和田洋一

証券会社16年、ゲーム会社経営16年、2016年からベンチャーに関わる。 以下の3属性…

和田洋一

証券会社16年、ゲーム会社経営16年、2016年からベンチャーに関わる。 以下の3属性がランダムに顔を出します。 ゲーム業界ゴロ、経営専門職、ちゃんとした大人??

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  • 野生の経営学

    自分の頭で考え実行する中で発見したコツがいくつかあります。浅学かつ怠慢ゆえ「学術的」裏は全くとっていません。これまでの実戦の場面において、何をきっかけとしてどのように考え、それがどのような結果になったかをお話しする中で、皆様の考えるヒントになればと思います。

  • 完全解説ゲーム産業

    ゲーム産業の構造、歴史等を実経験に基づき解説していきます。

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メタバース: As content, as a platform, as media

メタバースが激しくバズっている。 根拠のない期待が膨らみ過ぎ、来年あたりにはバブルが弾けるのではないか。 何も起きないまま、話題だけで地に沈むにはあまりに惜しい。…

和田洋一
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令和転生(QA編)

デジタルハリウッド大学「令和転生~20歳になって転生したらどうしますか」でお話した内容を昨日投稿しました(下記、ご参考)。 主催の浅枝君から誘われた際、当日の進行…

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令和転生

昨年、デジタルハリウッド大学「イノベーター論」の授業にお邪魔することになりました。 友人である浅枝君の講座で、毎回、彼がゲストと対談して知見を引き出す体裁。テー…

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「見えない資産」はなぜ見えないか

見えない資産とは、知的財産、人材、組織、ブランド等、企業価値に大きく貢献しているにも拘らず、財務諸表からは見えてこない財産のこと。 昨今、注目の的であり、包括的…

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予算の作り方

経営の重要なツールである予算につき私見を書いてみる。 世に予算を「正確に策定する」議論は多く見受けられるものの、なぜ予算を建てるかに対してストレートに述べたもの…

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そろそろ語ろうか(其の参)-後編

さて、前編は、広報について、あまり語る事のなかった裏事情、また、変化球的な活用の例につきお話ししました。 後編は実話をネタにしながらも、IRを中心にお話しします…

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そろそろ語ろうか(其の参)ー前編

2002年11月26日、都内ホテルの控え室。 合併発表記者会見まであと十数分。 一発で決めなければならない。 当時のスクウェアに対する世間の印象は「映画の失敗で破綻に瀕…

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知ったかぶりの効用

新しい仕事に飛び込むには勇気が要る(ような気がする)。 同じ部署に在籍しているだけでさえ、役割が変わると、実質的に全く別の職種になってしまう事がある(こんな事な…

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パソナの淡路島移転にニヤニヤできない理由

先週のニュースには驚きました。 いや、いろんな意味で。 皮肉に満ちた批評を含み笑いしながら書く輩や、大真面目に論点整理する人、それなりに賑やかでした。 リストラ、…

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そろそろ語ろうか(其の弐)

「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(長い・・ので以下、FFCC)のリマスター版が発売されました。 このタイトル、実はスクウェアが任天堂と取引再開した記…

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ゲーム産業ビッグバン・5次元の捉え方

本日は、ゲームユーザーの捉え方に視座を据えてお話しします。過去は最低限に止め、現在に重点を置き、未来にも言及するというバランスになります(過去を中心に考察したエ…

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3年前
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5Gが切り拓くポスト・テレビゲーム時代

超⾼速・⼤容量/超⾼信頼・低遅延/超⼤量端末同時接続と、⾆を噛みそうなスローガンもようやく定着しました。しかしながら、メディアの煽りに共感できない一方で、実態に…

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クラウドファースト

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ポスト・テレビゲーム

本日は、ゲーム産業の未来をテーマにお時間をいただいております。 私見では、過去40年と今後とはやや不連続ですが、一貫する本質を理解しなければ将来を見失うので、時…

和田洋一
3年前
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そろそろ語ろうか(其の壱)

2016年2月末、スクウェア・エニックスを離脱して数か月になり、これまで伝えられなかった事もお話しできる立場になりました。 証券時代16年、ゲーム時代16年と、気がつけば…

和田洋一
3年前
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メタバース: As content, as a platform, as media

メタバース: As content, as a platform, as media

メタバースが激しくバズっている。
根拠のない期待が膨らみ過ぎ、来年あたりにはバブルが弾けるのではないか。
何も起きないまま、話題だけで地に沈むにはあまりに惜しい。
本稿は、今後も粘り強く挑戦してくれる方々のために、なぜ今メタバースが話題になっているのか、今後どのように推進すべきかにつき、少しでも解像度を上げることに貢献できればと思って書いた。
本質に迫るためには、ゲーム論を拡張するのが最も効率的と

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令和転生(QA編)

令和転生(QA編)

デジタルハリウッド大学「令和転生~20歳になって転生したらどうしますか」でお話した内容を昨日投稿しました(下記、ご参考)。

主催の浅枝君から誘われた際、当日の進行のイメージか知りたいので、一緒に飲もうとお願いしました。

ある焼き鳥屋さんで。
浅枝君「一問一答ですよ。令和に20歳になって転生する時、スキルのどれかを持ち込んでいいと言われたら、何にしますか?」
和田「健康と好奇心」(秒で回答)

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令和転生

令和転生

昨年、デジタルハリウッド大学「イノベーター論」の授業にお邪魔することになりました。
友人である浅枝君の講座で、毎回、彼がゲストと対談して知見を引き出す体裁。テーマ「令和転生~20歳になって転生したらどうしますか」を、各ゲストにぶつける。
僕自身、振り返ると、全く異なる3つの人生を送っているので、テーマにぴったりだなと即時快諾。
当日はあっという間に時が過ぎ、伝えるつもりだったことがかなり抜けてしま

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「見えない資産」はなぜ見えないか

「見えない資産」はなぜ見えないか

見えない資産とは、知的財産、人材、組織、ブランド等、企業価値に大きく貢献しているにも拘らず、財務諸表からは見えてこない財産のこと。
昨今、注目の的であり、包括的に論述したものとしては以下あたりが定番か(真面目な人はコチラを読んでください)。

見えない資産を考える事で、現在のビジネス、会社、経済、資本主義と、まるっと見渡すことができる、最高やないかい!

・・と思って書き始めたのだが、これが手強い

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予算の作り方

予算の作り方

経営の重要なツールである予算につき私見を書いてみる。

世に予算を「正確に策定する」議論は多く見受けられるものの、なぜ予算を建てるかに対してストレートに述べたものはあまり見ない。
「なぜ」がなければ「どのように」は導けない。

予算とは経営からのメッセージ予算は、スタッフの行動を促すための仕様書

CEOは、これを肝に銘ずるべき。
「見通し」で予算数値を作る人は経営していないと宣言しているのと同じ

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そろそろ語ろうか(其の参)-後編

そろそろ語ろうか(其の参)-後編

さて、前編は、広報について、あまり語る事のなかった裏事情、また、変化球的な活用の例につきお話ししました。
後編は実話をネタにしながらも、IRを中心にお話しします(後半はしくじり先生的な・・)。

広報は誰に対して発信するかが重要と指摘しましたが、IRについては何のためかを自覚する事が大切だと考えています。また、IRという単語に引きずられない事も。

そもそもIRって何?証券会社時代に最初にこの単語

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そろそろ語ろうか(其の参)ー前編

そろそろ語ろうか(其の参)ー前編

2002年11月26日、都内ホテルの控え室。
合併発表記者会見まであと十数分。

一発で決めなければならない。

当時のスクウェアに対する世間の印象は「映画の失敗で破綻に瀕した会社」。
誰しも「救済合併」と書きたがる。何を話そうがこの見出しになるに決まっている。

第一声の一文だ。
TVも入っている事を逆手にとれ。意味のある第一声ならペーパーメディアも引用せざるを得ない。
記者全員が容易に記憶でき

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知ったかぶりの効用

知ったかぶりの効用

新しい仕事に飛び込むには勇気が要る(ような気がする)。
同じ部署に在籍しているだけでさえ、役割が変わると、実質的に全く別の職種になってしまう事がある(こんな事なら転職も視野に入れればよかった・・)。

私は、異常なまでに多様な(しかも、そこそこ難しい)業務に関わってきた。
(ココからの数行、省略可)
証券会社では、ファイナンス、M&A、デリバティブ、他の金融機関との新サービス、管理会計、リスクマネ

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パソナの淡路島移転にニヤニヤできない理由

先週のニュースには驚きました。
いや、いろんな意味で。

皮肉に満ちた批評を含み笑いしながら書く輩や、大真面目に論点整理する人、それなりに賑やかでした。
リストラ、地域活性化(への便乗)、竹中平蔵さん関連、本音はどこよ。

でも、南部代表は大真面目。

私見ですが、これは、会社中心の日本の社会構造が簡単には変わってくれない象徴的な発表だと考えています。

終身雇用システムのおさらい「終身雇用」のみ

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そろそろ語ろうか(其の弐)

そろそろ語ろうか(其の弐)

「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(長い・・ので以下、FFCC)のリマスター版が発売されました。
このタイトル、実はスクウェアが任天堂と取引再開した記念碑的タイトルなんです。

これを機会に、任天堂との取引再開の経緯、また、このタイトルが実は当時のスクウェアの革新について重要な役割を担っていたことについて、書いてみます。

任天堂出禁私が着任した2000年時点でスクウェアはソニーのプ

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ゲーム産業ビッグバン・5次元の捉え方

ゲーム産業ビッグバン・5次元の捉え方

本日は、ゲームユーザーの捉え方に視座を据えてお話しします。過去は最低限に止め、現在に重点を置き、未来にも言及するというバランスになります(過去を中心に考察したエッセイが「ポスト・テレビゲーム」になります)。

ゲーム産業概観

この数値はリサーチ会社の直近の予想で、本年、世界で16兆円以上の市場規模になるであろうとされています(2019年12月現在の記述)。米国と中国はほぼ同規模であり、この二国で

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5Gが切り拓くポスト・テレビゲーム時代

5Gが切り拓くポスト・テレビゲーム時代

超⾼速・⼤容量/超⾼信頼・低遅延/超⼤量端末同時接続と、⾆を噛みそうなスローガンもようやく定着しました。しかしながら、メディアの煽りに共感できない一方で、実態にピンと来ていないので反論もままならない、というのが正直な感想ではないでしょうか。

本⽇は、5Gが⽀える新たな世界のイメージを持っていただきます。次に、我々の業界にとって何の意味があるかを掴んだ上で、⽴ち向かい⽅につき考えるヒントが提供でき

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クラウドファースト

クラウドファースト

本日は、皆様方に、今こそ新しいコンテンツデザインを考えるタイミングだと呼びかけるために来ました。
本当に世の中が変わる時、徐々に変わろう、様子を見よう、と不心得な考えを持ちがちですが、初期段階ではクラウドファーストを徹底するのが近道だと思っています。

これはよくお見せする図なのですが、テクノロジー、ビジネスモデル、コンテンツデザインが三位一体になって新しい市場ができていくという見解を示しています

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ポスト・テレビゲーム

ポスト・テレビゲーム

本日は、ゲーム産業の未来をテーマにお時間をいただいております。
私見では、過去40年と今後とはやや不連続ですが、一貫する本質を理解しなければ将来を見失うので、時間は非常にタイトですが、あえて過去と未来、双方をお話しします。

本日の流れです。

まずはコンピュータゲームの定義。
ゲームに関する論説に手応えのあるものが少ないのは、考察対象が定義されていない事も一因と考えるからです。
次にこれまでの4

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そろそろ語ろうか(其の壱)

そろそろ語ろうか(其の壱)

2016年2月末、スクウェア・エニックスを離脱して数か月になり、これまで伝えられなかった事もお話しできる立場になりました。 証券時代16年、ゲーム時代16年と、気がつけば中々の古参。 改めて見渡すと、アーケードゲーム、家庭用ゲーム、PC、スマホゲームと全ての時代を経験し、かつグローバル展開を行っていた方がほとんどいらっしゃらない事に気づきました。

またこの間、経営者として、業界リーダーとして、数

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