプロジェクトと、オフミュージアムで、長期的にリ…

安田早苗

自宅展→メールアート→種をまく→芽が出るプロジェクトと、オフミュージアムで、長期的にリレーショナルアートに取り組んできた、現代美術アーティストです。2018年から個展活動再開。2020年よりBloom studio ZOOM Party主催。

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記事一覧

土と火 マザーフッドが咲く展によせて 浦田(東方)沙由理(東京家政大学 期限付助教)2024・3・9-17 @なるせ美術座

 3/11(月)安田早苗さんの個展「土と火 マザーフッドが咲く」@なるせ美術座にお邪魔させていただきました。早苗さんとはエコフェミニズムという思想(理論)をきっかけ…

安田早苗
2か月前
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ディスク(ペンタクル)の物語

安田早苗は、1968年滋賀県生まれ。 地元の公立小中高を卒業し、国立の滋賀大学教育学部美術研究室を卒業。中高美術科の先生になるコースで、教員になるのは、4人兄弟の長男…

安田早苗
4か月前
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だれも女神をとめられない  

なるせ美術座「運命の女神が咲く」にむけて、読んでいた、モナ・ショレ「魔女」  現代魔女が、あらゆる支配を逃れたポジティブなパワーを象徴するものとして「魔女」を名…

安田早苗
1年前
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『運命の女神が咲く』開催によせて 齋藤 レイ

 安田早苗の個展『運命の女神が咲く』がこの春に開催される。本展では過去作が一堂に会し、創作活動の中で作家の興味関心がどのように移ろってきたのか、その軌跡を辿るこ…

安田早苗
1年前
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1990年代の安田作品

 前回、魔女や女神について書きましたが、今回は、90年代の安田作品を紹介したいと思います。  安田自身は洗礼を受けてないので、クリスチャンではないのですが、日本で…

安田早苗
1年前
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女神が咲く

 みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨年は「現代魔女」の理解を深めた一年でした。今回は、その経緯と、今年の展望などを書き…

安田早苗
1年前
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「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

〇はじめに 私は2005年から、魔女と名乗ったり、女神を崇拝したりしている人たちを調査している文化人類学者だ。初めはイギリスで、その後ヨーロッパ各地へ。そして、ここ…

安田早苗
1年前
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よそもんの花 2019.8.25トークイベント書き起こし ゲスト小吹隆文

茶ろん坪六で行った個展「よそもんの花」のクロージングイベントとして 種をまくプロジェクト上映会とトークを開催しました。 安田は2007年3月まで滋賀県に住んでいたの…

安田早苗
1年前
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魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評) 2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

 「魔女」という、アニメや映画以外では耳慣れない概念を作品テーマに取り組んでいるのが、アーティストの安田早苗だ。なぜ魔女か問う前に、まずはこれまでの作品を概括し…

安田早苗
2年前
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Bloom Studio vol.9 イベントレポート  高橋かしこ 編集者・ライター

2021年7月4日(日)に髙橋芳一*(電子音楽家)と安田早苗(現代芸術家)がコラボレイトしたネット・イヴェント「Bloom Studio ZOOM Party vol.9」が開催された。第1部はYou…

安田早苗
2年前
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種をまく人 安田早苗試論 神保弘多 文筆業

 安田早苗の作品を実際に目にしたのは2020年の1月、神楽坂のギャラリー eitoeiko で開催された安田早苗と五箇公一のコラボ展であった。この展覧会が興味深いのは国立環境…

安田早苗
2年前
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アーティスト安田早苗氏の表現を支えるエコフェミニズムとは何か? 笹木依茉 Webライター

アーティスト安田早苗氏は、生殖による増殖の功罪について考える作品を、これまで多数発表してきました。「ありのままの生」としての自然な「いのち」の表現は、生産性やテ…

安田早苗
3年前
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Bloom Studio ZOOM Party vol.9

種をまくプロジェクト→芽が出るプロジェクト→Bloom(花咲く) Studio    9回目のゲストは高橋芳一さんです。 高橋芳一さんは86年ごろP-MODELというバンドのメンバー…

安田早苗
3年前
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Bloom Studio ZOOM Party vol.8   エコロジーとフェミニズムとアート、そしてエシカル

 緊急事態で、連休なのにどうしよう?などど思ってしまう今日この頃。町田のカフェ・ガレスピーで展示している安田早苗作品と共に、オンラインで映像上映、トーク、対話に…

安田早苗
3年前
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2021.3.27 お話し鑑賞会レビュー 笹木依茉Webライター

 2021年3月13日(土)から3週にわたる土・日曜日の計6日間、神奈川県在住のアーティスト安田早苗氏の展覧会「悪夢に咲く」が開催されました。27日(土)にはゲストに、東…

安田早苗
3年前
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安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪夢に咲く @ロクの家

 2021年3月13日、千葉県は銚子に安田早苗さんの展示を見に行った。数カ月前にお声がかかり、展示会場では、ミニマルアートとか新表現主義などについて、私感を述べさせら…

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安田早苗
3年前
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土と火 マザーフッドが咲く展によせて 浦田(東方)沙由理(東京家政大学 期限付助教)2024・3・9-17 @なるせ美術座

土と火 マザーフッドが咲く展によせて 浦田(東方)沙由理(東京家政大学 期限付助教)2024・3・9-17 @なるせ美術座

 3/11(月)安田早苗さんの個展「土と火 マザーフッドが咲く」@なるせ美術座にお邪魔させていただきました。早苗さんとはエコフェミニズムという思想(理論)をきっかけに知り合った仲で、お会いするのは2021年に講演に呼ばれて以来でした。

 今回の個展はマザーピース・タロット(Motherpeace tarot)を基盤とし、そこから汲み上げてきた豊かな自然と女性の世界(土の世界)と、異様な火(原子力

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ディスク(ペンタクル)の物語

ディスク(ペンタクル)の物語

安田早苗は、1968年滋賀県生まれ。
地元の公立小中高を卒業し、国立の滋賀大学教育学部美術研究室を卒業。中高美術科の先生になるコースで、教員になるのは、4人兄弟の長男のため高卒で銀行員になった父の夢でした。

 学生時代から制作に励んでいたわたしは、卒業後中学校教員になり、教員2年目の23歳で同級生でアーティストの詫摩昭人と結婚します。
 実家は、昔ながらの価値観が強い家庭で大変やかましく窮屈だっ

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だれも女神をとめられない  

だれも女神をとめられない  

なるせ美術座「運命の女神が咲く」にむけて、読んでいた、モナ・ショレ「魔女」

 現代魔女が、あらゆる支配を逃れたポジティブなパワーを象徴するものとして「魔女」を名乗るという流れは本書からのようです。無意識に女性に植え付けられている弊害を、リズミカルに情熱的に書き出していて読みやすかった。

 この本の第四章に、「自然の死」が出てきます。これはC・マーチャント著書のタイトルで、安田は東京家政大学の浦

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『運命の女神が咲く』開催によせて 齋藤 レイ

『運命の女神が咲く』開催によせて 齋藤 レイ

 安田早苗の個展『運命の女神が咲く』がこの春に開催される。本展では過去作が一堂に会し、創作活動の中で作家の興味関心がどのように移ろってきたのか、その軌跡を辿ることができるだろう。

 最初期の作品『慈しみ』(1988年)は、新表現主義に影響を受け、油彩にビーズや布などの異素材を組み合わせた100号の大作である。オレンジ色に輝く象と少年が向かい合い、その中央には仏教の聖典「スッタニパータ」の引用、背

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1990年代の安田作品

1990年代の安田作品

 前回、魔女や女神について書きましたが、今回は、90年代の安田作品を紹介したいと思います。

 安田自身は洗礼を受けてないので、クリスチャンではないのですが、日本では総人口の0.8%と少数であるクリスチャンに接していたせいか、他の宗教と、そもそも宗教とはどういうものなのか?などは、漠然と気になっていました。

これは20歳の時にほぼ初めて描いた100号サイズの油彩です。ビーズや布の額縁など、当時流

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女神が咲く

女神が咲く

 みなさま、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨年は「現代魔女」の理解を深めた一年でした。今回は、その経緯と、今年の展望などを書きたいと思います。
 2022年5月に、安田早苗個展「黄色い魔女が咲く」で、文化人類学者の河西瑛里子さんに講演してもらった「魔女の時間」。
父と子(男性神)であるキリスト教と違い、魔女は元々、キリスト教以前の自然信仰(ペイガニズム)に由来し、

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「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

「魔女の時間」講演記録 河西瑛里子(文化人類学者)2022.5.5 @ギャラリー・パリオ(東京都町田市)

〇はじめに

私は2005年から、魔女と名乗ったり、女神を崇拝したりしている人たちを調査している文化人類学者だ。初めはイギリスで、その後ヨーロッパ各地へ。そして、ここ数年は日本でも。そんなわけで、アーティスト安田早苗さんの個展「黄色い魔女が咲く」のトーク・イベントにお招きいただいた。本エッセイは、その講演とワークショップの記録である。 

男女合わせて13名の参加者。自己紹介をしあった後、各自が持

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よそもんの花 2019.8.25トークイベント書き起こし ゲスト小吹隆文

よそもんの花 2019.8.25トークイベント書き起こし ゲスト小吹隆文

茶ろん坪六で行った個展「よそもんの花」のクロージングイベントとして

種をまくプロジェクト上映会とトークを開催しました。

安田は2007年3月まで滋賀県に住んでいたので、会場には友人・知人が25人ほど集まってくれました。😃
そしてトークイベント【関西1995-2005アートシーン】
ゲストは関西で長年アートライターとして活躍されている小吹隆文さん。
安田が貸し画廊で個展をしている頃からの知人で

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 魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評)   2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

魔女が開く扉 安田早苗論 アライ=ヒロユキ (美術・文化社会批評) 2022.5.3-15 黄色い魔女が咲く @ギャラリーパリオ

 「魔女」という、アニメや映画以外では耳慣れない概念を作品テーマに取り組んでいるのが、アーティストの安田早苗だ。なぜ魔女か問う前に、まずはこれまでの作品を概括してみよう。彼女の作品を縦貫するモチーフはふたつある。自然とコミュニケーションだ。

 まず安田の代表的な表現は「芽が出るプロジェクト」だ。これは作家サイトから引用しよう。

 幾つかの論点が読み取れる。「メールアート」の一種。風という偶然性

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Bloom Studio vol.9 イベントレポート  高橋かしこ 編集者・ライター

Bloom Studio vol.9 イベントレポート  高橋かしこ 編集者・ライター

2021年7月4日(日)に髙橋芳一*(電子音楽家)と安田早苗(現代芸術家)がコラボレイトしたネット・イヴェント「Bloom Studio ZOOM Party vol.9」が開催された。第1部はYoutubeによるライヴ配信、第2部はZOOMによる視聴者参加型のトークという構成。
ライヴは安田作品が展示される町田市のカフェ“ガレスピー”で行われ、演奏するリアルタイム映像と髙橋自身が制作した映像がス

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種をまく人 安田早苗試論 神保弘多 文筆業

種をまく人 安田早苗試論 神保弘多 文筆業

 安田早苗の作品を実際に目にしたのは2020年の1月、神楽坂のギャラリー eitoeiko で開催された安田早苗と五箇公一のコラボ展であった。この展覧会が興味深いのは国立環境研究所に在籍する昆虫学、生態学者の五箇公一と現代美術作家(コンテンポラリー・アーティスト)安田早苗の文字通り異分野、異業種の二人による展覧会である。鷲田めるろ参加によるこの公開鼎談には参加していないので、これについては安田のホ

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アーティスト安田早苗氏の表現を支えるエコフェミニズムとは何か? 笹木依茉 Webライター

アーティスト安田早苗氏の表現を支えるエコフェミニズムとは何か? 笹木依茉 Webライター

アーティスト安田早苗氏は、生殖による増殖の功罪について考える作品を、これまで多数発表してきました。「ありのままの生」としての自然な「いのち」の表現は、生産性やテクノロジーに支配された現代社会に問題提起を続けています。そのアーティスト安田早苗氏が注目しているのが、エコフェミニズムです。
2021年3月27日の展覧会イベントでは、エコフェミニズムのレクチャーが行われました。講師として招かれた東京家政大

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Bloom Studio ZOOM Party vol.9

Bloom Studio ZOOM Party vol.9

種をまくプロジェクト→芽が出るプロジェクト→Bloom(花咲く) Studio    9回目のゲストは高橋芳一さんです。

高橋芳一さんは86年ごろP-MODELというバンドのメンバーだった方です。80年ちょうどぐらいにP-MODELが出演していたテレビ番組を見ると、68年生まれの筆者は懐かしい〜感じが。

最近、このYouTubeに出ている、ヒカシューもプラスチックスも継続して活動されているのを

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Bloom Studio ZOOM Party vol.8   エコロジーとフェミニズムとアート、そしてエシカル

Bloom Studio ZOOM Party vol.8   エコロジーとフェミニズムとアート、そしてエシカル

 緊急事態で、連休なのにどうしよう?などど思ってしまう今日この頃。町田のカフェ・ガレスピーで展示している安田早苗作品と共に、オンラインで映像上映、トーク、対話による鑑賞を楽しみませんか?

当日の流れを説明します。

 まずは安田が2001〜2005年に取り組んだ「種をまくプロジェクト」の記録映像(40分)を見ます。

 休憩後、Web雑誌「エシカルSTORY」代表/編集長の木村洋平さんに、フェミ

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2021.3.27  お話し鑑賞会レビュー 笹木依茉Webライター

2021.3.27 お話し鑑賞会レビュー 笹木依茉Webライター

 2021年3月13日(土)から3週にわたる土・日曜日の計6日間、神奈川県在住のアーティスト安田早苗氏の展覧会「悪夢に咲く」が開催されました。27日(土)にはゲストに、東京家政大学講師の浦田(東方)沙由理氏によるエコフェミニズムのレクチャーと対話、案内人の青木雅司氏によるお話し鑑賞会という2つのプログラムからなるイベントが行われました。
会場は千葉県銚子市にあるギャラリーロクの家。このイベントはコ

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安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪夢に咲く @ロクの家

安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪夢に咲く @ロクの家

 2021年3月13日、千葉県は銚子に安田早苗さんの展示を見に行った。数カ月前にお声がかかり、展示会場では、ミニマルアートとか新表現主義などについて、私感を述べさせられた。会場は木造2階建ての旅館を改造し、アトリエであり、展示場であり、アーティストレジデンスとしての機能をもつ「6の家」と名付けられた空間で、宮内博史さんが1年以上をかけて改築した建物である。特に宣伝をしているわけではなく、知る人が少

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