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日本酒テイスティングノート

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日本酒の紹介を日本酒のテイスターの視点からしつつ、これまでの私のきき酒師、大阪資本の一部上場企業の大手飲食チェーンの和酒バイヤー、SSI日本酒セールスプロモーション研究員としての… もっと読む
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記事一覧

就職氷河期世代の人間として感じる事

就職氷河期世代の人間として感じる事

中坊時代は日本はバブルの真っ最中

私も就職氷河期時代世代の人間で、私が社会人になるかどうかの時代について言えば、山一証券の破綻に始まり、都銀の北海道拓殖銀行が破綻し、不良債権問題により都銀の再編が行われ、その後にオウム真理教の事件や911のテロ、阪神大震災といった社会的な大事件が数多く発生しました。
一方で中坊時代と言えば、日本のバブルの最盛期でニューヨークにある有名なビルを三菱地所が購入したり

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コロナ渦の転職を経験して気づいた事

コロナ渦の転職を経験して気づいた事

コロナ渦で実際に失業を経験してみて

2019年の6月に前職の会社が9月で閉店する事が決まり、それまでお店を休業するので就活してくださいって話になり、さあどうしようって話になったのと、考えていても仕方が無いので少しでも早く行動する事だけを考える事にしました。

最初に考えたのは現在の年齢で再就職は可能なのか

就活時の年齢が48歳で、この年齢で就活するに当って面接まで行ける会社が果たしてどれだけあ

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ダイエットはじめました

ダイエットはじめました

新任の第二種衛生管理者

先日衛生管理者として参加した会社の安全衛生委員会、健康診断の結果についての検討と私の新任の衛生管理者としての紹介を兼ねて行われました。

お約束の健康診断結果

勿論、健康診断の結果が社内でもトップクラスの悪さ、脂肪肝+高血圧だったので、颯爽と産業医の先生からイジリが入りました。

お約束とは言え、予想通りの結果では有りました。

そんなんで、流石に先日から身体を作り直す

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コロナ渦で厳しい飲食業界に対し感じる事

コロナ渦で厳しい飲食業界に対し感じる事

某大手メーカーの業務部門の赤字

改めて飲食業界が厳しいって話を本日耳に致しました。
詳しくは話せませんけど、某大手ビールメーカーの業務部分、赤字って聞いて、正直ショッキングでした。

混んでいるお店に進んで入りたいか?

自分自身、飲食のサラリーマンを長年やっていますけど、現在の新型コロナ禍で混んでいるお店に進んで入りたいか?夜中まで飲みたいか?或いは盛り場に進んで行きたいか?って冷静に考えたら

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きき酒師の日

きき酒師の日

11/11はきき酒師の日だったようです。

改めて、コロナ禍で飲食や観光関係に取っては逆風であり、私自身も勤めていた店が閉店、城崎で拾って頂き単身赴任が始まって明日で丸二年になります。

面白いもんで、たまたま昨日と今日が休みで大阪に帰っていますが、2年前と同じく今日城崎に帰ります。

私自身が専属テイスター理由

私自身が専属テイスターになった理由は、日本酒が好きな事も有りますけど、もう1つの現

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江戸期~昭和初期の経済成長から見た日本酒の発展(市場経済側の経済的な視点からの日本酒の発展)

江戸期~昭和初期の経済成長から見た日本酒の発展(市場経済側の経済的な視点からの日本酒の発展)

※見出しの画像は関西学院大学所有 灘の新酒番船江戸入江の図

江戸初期から中期までの経済状況

2019年現在の日本の人口は約1億2700万人、GDPは約550兆円となっていて、国民一人当たりのGDPが約433.7万円となっている。普通に働いて生活していれば、少々貧しくても一定のお金さえ出せば、欲しいものは買えるし、余程のことが無ければ食に困ることも、ほぼ無いと言えるといえます。
では、1600年

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有名飲食店の肖像権について

有名飲食店の肖像権について

※写真は以下のサイトより引用
飲食店の重要ポイント「看板」複数店舗で繁盛する飲食店が最もこだわる作り方のノウハウ - 店サポ - 飲食店 居抜き店舗 専門情報サイト (misesapo.jp)

以前から私が疑問に思っている部分

私自身が大阪の某有名飲食店出身者なので余計に感じる事だとは思いますが、ぐるなびや食べログ等の飲食のポータルサイトとのビジネス契約が無い場合、飲食のポータルサイト側が飲食

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飲食の現場できき酒師に求められるもの

飲食の現場できき酒師に求められるもの

会社の夕食会場の現場に入ってみて

城崎温泉の旅館に転職して以来、フロント業務とインターネット関係の仕事、飲料の仕入れや管理がメインになっており、中々現場に入る機会が少なくなっているのですが、先日、会社の会場食の夕食に久々に入ってみて、改めてきき酒師という仕事に関して考えさせられました。

お客様に現場で何を求められるのか

旅館ですから夕食の料理提供の仕事に関して言えば、お客様の立場に立てば一番

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江戸期~昭和初期の経済成長(市場経済側の経済的な視点からの日本酒)その2 本日の紹介酒 櫻正宗 灘の生一本 純米酒 (兵庫県 灘)

江戸期~昭和初期の経済成長(市場経済側の経済的な視点からの日本酒)その2 本日の紹介酒 櫻正宗 灘の生一本 純米酒 (兵庫県 灘)

※日本酒の画像は、櫻正宗㈱HPより引用

非常に厳しかった市場での酒質の競争

この頃、江戸へお酒を卸すには、上方の銘醸地である伊丹・池田・摂津富田・西宮・灘等の銘醸地の間で熾烈な酒質の競争が行われていて、現代の語の「下らない」の語源は上方から江戸へ下れない酒でありました。

仮に下れたところで仮に下れたところで、上方の酒同士での競争はもちろん、中国酒(愛知県の知多地方や三重県の四日市近辺)や関東

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高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

酒、観光、飲食業界の本当の課題デフレ型の商売の在り方からの脱却、これからの酒業界、観光業界、飲食業界の大きな課題だと思います。一方で、普段飲みや家庭での食の部分に関しては、ある程度低価格が求められるのは当然かなって感じます。

価格の安さは決して正しい事でとは言えない長年飲食の業界に携わっていますが、この業界独特の安い=正しい事って考え方がどことなくあるように感じる事が、以前からよくありました。日

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その6 灘で生酛造りの技術として確立するまで 本日の紹介酒 仙介 純米大吟醸 (兵庫県 灘)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その6 灘で生酛造りの技術として確立するまで 本日の紹介酒 仙介 純米大吟醸 (兵庫県 灘)

慶長の遣欧使節のその後
 結局、アマルガム精錬法を徳川幕府は入手しましたが、1620年に遣欧使節が日本に帰った頃には、家康公は既に亡くなり日本は鎖国の方向へ進んでいたので、その後この慶長の遣欧使節の事もあまり表に出る事は無く歴史の中に埋もれてしまいました。

柱焼酎の技術一方で、柱焼酎の技法が歴史の表舞台に出て来るのは、元禄期の徳川綱吉公の時代であり、この頃にはある程度完成した生酛による酒造りに関

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高級酒を販売するとは その1 本日の紹介酒 問天 生酛純米 2016

高級酒を販売するとは その1 本日の紹介酒 問天 生酛純米 2016

日本酒の飲み方に正解も間違いも無い日本酒の飲み方に正解は無いし、間違いも無いと言うのが本来有るべき消費者目線に立ったお酒の飲み方だと思います。ただ、日本人の悪い所はどうしても正解と言うか正確なお酒の飲み方を求めてしまう部分があると思いますし、日本酒を飲む人が全てきき酒師になる必要も無ければ、ソムリエになる必要は無いと思います。

自分なりに色々試した方が日本酒は楽しめますではどうすればもっと日本酒

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その5 慶長の遣欧使節団とシェリー酒 本日の紹介酒 菊正宗 上撰 生酛 本醸造パック (兵庫 灘)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その5 慶長の遣欧使節団とシェリー酒 本日の紹介酒 菊正宗 上撰 生酛 本醸造パック (兵庫 灘)

慶長の遣欧使節団は長期間スペインのシェリー酒の醸造所に滞在していたこの使節団は長期に渡りスペイン内のシェリーの醸造所に滞在した事が(伊達政宗の遣欧使節 松田毅一著)には出ていました。直接、日本酒造りと関係ないと言われればそれまでだし、シェリー造りでは日本酒と全く同じでは無いですが、ワインにブランデーを加える目的は、お酒の味わいをスッキリさせる事と、お酒の保存性を高める事です。

山卸を足踏みで行う

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その4 山卸の作業はどのように進化したのか 本日の紹介酒 蒼天伝 大吟醸 (宮城県 気仙沼市)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その4 山卸の作業はどのように進化したのか 本日の紹介酒 蒼天伝 大吟醸 (宮城県 気仙沼市)

足で酛摺りを行うようになった機会を作った出来事 本格的に足で酛摺りを行うようになったきっかけを考える場合、可能性が一番高いのが、伊達政宗公によって行われた慶長の遣欧使節です。

何故、慶長の遣欧使節が派遣されたのかこの使節に関しては伊達家がスペインと組んで天下を取りに行ったが故に行われたのではないかという説もありますが、(実際に家康公の体調が悪い時に本当に仙台藩と江戸幕府の間で戦争に成りかけたが、

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