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エッセイ/レビュー

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まとわりつく雑念を閑人独語の形式で発散。
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#随筆

【エッセイ】日々の含(第三回)

【エッセイ】日々の含(第三回)

日々の含 (第三回)
『ミニマリストに執着します』

先程からこの場所にひとり佇んで意気消沈している。

だってそうだろう、今私が立っているこの地はJR新宿駅の東口、つまりアルタ前ときたら非常に多くの人で賑わっているのだから。この賑わいは今日が金曜の夜だから来たる土曜を祝して賑わうのではなく、まず新宿駅に先立って「賑わい」が存在するのであり、これ無くして日本随一の歓楽街は成立しないといってよい。周

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【エッセイ】日々の含(第二回)

【エッセイ】日々の含(第二回)

日々の含 (第二回)
『まーた雨が降ってやがらァ』

ニュース番組を見ていたところ、ある社会学者の方が「現代はストレス社会である」と称してその弊害を語っていた。

ストレス社会、全くその通りである。だってそうだろう、令和のこの時代は昭和や平成といった一昔前と比べると、経済活動から情報技術に至るまで高度かつ複雑に発展しており、その結果、一見して我々は便利で豊かな暮らしを享受できている様でいて実はそん

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【エッセイ】日々の含

【エッセイ】日々の含

日々の含

『新宿のええじゃないか』

朝刊の「日経平均株価が史上最高値を更新」という大見出しが目に止まった。

これぞ吉報である。だってそうだろう、株価の最高値は何も株主だけの利益に通ずるのではなく企業の時価総額、つまり企業価値の向上を意味するからであり、それに伴い企業の事業は拡大、従業員の給料も上がるわ経済も潤うわで最終的に我々は幸せな生活を送ることができるのだから。それにも関わらず私の生活に

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『微笑がえし』に寄せた注解

『微笑がえし』に寄せた注解

十年間交際した彼と別れることになり、長い同棲生活も終わりを迎えようとしている。
それぞれの引越し当日となった今日、二人で暮らしていた部屋を彼と掃除することにした。

芸人・春一番に似た風貌の彼は、私がせっかく掃除したアルミサッシ目がけて、
床埃を大量にまき散らしている。馬鹿なのか。
机、本棚といった家具類だけは昨日の内に運び出しておいたため、
かつてそこにあった畳の色だけがまるで新居同様の面影を残

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2021年度全国学力テスト解答速報(中学生の部・国語)~俺ならこう解く~

2021年度全国学力テスト解答速報(中学生の部・国語)~俺ならこう解く~

【はじめに】灘、開成、ラサールをはじめとする超難関高校を受験する中学生にとって鬼門ともいえる国語。受験生の中には『国語の解法はセンスだ』と言う者もいるかもしれぬが、国語の問題はセンスで解くのではなく、理屈と洞察力で解くべきである。それは以下に示す私の解説が証明した。
 
難関校志望者の諸君は本解説を活用した上で、入学試験に臨まれることを強く推奨する。

【大問①:問題文】【大問①:解答】▼大問①

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2021年度大学入学共通テスト解答速報(国語・小説) ~俺ならこう解く~

2021年度大学入学共通テスト解答速報(国語・小説) ~俺ならこう解く~

【はじめに】東大、京大、医学部受験生にとって鬼門ともいえる国語。
受験生の中には『国語の解法はセンスだ』という者もいるかもしれぬが、国語の問題はセンスで解くのではなく、理屈と洞察力で解くべきである。それは以下に示す私の解説が証明した。
 
難関大受験生の諸君は本解説を活用した上で、入学試験に臨まれることを強く推奨する。

【国語・現代文(本文)】

【全解答】

■問1・設問文および解説■

【問

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『舟唄』に寄せた注解

『舟唄』に寄せた注解

管轄していたプロジェクトで大赤字を出してしまい私は地方に左遷された。
以来、この地で無為に過ごしている。
出世レースからの脱落、鬱屈した気持ちを抱えたまま適当な居酒屋へ入った。

席へ座るなり私は「ぬる燗」をそう言って誂えた。が、店員が運んできたのはホッピーであった。
どういう聴覚をしていればぬる燗をホッピーと聞き間違えられるのであろうか。
次に私は「イカの炙り焼き」を注文した。が、店員が運んでき

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【エッセイ】女性専用車両ありやなきや

【エッセイ】女性専用車両ありやなきや

女性専用車両の是非を問う。

その発端は「女性専用車両」という字面から受ける印象と利用実態に違和感を覚えたからである。
本稿の目的は、女性専用車両なるものを再検討し本来あるべき姿を見出すことである。

■各車両の利用者について:
まずは私が抱いた女性専用車両における違和感を明らかにしておかなくてはならぬ。だがその前に、ここでは各鉄道車両に応じた利用者について説明する。

周知の事実として、女性専用

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【エッセイ】左右の心得 -対話篇-

【エッセイ】左右の心得 -対話篇-

先日、後輩のハム山が運転する車の車中において我々は次の様な話をした。

『玉井さん』
『何』
『運転していて不安になってきたのですが、こんな辺鄙な場所に目的のお店があるのでしょうか』
『心配するな、もうじき着く。君、次の交差点を右に曲がりなさい』
『えっ、右?』
『そう右だ』
『右って箸を持つ方ですか?』
『普段貴様がどちらの手で箸を持つのか知らないから、知らない』
『そうですか。それは困ったな』

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【エッセイ】夜霧の飯談義 -対話篇-

【エッセイ】夜霧の飯談義 -対話篇-

先日、自宅で酒を飲んでいたところ、後輩のハム山が訪れて我々は次の様な話をした。

『玉井さん』
『何』
『それは一体、何を肴にお酒を飲まれているのですか』
『見ての通り「ごはんですよ」だろう。私はこれで焼酎を飲むのが好きなのだ』
『いえ、ツマミの嗜好に関する話ではなく、私が気になったのはこの「ごはんですよ」についてです』
『どういうことかね』
『通常「ごはんですよ」のフタを開けると海苔の佃煮が入っ

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