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芍 shaku

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〈芍〉
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『夜に着いて』

『夜に着いて』

同じ空の下で
埋もれる君を見つけて
きっと明日も予定外で
見つけた幻想を放す

藍色に染まった夜のカーテンは
多くの人が好きだなんて言うけれど
幾つもの軽い嘘に塗れていて
本当は何もないんだから

私の好きな夜は
ここにあるたくさんの光
宇宙の真下にある地球
一人だけの世界

君と同じ夜で
全く違うもの

私だけの夜で
美しい孤独

『自分の理由』

君が嫌いです単純な理由で君が嫌いです

君に好かれるために飾らなくてはいけないその理由がもうないことに自由を見つけました

それはもうとても快適で

とても潤滑で

とても風通しがよくて寂しくもあるのでした

君から好かれるために飾らなくてもいい

飾り付けたいわけじゃない

誰からみても きれいだ と言われる

何かになりたかった

もう必要とされない
それは自由

『おんなじ言葉を使えない。』

『おんなじ言葉を使えない。』

『おんなじ言葉を使えない。』

切り取った言葉は、宙に浮いてる。そこら辺に浮いてる。わたしの、手を伸ばせば届く距離くらいに。

切り取った。どこからって、そんな無粋な質問をしたって、何も解決しないの。手を伸ばせば届くんだって思ったけど、触れられない。

心の内にもお揃いの言葉、あったから、なんとなく放置して。気の迷いに身を任せて、ちょっとのあいだ眺めてた。

うっかりぽっきり折ってしまいそう。木の

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『風で揺らぐ色』

『風で揺らぐ色』

『風で揺らぐ色』

気になることを言っていた。あれ、気のせいかな。なんか引っ掛かるんだよな。って言ってる内にも色褪せてきて。

脳内再生繰り返してる。何度も何度も、繰り返しても肝心なとこが聞こえない。大事なんだっけ。何度も思い出そうとするのに、そこには靄がかった灰色の空虚があるだけ。それって大事なんだっけ。

あの子が目をキラキラさせて聴いてくれた曲、君のための曲だって言ったら、笑う?

君が、っ

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『ローズマリーみたいに香る』

『ローズマリーみたいに香る』

『ローズマリーみたいに香る』

タピオカを牙で押し潰す。

タピオカ馬鹿にした君の顔が、頭の端っこそっと浮かぶ。そういえば、言ってなかったっけ、わたし君が嫌いなんだ。なんって、言っても、もう怒ってくれないんだ。怒るところが嫌いだったんだ。

好きっていう、気持ちが分かんないよ。それって何。得するの。

看板がこっちを見る。こうだ、そうだ、って語り掛けてくるんだ。あぁ、鬱陶しい。

あんな物に囲まれ

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『めがねがひつようです』

『めがねがひつようです』

『めがねがひつようです』

おしえて。

どこにも、逃げられないから、目をつぶるの。
目をつぶると殺されちゃうから、目をあけて、ただようように目をうようよさせていたら、ようやく眠れて、そうしたら、いつの間にか目が覚めて、
また繰り返すの。

繰り返すほど、このまま目をあけない日を考えるけれど、もしほんとうに目がこのままあかなくなったら、そのときに、あぁ、生きたかったなってきっとおもうの。生きていた

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『積年の思いが皺』

『積年の思いが皺』

『積年の思いが皺』

ヤバいくらい手をかけている日常が
圧倒的に映えないから
首を傾げて立っていてもそれが日常

かさ増しの食事で
立体感を味わうふりをして
財布の顔色伺っているのなんで
異常

肉を食べたら罪悪感くらうの
周りがとやかく言うから
草を食べてみるの
花の命は人の死に捧げるのに相応しいって
彼ら平気な顔で殺戮繰り返して

さっき恨んだすれ違いを
見て見ぬ振りできたならわたし
人でなし

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『君に夜をあげる』

『君に夜をあげる』

『君に夜をあげる』

日が昇れば
日が昇れば消える
星の光を数えることができない

想像するの
あの星座には物語なんて
ほんとはなくて
私との思い出だけ
残ればいい

踊っている地球の上で
しがみ付いて光を眺める
明るいうちは海と約束して
夜になれば星を見つめる
どうしたいとか
こうしたいとか私にはあっても
今日はここにあって
そういう私は
ここにいる

日が沈めば
日が沈めば

解放されるんだ全

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『好きって固まりが、嫌い。』

『好きって固まりが、嫌い。』

好きって言って、嫌いって言う。

嫌いって言えば、好きって言ったことに

なってしまうね。

だから全部、取り消したい。

おしまいが始まりなら、永遠に途中。

変化の中に永遠があるから、きみの作った永遠もどきは、あの頃で止まったんだ。

停止ボタンを忘れて、さようならと言った。

すべて取り消しするつもりだったのに。

愛、冷めて固形。

『まよなかになるまえ』

『まよなかになるまえ』

あしたがこわいな。いつまでたっても、あしたがこわいな。もうすこしできょうになる、よるがながれてあさになる。ねむってしまえば、あれもこれもかんぺきになって、だいじょうぶだよって、ほほえんでくれたらいいのに。ねむらないとこまるのに、こまることがこわくて、ねむれないんだよ。

きょうのひるにかんがえたこと、いつのまにかわすれちゃった。きのうのよるにかんがえたこと、わすれてたのに

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『おじいちゃんおばあちゃんたち』

『おじいちゃんおばあちゃんたち』



『おじいちゃんおばあちゃんたち』

昔はおじいちゃんおばあちゃんっていう存在は変わらないと思ってた
わたしも
わたし達も同じおじいちゃんおばあちゃんになるんだと思ってたのに
小さい頃にいた街のおじいちゃんおばあちゃんはもうほとんど
ここには居なくなってしまって
今いるおじいちゃんおばあちゃんは
おじいちゃんおばあちゃんであっておじいちゃんおばあちゃんじゃない
おじいちゃんやおばあちゃんにはこう

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『風のつよい日』

『風のつよい日』

『風のつよい日』

風の強い日わんころ
君は
枯葉になりたい
歩道の脇の小さく真っ直ぐな
乾ききった溝のトンネル
コロコロ駆ける葉っぱに
おいつけ追い越せ
君も
風のように駆け抜けたい
その溝ぴったりの体沈ませて
枯葉のように突き進みたい
ジャストフィットわんころ
溝に挟まれて
ただコロコロと
転がるように疾走したい
風の強い日
君の名前は
風子
あだ名よりも
正しく呼んでもらえると
目をぱちくり

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『しっぽ』

『しっぽ』



『しっぽ』

かつて
みんなぼくを殺したがった
なぜなら
わたしが天使だったから

ぼくを殺せば答えが見つかると
わたしがいるからみんな苦しいんだと
ふと世界は気づいてしまった
明日なんかいらないから
手早く答えを引き摺り出したがった
大切なものなんて
みんな分からなくなってしまった
わたしは怯えて
ぼくは逃げる決意をした
わたしは何も守れなかった
ぼくはみんなを見捨てたんだ
みんなに生きてほ

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