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船屋のならぶ、伊根町へ

京都の北の方、宮津市・伊根町へぴー太とその親友とその奥さんと4人でいってきた。

わたしは車に乗ること自体とてもひさしぶりのことだったので、それだけでうきうきして、どんどん街中から田舎の風景へと移りかわる車窓を眺めてはうれしくなり、山が赤くなってきたねぇ、あれは緑のままだから松ばかり生えた山だねぇと、なんとも返事しづらい話題でぴー太の親友の奥さんへ話しかけていた。(帰ってから、あのこは楽しめていただろうかと猛烈にひとり反省会をすることになる)

伊根町へ行くのは個人的には3度目のことで、いつ行ってもとてもすばらしい。

透き通ってウニやヒトデが見える青い海、海をきらめかせる光の波、空いっぱいにとびまわる鳥の群、座り込むもふもふに太った海鳥、遠くでなる船の汽笛、海沿いに立ちならぶ船屋、軒先に吊るされたイカやフグ。町の閑散とした静かさが滲みる。

ぴー太とわたしは、船屋と船屋の間からちらちらと見える海の風景にいちいち足を止めては、海きれいだねぇ!海鳥ふくふくやん、かわいい!わ!ふぐ吊るされてる!など、もろもろではしゃぎ、友達たちはというと、静かににこにこ歩き、目移りばかりしてなかなか進まないわたしたちのことを、辛抱強く待っていてくれる。

そんなふたりにはごめんねと思いながら、見るものひとつひとつに同じ感覚でよろこんでくれる隣のぴー太に、安堵するのだった。一緒にいると似てくるのかもしれない。

この町の人たちは漁師さんがきっと多いけれど、みんな海がすきでたまらないのだろうか。海と山に囲まれたこの町で育つ子どもたちはどんな風に考え大人になるのだろう、と妄想する。この港で本を読む生活はすてきだろうねぇ、でもちょっと磯くさいねぇと笑いあう。

帰り道、すっかり日が短くなり真っ暗になった道を走る車の中で、すきな音楽をそれぞれにリクエストして流していく。
誰かが選んだ、中島みゆきの曲が頭の中をながれつづけ、高速道路をぼぅとながめていたら妙に感傷的なきもちになる。「ヘッドラ〜イ、テールラ〜イ、旅はおわらない〜」

そして、自分たちへのお土産ばかりを買い帰路についたわたしたちは、荷物をおろすとき、地酒やワインの瓶の多さにあきれる。そもそもふたりとも浪費癖が過ぎるので、他にも魚介類をしこたま買ったし、かわいい色大根や柚子なども買ったのだった。調理するのはたのしみだけど、それにしても、買い込みすぎた。

旅に出ると、普段の生活では慣れてしまっている自分のいやなところにもたくさん出会うことになるのが常で、たのしかった時間と同じくらい、反省もたくさんする。みんなはどうなのだろうか。

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