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日常

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猫と、ごはん。なにげない日々のこと。 デザインの仕事のこともすこし。
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喫茶店から一歩も動けない

喫茶店から一歩も動けない

夏、暑い、夏、暑い。
夏と暑がおなじ漢字に見えてきて、夏。

暑いということがすべてを凌駕して、今なにか優しい言葉をかけられたら容易に泣いてしまいそうなほどに身体がやられている。

せっかく神戸に来たのに。
行きたい本屋さんがたくさんあるのに。
本棚を眺める目が滑って、額から流れる雫ばかりが気になる。本棚に集中できないことがくやしくて、ああ、夏…と思う。

本屋めぐりのはずが、涼しいところをもとめ

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瞬間、瞬間、瞬間

瞬間、瞬間、瞬間

昨年の秋ごろまで働いていた会社の同僚ふたりと、春が来たら会おうね、それまではそれぞれにがんばろうねと約束していた。

朝は選挙へ行くので昼からでもいい?と連絡を入れてすぐに、ふたりのうちのひとりAは海外から日本へ来ているので参政権がないのだということに思い至り、落ち込む。ぽろっと発した言葉がもしかしたら誰かへの暴力になっているかもしれないと、いつも気をつけているつもりなのに、やってしまう。

そん

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夕暮れのばくだん

夕暮れのばくだん

バスを降りて、淀川沿いの河川敷をとぼとぼ10分ほど歩いて家に向かう、夕暮れどきの帰り道。

できて一年くらいのバスケットボールのコートの横を通る。近頃は子どもたちに大人気で、いつ通っても玉入れ状態になっている。のどかだ。

大きな歌声が聴こえてきたので声の主を探してまわりを見渡す。でも夢中でボールを投げる子どもたち以外には、土手に座り込むおじさんしかいない。

じっと遠くを見つめるおじさん。川を見

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イマジン

イマジン

先週にひきつづき、音の方へ。
GEZAN LIVE。

美しいことも、汚いことも、いろんなことを背負わせてきた彼の声は、前日に襲撃にあったのだという。いつもの声以上の嗄れ声でなんども頭を叩きながら苦しそうに歌う姿。

「でも、不都合なこととか、人に隠したいようなこととか、そういうものもぜんぶ見せていきたいと思っているから」

いつもの声で歌う彼を思い出しながら、その日の彼を見る。聴く。これが LI

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すきなものに囲まれて

すきなものに囲まれて

昨日は誕生日ということで、無計画に思いの向くまま、わたしの行きたいところへ同居人がつきあってくれる1日だった。

お昼にラーメンを食べ、『印象派・光の系譜展』へ。同居人は美術に苦手意識がある人で、美術館へはめったに一緒に行かない。でも今回は、コローがよかった、なんでか物凄くなつかしいきもちになって…コローが…としきりにうれしそうに話す姿が、わたしをよころばせる。

見た瞬間心を捉えて離さない絵とい

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ぽつりぽつり、そして冬の選書

ぽつりぽつり、そして冬の選書

京都の空気はもうすっかり冬の冷たさになった。各地はどうなのだろうか。そしてわたしのきもちはなかなか焦っている。

事務所の引っ越しを年末にひかえ、大量の紙もの文具や本を丁寧に、しかし迅速に箱詰めする作業は骨が折れる。

日ごろPCの前に座っているだけの人間なので、しゃがんで立つだけでめまいすらするし、身体のこんなところにまで筋肉があるのかと思うようなところが筋肉痛で、ひーひー言いながら、次の日には

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船屋のならぶ、伊根町へ

船屋のならぶ、伊根町へ

京都の北の方、宮津市・伊根町へぴー太とその親友とその奥さんと4人でいってきた。

わたしは車に乗ること自体とてもひさしぶりのことだったので、それだけでうきうきして、どんどん街中から田舎の風景へと移りかわる車窓を眺めてはうれしくなり、山が赤くなってきたねぇ、あれは緑のままだから松ばかり生えた山だねぇと、なんとも返事しづらい話題でぴー太の親友の奥さんへ話しかけていた。(帰ってから、あのこは楽しめていた

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メトロポリタン美術館展へ

メトロポリタン美術館展へ

行ってきた。もーねぇ、たのしい。
もともと、外に行くだけでつかれるようなインドア人間なので、大阪まで出て、さらに広い美術館の中を全神経研ぎ澄ませて集中して見ていくと、すべて見終わった頃には、いつもぐったりして帰ることになる。でもそれが心地よかったりもする。

書きたいことだらけなのだけど、とくに印象に残ったことだけ。といいながら、だんだん長くなっていったので、ご注意を……

セザンヌが街の風景を描

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人生の中できっと思い出し続ける、忘れてもいい

人生の中できっと思い出し続ける、忘れてもいい

Instagramで読書日記だけではなく、日常のことも投稿するようになった。なんのことはない、ノートだけが並ぶ投稿欄の見栄えにあきてきたのと、日によって違う写真の光の加減が妙に気に障ったという理由なのだ。

そうすることで、InstagramとTwitterとnoteの境目が曖昧になり、3つも本当にいる?という問いが生まれ、書き分けにも悩み、やれこまったとなっている。

もとは誰かに見てもらうため

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住みたい街

住みたい街

昨日は朝から恵文社へ。

オースターの日本語訳本の装丁でも知られている、タダジュンさんの作品展示を見るために行ってきた。

展示は、タダジュンさんが装丁、挿絵をしている阿部大樹さんの『翻訳目録』という本の刊行記念として行われたのだけど、サイン入り本の購入者は、限定のポスターがもらえるということで、こ、こここれは……絶対に行かせてもらいます。と、ぴー太にお願いして、土曜日の予定のはじめにもってきても

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