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2021年度大学入学共通テスト解答速報(国語・小説) ~俺ならこう解く~

【はじめに】

東大、京大、医学部受験生にとって鬼門ともいえる国語。
受験生の中には『国語の解法はセンスだ』という者もいるかもしれぬが、国語の問題はセンスで解くのではなく、理屈と洞察力で解くべきである。それは以下に示す私の解説が証明した。
 
難関大受験生の諸君は本解説を活用した上で、入学試験に臨まれることを強く推奨する。

【国語・現代文(本文)】

現代文_01

現代文_02

現代文_03

現代文_04

現代文_05

【全解答】

現代文_解答

■問1・設問文および解説■

現代文_06_設問

【問1(ア)】
■正解:
 ② 手だてもなかった
■解説:
 この問題は単純に知識の有無に懸かっている。「術」という言葉の語意を知らない者はあきらめるべし。適宜、国語辞典を引いて調べること。
【問1(イ)】
■正解:
 ② 言う機会を逃して
■解説:
 前述(ア)と同様の理由により、解説は省略。
【問1(ウ)】
■正解:
 ① 訪れることがなくなった
■解説:
 前述(ア)と同様の理由により、解説は省略。

■問2設問文および解説◼️

現代文_07_設問

【問2】
■正解:
 ③ 妻に羽織をほめられたうれしさと、本当のことを告げていない後ろめたさが入り混じった、落ち着かない気持ち。
 
■解説:
 傍線部Aの直前の描写から考えていく。まず、主人公の<私>は貧乏とある。そして妻にも <<あなたの様な貧乏人が・・・>> とナメられている。つまり、妻にナメられた反動でウソをついたのである。そのウソは功を奏して妻は夫の羽織をホメまくる。だが、夫自身、我ながらどこかアホ臭いの感がある。諸君も次のような経験をお持ちではないだろうか?くだらないウソをついてバレるよなーなんて思ってたら、意外にも相手が真に受けてしまい、なんか嬉しいけど悪いことしたような、でもまあいいやバレてないし、いやでもなあ... といった行き所を無くした落ち着かない経験が。よって、正解は③。

■問3設問文および解説◼️

現代文_08_設問

【問3】
■正解:
  W君が手を尽くして贈ってくれた品物は、いずれも自分には到底釣り合わないほど立派なものに思え、自分を厚遇しようとするW君の熱意を過剰なものに感じてとまどっている。
 
■解説:
 <私>の複雑な心境を答える問題である。まず、傍線部Bにおいて <私> は、W君から20円相当の時計をプレゼントされ、それきっかけで同僚から非難を受けたことで <<やましいような気恥しいような訳の分からぬ重苦しい感情>> を抱いている。ここで、20円という金額について違和感を覚えないか?はっきりいって、20円とは「うまい棒」が2本買える程度のはした金である。送別品の金額にしては馬鹿に安過ぎる。これを軸として考えていくと、この場面は「20円で買ったジャンク品まがいの阿保みたいな時計をW君および同僚一同からプレゼントされた」ということなのだから <私> にしてみれば <訳の分からぬ重苦しい感情> を抱いて当然の話ではないか。
 
ここには何か裏がある。それ即ち、高級羽織からの20円激安時計といった不可解なプレゼント攻撃におけるW君の本心として、彼は <私> を試そうとしたのである。その観点を考慮すると、解答番号①〜⑤の内、解答①にある <<自分には到底釣り合わないほど立派なものに思え、自分を厚遇しようとするW君の熱意を過剰なものに感じてとまどっている。>> が的を得ており、これはつまり、W君が<私>という羽織一枚に一喜一憂する俗物に対し、戒めを込めた禅問答として20円激安時計をプレゼントしたのだといえる。こうした点に、<私> はW君の道徳的に高尚(≒立派)で計りしれない思慮の深さ(≒熱意)を覚えながらも「にしても、W君の禅問答は流石にちょっと分かりにくすぎじゃねえかなあ(≒過剰)」と、戸惑っているのである。よって、正解は①。

■問4設問文および解説◼️

現代文_09_設問

【問4】
■正解:
 「私」に厚意をもって接してくれたW君が退社後に寝たきりで生活苦に陥っていることを考えると、見舞いに駆けつけなくてはいけないと思う一方で、「私」の転職後はW君と久しく疎遠になってしまい、その間看病を続けた妻君に自分の冷たさを責められるのではないかと悩んでいる。
 
■解説:
 <私>がW君の妻にビビっている理由を答える問題である。やっかいなことに小説の文中には、W君の妻の描写は全く無い。ではどうするか?こういうときは「消去法」を用いて回答を導けばいいのである。では、解答番号①~⑤を順に見ていこう。
 
まず、解答番号①について、いきなりものすごく正解っぽいので、ここは保留(回答候補)にしておく。
解答番号②については、<私>の被害妄想もいいとこである(②は ✕)
解答番号③については、偽善的な態度を指摘されるのでは...云々とあるが、そんなイタ過ぎる妻はそうそういない(③は ✕)
解答番号④については、俺には書いてあることがよく分からなかった(④は✕)
解答番号⑤については、W君が<私>を立派な人間と評価してくれた..云々とあるが、そんな描写はどこにもない(⑤は✕)
 
以上を総合すると、保留していた解答番号①が唯一マトモな回答に不思議と見えてくる。よって、正解は①。

■問5設問文および解説◼️

現代文_10_設問

【問5】
■正解:
 ⑤
 偶然を装わなければW君と会えないとまで思っていたが、これまで事情を誤魔化してきたために、今更妻に本当のことを打ち明けることもできず、回りくどいやり方で様子を窺う機会を作ろうとしている。
 
■解説:
 W君のパン屋で「餡パン」をわざわざ買いにいかせた<私>の動機を答える問題である。
ここで「餡パン」とあるが「餡パン(アンパン)」とは、シンナーの俗称を指している。なぜというに、世間のアウトロー界隈において、シンナー中毒者の事を「アンパン中毒」「パン中」と呼ぶことがあるからである。つまり、<私> はシンナー中毒者なのである。
どういうことかというと、ここまでこの小説を読み進めていけばお分かりだろうが、<私>という人物は「神経質」「心配性」「引っ込み思案」「被害妄想」といった性質が挙げられるからであり、はっきりいってノイローゼ一歩手前である。この今にも狂いそうな<私>の精神を落ち着かせるにはアンパン(シンナー)に頼るしかないではないか。そのため、<<今更妻に本当のことを打ち明けることもでき>> ないのは当然である。さらに、<<原っぱで子供に食べさせる>> とあるが、一人でアンパン吸うのも味気ないので子供と一緒に吸おうという魂胆なのであろう。酷い父親だといえる。妻もそんな夫と知りながら見て見ぬフリをしてアンパンを買っている。
なお、W君のパン屋にシンナーが売っている理由は、本文の <<小さなパン屋を始めたこと  ― 中略 ―  それでやっと生活して居る>> という描写からも分かる通り、このパン屋は流行っていない為、事業転換の取り組みとしてパンだけでなくシンナー、ベンジン、エタノール等々も販売しているのである。すなわち、<私>はシンナーを買うついでにW君の様子も分かれば一石二鳥だという浅はかな魂胆により、この様な回りくどい方法をとったのである。よって、正解は⑤。

■問6設問文および解説◼️

現代文_11

現代文_12_設問

【問6(ⅰ)】
■正解:
 ④
挿話の巧みなまとまりにこだわったため、W君の生活や境遇の描き方が断片的なものになっている。
 
■解説(※真剣に解説※):
 この問題で注意すべきは、設問文の <<評者の意見として最も適当なものを>> 選ぶという点である。そこで、【資料】において評者・宮島新三郎氏の意見を整理すると「著者の作品は、様々な視点から網羅的に描写することにより、その行間から文学性を生じさせるのが強みである。にも関わらず、"羽織と時計" を用いたミエミエのネタフリが白々しく、そこが文学性を損なわせている」といった主張である。つまり、余計なテクニックばっかり使っていて網羅性に欠けてるから君らしくない小説になってるよ、と言っている。この主張を念頭におき、解答番号①~④を順に照らし合わせていく。
 
まず、解答番号①について<<多くの挿話>>とあるが、作者は「羽織と時計」という要素だけでW君を表現しようとしたのだから、この点が評者の主張と合致しない(①は ✕)
解答番号②については、<<実際の出来事を忠実に再現>> という記述が変であり、<<忠実>>に再現できてないから評者はダメといってるのだから、それは評者の主張と合致しない(②は ✕)
解答番号③について、<<美化している>>という記述がおかしい。なぜなら、この小説は「W君を美化する話」ではなく「<私>とW君の不安定な関係」が主題だからである(③は ✕)
残る解答番号④については、すべてが評者の主張と合致する。
よって、正解は④。
【問6(ⅱ)】
■正解:
 ④ 
「羽織と時計――」という表現の繰り返しによって、W君の厚意が皮肉にも自分をかえって遠ざけることになった経緯について、「私」が切ない心中を吐露していることを重視すべきだ。
 
■解説(※真剣に解説※):
 この問題は割と難問である。前問同様、ここも設問文に注意を払う必要があり <<評者とは異なる意見を>> 選ばなくてはならない。本問についても、作者の主張(※問6(ⅰ)の解説参照)を念頭に、解答番号①~④を順に見ていく。
まず、解答番号①については、<<異なる状況において>> とあり、評者の主張する <<多角的に描破>> すべきという点に合致する(①は ✕)
解答番号②については、<<複雑な人間関係に耐えられず生活の破綻を招いてしまったW君のつたなさ>> とあり、こんな描写は本文には無いが、こういった点も「羽織と時計――」から浮かび上がるとよい、という評者の主張する <<多角的に描破>> すべきという点に合致する(②は ✕)
解答番号③について、「羽織と時計――」という表現が<私>の不安定さしか表現できていないのが問題だと言っている為、これは評者の主張と合致する(③は ✕)
解答番号④について、「羽織と時計――」をおもいっきりネタフリとして使用しているため、これを重視してしまうと評者の主張「ネタフリすんな」と見解が異なる(④が正解)

【総括】

問6(ⅱ)が割と難しいから、適当にさっさと回答して評論に時間をかけた方がいい。また、大学入試は英語と数学がどれだけできるかなのでそれを中心に勉強したらいいと思う。

以上

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