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芍 shaku

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〈芍〉
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『めがねがひつようです』

『めがねがひつようです』

『めがねがひつようです』

おしえて。

どこにも、逃げられないから、目をつぶるの。
目をつぶると殺されちゃうから、目をあけて、ただようように目をうようよさせていたら、ようやく眠れて、そうしたら、いつの間にか目が覚めて、
また繰り返すの。

繰り返すほど、このまま目をあけない日を考えるけれど、もしほんとうに目がこのままあかなくなったら、そのときに、あぁ、生きたかったなってきっとおもうの。生きていた

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『積年の思いが皺』

『積年の思いが皺』

『積年の思いが皺』

ヤバいくらい手をかけている日常が
圧倒的に映えないから
首を傾げて立っていてもそれが日常

かさ増しの食事で
立体感を味わうふりをして
財布の顔色伺っているのなんで
異常

肉を食べたら罪悪感くらうの
周りがとやかく言うから
草を食べてみるの
花の命は人の死に捧げるのに相応しいって
彼ら平気な顔で殺戮繰り返して

さっき恨んだすれ違いを
見て見ぬ振りできたならわたし
人でなし

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『君に夜をあげる』

『君に夜をあげる』

『君に夜をあげる』

日が昇れば
日が昇れば消える
星の光を数えることができない

想像するの
あの星座には物語なんて
ほんとはなくて
私との思い出だけ
残ればいい

踊っている地球の上で
しがみ付いて光を眺める
明るいうちは海と約束して
夜になれば星を見つめる
どうしたいとか
こうしたいとか私にはあっても
今日はここにあって
そういう私は
ここにいる

日が沈めば
日が沈めば

解放されるんだ全

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『好きって固まりが、嫌い。』

『好きって固まりが、嫌い。』

好きって言って、嫌いって言う。

嫌いって言えば、好きって言ったことに

なってしまうね。

だから全部、取り消したい。

おしまいが始まりなら、永遠に途中。

変化の中に永遠があるから、きみの作った永遠もどきは、あの頃で止まったんだ。

停止ボタンを忘れて、さようならと言った。

すべて取り消しするつもりだったのに。

愛、冷めて固形。

『おじいちゃんおばあちゃんたち』

『おじいちゃんおばあちゃんたち』



『おじいちゃんおばあちゃんたち』

昔はおじいちゃんおばあちゃんっていう存在は変わらないと思ってた
わたしも
わたし達も同じおじいちゃんおばあちゃんになるんだと思ってたのに
小さい頃にいた街のおじいちゃんおばあちゃんはもうほとんど
ここには居なくなってしまって
今いるおじいちゃんおばあちゃんは
おじいちゃんおばあちゃんであっておじいちゃんおばあちゃんじゃない
おじいちゃんやおばあちゃんにはこう

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『風のつよい日』

『風のつよい日』

『風のつよい日』

風の強い日わんころ
君は
枯葉になりたい
歩道の脇の小さく真っ直ぐな
乾ききった溝のトンネル
コロコロ駆ける葉っぱに
おいつけ追い越せ
君も
風のように駆け抜けたい
その溝ぴったりの体沈ませて
枯葉のように突き進みたい
ジャストフィットわんころ
溝に挟まれて
ただコロコロと
転がるように疾走したい
風の強い日
君の名前は
風子
あだ名よりも
正しく呼んでもらえると
目をぱちくり

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『しっぽ』

『しっぽ』



『しっぽ』

かつて
みんなぼくを殺したがった
なぜなら
わたしが天使だったから

ぼくを殺せば答えが見つかると
わたしがいるからみんな苦しいんだと
ふと世界は気づいてしまった
明日なんかいらないから
手早く答えを引き摺り出したがった
大切なものなんて
みんな分からなくなってしまった
わたしは怯えて
ぼくは逃げる決意をした
わたしは何も守れなかった
ぼくはみんなを見捨てたんだ
みんなに生きてほ

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『片手タバスコ』

『片手タバスコ』



『片手タバスコ』

綺麗な景色のために生きてなんかいない。

私、今日だけじゃ終われない。あの時、どう?この素晴らしい景色、最高でしょう。って
全て一緒に終わらせようとした、あなたが許せない。許す、許せない、が私の中の問題だとしたら、全て私の勝手だから、このさき永遠に許せない。ただ幸せを願っただけの、手をいっぱいに広げて咲いてるこの人たち嘲笑ったあなたを許せない。あなたが嘲笑われるのを見届ける

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『灰色のため息』

『灰色のため息』



『灰色のため息』

ため息に色はない 重いだけの

二酸化炭素

吐いて仕舞えば もう元には戻せない

過去と一緒に手放したつもりでも

目がくらむ不安と恐怖と戦いながら

たまにはネガティブとも仲良くしたい

愚痴も弱音も 一緒にさようなら

希望が見えそうにない

その重たく続く雨雲にも

飽き飽きしてきた

憂鬱だ

少し階段に腰掛けて 空を見つめる

繰り返しているようで

いつ

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2022.5.22

2022.5.22

























冬浴びて
誇る数多の桜より
初夏一本の芍薬なりたし

初めて芍薬を見たとき、一輪の、淡く儚そうなのに、華奢な細長い茎で背筋を伸ばして、花の重さにものともせず、凛として咲く様子に、驚かされました。

桜も大切で好きだから、また言葉にしてみたい。けれど、私は芍薬が好き。

私は芍薬を去年初めて見て、それから今

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『忘れた買いもの』

『忘れた買いもの』



『忘れた買いもの』

花器を買った
茶色と青で深い海を
思い出せるような色の

ケーキ屋のアイスを買った
冷凍のソフトクリーム
店主が少し寂しげだった

水を買った
隣の隣の隣の県から
運ばれて来たペットボトル

マウントレーニアを買った
コンビニの店員さん
少しやさしく手渡してくれた
数枚のお釣りとレシート

日傘は買わなかった
気に入る生地のものがなかった
一昨年失くして
それがまだ残って

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『スキしてみて』

『スキしてみて』

『スキしてみて』

簡単にふやすから

スキしてみて

明日もあるような

スキしてみて

終わりなんてない

スキしてみて

焦げる前に

スキしてみて

損なわないから

スキしてみて

遊ばないかって

スキしてみて

冗談だけど

スキしてみて

重さなんてない

スキしてみて

ひとおもいに

スキしてみて

青い春だし

スキしてみて

味を想像して

スキしてみて

見えないかって

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『花の目』

『花の目』

『花の目』

花と目が合うときがある
一つの花と目が合って揺れる
周りは揺れていないのに
そのひとつだけが揺れる
すると二つ隣の草が揺れる
反対に三つ隣の葉っぱが揺れる
今日はたくさん目が合った
「こっちを見て」
と揺れておしえてくれる
話しかけてくる
笑いかける
近づくと緊張して
揺れるのをやめて止まっている
息をひそめて窺っている
風が吹くとさようなら
揺れない草木は眠っている
止まった時間の

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