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蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録です。月に3〜4冊ぐらいのペースで更新してます。
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#経済学

【景気を読みとく数学入門】経済学と数学をバランス良く

【景気を読みとく数学入門】経済学と数学をバランス良く

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜経済を題材にした数学本〜本書は数学入門と銘打っていながら、その実態は経済学の本とも言える。
長い不況はなぜ起こるのか?バブルはなぜ起きるのか?そういった経済の疑問を数式を駆使して一般向けに解説している一冊である。なかなか面白いアプローチで非常に楽しんで読めた。

数式を駆使する、と言っても難しい公式や数学理論が出てくるわけではなく、使われる数式は平易なものば

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【絶望を希望に変える経済学】凝り固まった負の常識を破り、建設的な議論を

【絶望を希望に変える経済学】凝り固まった負の常識を破り、建設的な議論を

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜何冊分もの価値がある一冊〜ビルゲイツが「読むべき5冊」に選出していた1冊。
経済学、と銘打っているものの、実際のところは経済学者の視点から語られる「世界の危機に対する問いかけ」である。
世界は多くの問題に悩まされている。貧困、成長、不平等、貿易、移民、新技術…。そして、それらの問題は日々議論されているように見えながらも、実際には膠着状態であり、政治家は人々

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【行動経済学の逆襲】行動経済学の発展を辿るドキュメント

【行動経済学の逆襲】行動経済学の発展を辿るドキュメント

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜行動経済学入門には他の本を〜最近もっぱら話題の行動経済学。
その行動経済学の中でも有名な「ナッジ」の提唱者の1人であるリチャード・セイラーが語る、行動経済学が経済学界で頭角を表すようになるまでの過程が描かれたドキュメントである。

なので、行動経済学の入門としては向いてはいない。ある程度行動経済学を知っている人であれば、行動経済学が1つの学問として確立するま

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【ブラック・スワン】「ありえない」なんてありえない、まさしく。

【ブラック・スワン】「ありえない」なんてありえない、まさしく。

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜内容は難しいけど楽しんで読める〜以前読んだ「まぐれ」を読んでからずっと頭から離れなかった文芸評論家、実証主義者のナーシム・ニコラス・タレブ氏の代表作が本作。

「まぐれ」は、内容こそ難しく理解しきれていないがメッセージはわかりやすく非常に楽しめて読めた。
そして、本作も同じである笑
統計学や経済学、数学などの専門的な用語がよくわからず理解できなかった場面は多

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【「家族の幸せ」の経済学】子育てこそ事実を基に冷静に判断をするべき

【「家族の幸せ」の経済学】子育てこそ事実を基に冷静に判断をするべき

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜子育てに関する「神話」の正体〜「帝王切開は赤ちゃんに悪影響だ」
「赤ちゃんには母乳が1番」
「3歳まではお母さんが子育てに集中すべき」

などなど、出産・子育てに関する話は様々あり、信念を持って信じている人もいれば、正直そういう話にうんざりしている人もいるだろう。

かくいう、僕の妻も子どもをベビーカーに乗せて町を歩いていた時、近所の老齢の女性に話しかけられて

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【ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(第5部 二つの自己)〜結論】認知的錯覚は個人では難しいが集団であれば防げる

【ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(第5部 二つの自己)〜結論】認知的錯覚は個人では難しいが集団であれば防げる

前回の記事はこちら。

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜持続時間を無視する「記憶する自己」〜この最終部で紹介されるのが「経験する自己」と「記憶する自己」である。

例えば、ひどく痛みを伴う治療を受けた時を想像すると、手術を受けている真っ最中なのが「経験する自己」、その手術を後から思い出すのが「記憶する自己」である。

この二つの自己の違いがハッキリと分かるのが、本書で紹介された以下のよう

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【ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(第4部 選択)】その選択は本当に合理的か?

【ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(第4部 選択)】その選択は本当に合理的か?

前回の記事はこちら。

〜人は損する事に敏感だ〜どちらがいいか。
様々な場面で僕らは"選択"をする。自分にとって良い結果になる方、または得する方を選ぶために、あらゆる2択が目の前に現れた時に、僕らは熟考する。そして、良い結果を示す選択を行うのだ。

しかしながら、それらの選択も果たして合理的な判断が出来ているのだろうか?

例えば次の問題をどう考えるか?

あなたはどちらを選びますか?
1.確実に

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【現代経済学の直感的方法】経済学の初心者と上級者を繋ぐ中級者のための一冊

【現代経済学の直感的方法】経済学の初心者と上級者を繋ぐ中級者のための一冊

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜初心者と上級者を繋ぐ一冊〜経済学というものを勉強し始めたのは、僕はここ1〜2年の事である。
「Y = C + I」や、デフレ・インフレ、貿易、ドル、など様々な用語が経済学関連の書籍には出てくるが、その本質はよくわかっていなかった。
正直なところ、それぞれについて専門的な経済学の書籍を開いても数十ページ読み進めると、途端に理解できなくなっていき、読むのをやめ

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【父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話】

【父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話】

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

この本のプロローグのタイトルは「経済学の解説書とは正反対の経済の本」となっている。
経済学の難しい言葉を使わずに、経済について解説してくれる本、と思い読み始めたのだが、意外や意外、その歴史小説とも言えそうなドラマチックな内容に、他の著名人の感想と同じく、夢中になり一気に読んでしまった。

子どもに語りかける口調で経済や文明を語る本書は、読み終えた後にたしかに世

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【経済学を味わう】経済学の世界にようこそ

【経済学を味わう】経済学の世界にようこそ

オススメ度(最大☆5つ)☆☆☆☆

数年前にとある試験を受けるために、経済学を勉強したことがあった。

試験勉強のための経済学であったので、勉強の内容は数式やグラフの問題を解くことばかりで、もともと理系だった僕にとっては学習しやすいものであった。
しかし、同時に「経済学」というものの意義を全く理解せずに勉強していた。

「経済学」が社会にもたらす恩恵は大きいはずだ。しかし、その実態は掴めない。

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【大学4年間の経済学を10時間でざっと学べる】社会人として最低限の教養を学ぶ

【大学4年間の経済学を10時間でざっと学べる】社会人として最低限の教養を学ぶ

オススメ度(最大☆5つ)☆☆☆経済学はとある試験を受けるために半年ほど勉強していた事がある。
当時は"試験のための勉強"だったので、システマティックにグラフを頭の中で動かす事や計算ばかりしていたが、大人になってから"教養のための勉強"をしたいと思い立ち、本書を手にとった。

〜タイトルの通り"ざっと"知ることが出来る良書〜初学者や久しぶりに学ぶ人にとっては、"ざっくり"とか"ざっと"とかの言葉がタ

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