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#孤独

詩人と言う名の病 《詩》

詩人と言う名の病 《詩》

「詩人と言う名の病」

肉と血は避け難く滅びて行く

だらしなく落ちる涙 
誰を憎めばいい

誰かの言いなりになって
僕等は汚れて行った

出来るもんなら殺ってみなよ 

君の其の手で

何処からか甘い蜜の匂いがした

臆病な僕は何度も何度も
君を抱き締めて確かめ合う

醜く枯れた向日葵を
引きちぎる様に夏は逝く

つき続ける嘘の先に 

あてもない夢が横たわり

もうひとつの顔で沈めた太陽

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神と毒薬 《詩》

神と毒薬 《詩》

「神と毒薬」

狂えば狂う程 潤う思考の泉

断片的に あるいは集積的に
麻薬的信号を読み取る事が出来る

其の無音の文体に特別な響きを聴く

ある種の制度の相関性により

制限された言語に自立は無い

そして僕は誰よりも上手く
自分自身を偽り続ける

闇を背負う手探りの真夏の午後

惰性的な性交 
怠惰な愛撫と無造作な接吻

僕は独り夜の匂いを探している

君の両腕に神の力が宿るなら

世界の理

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道化師の告白 《詩》

道化師の告白 《詩》

「道化師の告白」

現実を何も語らない事により 

何かが語られている

色彩を失くした平板な世が血を流し 

人格の一部を欠損した歪な夜空が
消えそうな月を映し出す

感覚を喪失した星は輝き方を忘れる

僕の固定された視界には

道化師の告白が終わり無く
文章化されて行く

彼は決して真実を語らない

モノクロの街で薔薇を売る女

暗室での祝祭 完結された愛

純文学とは無関係な風が
真夜中を彷

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君に贈る詩 《詩》

君に贈る詩 《詩》

「君に贈る詩」

君は詩なんか読まない

僕の書いた文字は透き通っていて

君の瞳には映らない

窓からは低くたれこめた
暗い雲が見えた

そうかもしれない 

僕は口に出してそう言った

僕がペンを持った瞬間に
言葉は消えて無くなってしまう

詩を読む様に独り言を呟く

君は詩なんか読まない

静かに雨が降りはじめた

Photo : Seiji Arita

水平線 《詩》

水平線 《詩》

「水平線」

果てしない偶然性が積み重なり
今が形成される

理論や整合的な説明は出来ない

全ては其の偶然性に支配されている

其れを必然と呼ぶのかもしれない

其処には
言葉に出来る何かは存在しない

言葉に出来ないものの中に
潜む自己規定

幾つかの街が通り過ぎ 

鏡の中にお前を見る

深い夜と静けさが永遠に続き

時を刻み命と死が交差する

誰にも
解き明かせない唯一が此処にある

俺と

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邪悪な光 《詩》

邪悪な光 《詩》

「邪悪な光」

悲観的な色あいを帯びた幻想と

攻撃的な響きを持つ光が仄かに漂う

表に現れているのは 

ただの見せかけに過ぎない 

徹底された秘密主義 

歪んだ鏡が映し出す

恐ろしく執拗な性質を持つ陽の光

何かの始まりを意味するもの

もう全ての時が動き始めている

その光に恐怖し逃げ出した人々

次第に力を増す
その邪悪な光に眼を背けた

そして誰ひとりとして居なくなった

僕ひとり

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愛の言葉 《詩》

愛の言葉 《詩》

「愛の言葉」

何処まで行っても現実は付いてくる

自分の影と同じ様に

風が闇を斬る音

其の風は

僕の知らない所からやって来て

僕の知らない所に向かい
吹き過ぎてゆく

忘れかけた愛の言葉 

海の様に広いベッド

其処には用途を失った

言葉が雑然と散らばる

遺書 《詩》

遺書 《詩》

「遺書」

淡い色調の風景が淡々と
場面の転換も無く続く

切れ目なく流れる

エンドレスミュージックの様に

深い本心を語る彼女の穏やか声 

そして遺書

心に抱えた小さな地獄に感謝した

それを知らない人には
小さな幸せに気付けない

奇妙な空白に名前の無い風が吹く

覚醒の手掛かりを失った夢

深く椅子に腰掛け 

片足を切落とされた
幻覚の中で未来の夢を見ていた

古い手紙や日記 写真ア

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新月 《詩》

新月 《詩》

「新月」

髪に触れ首筋に沈めた

視線を彷徨う溺れゆく星ひとつ 

唇で君を感じられないのなら

震える手で触れた夜の終わり 

新月を待つ

跡形もない完璧な孤独をください 

何も見えない硝子の瞳をください

それでも 僕はまだ

夢を見たんだ煌めく夢を

愛しい人へ この夜に歌う  

捧げるものは何もなくても

黒い華 《詩》

黒い華 《詩》

「黒い華」

サヨナラを告げた黒い華の香

悪の血を流すピエロ

お前の欲望に満ちた血を
この皿に垂らしてくれないか

胸に抱いた
幾千ものナイフに映る孤独

背中に立てた爪 

儚い恋夢が目に染みる宵

溢れる太陽に似たお前の汁と血を
塗りつけた熟れた猥褻

舞い降りた神が月を満たす

お前の中で溺れる夜の果て

粘膜で覆い尽くされた闇夜の葬列

鏡の中の老婆が嘲笑い手招きをする

蒼い孤独と狂

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沈黙 《詩》

沈黙 《詩》

「沈黙」

孤独の中に属された
重い記憶が囁きかける

僕等は生き続ける意志を探す

語りかけた沈黙 

いつか失われて消えていくはずの
風だけが吹いてる

誰もが皆 

静かに死に向かい

死が僕等を迎えに来る

探していたものは何ですか

それは見つかりましたか

性別を超えた優しい光

優雅にも感じるその微笑み

魂の繋がりと絆 生死を超えた概念

答えはきっと僕等の心の中にある

僕は ま

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不死鳥 《詩》

不死鳥 《詩》

「不死鳥」

時の檻 

繋がれた鎖 呪縛 

天高く舞う不死鳥

お前が囁く 
刻まれた記憶の中で

研ぎ澄まされた感情  

胸に抱き 孤独を彩る

幻覚に口づけて拾い集めた最後の涙

今も息づく解き放たれた想い 

俺の身体を貫く

傷ついた心 濡らす雨

麻薬に似た眠りの中

何かに追われる様に書き殴る

燃える血を吐き出し乱れ飛ぶ

想いは朝を迎えて序章となり
物語は始まる

窓の外の初秋 《詩》

窓の外の初秋 《詩》

「窓の外の初秋」

ホテルのバー 

カウンターのトロピカルドリンク

灰皿の上で
ゆっくりと燃え尽きる煙草

ノックされる事の無い
扉の音を聞いて

鳴る事の無い
電話の音を聞いていた

「Tell Me」… ミックの声が聴こえた

こんなに沢山の人が居る世界で

僕が電話をかけられる人は 
ただひとりだった

窓の外の初秋が それを拒んだ

季節が
変わってしまった事を思い出した

草原 《詩》

草原 《詩》

「草原」

天国の住所と
神様の電話番号を聞いた

何故って…

街が
淡い藍色の闇に包まれて来たから

タイル張りの歩道を
歩く女のヒールの音

風にスカートが揺れていた

知らない女の脚に見惚れてた

歓楽街の真ん中で
静かに瞳を閉じて

心の中に草原を描いた

色の無い空間に色彩が宿り

優しい風が吹いた

僕は神様に電話をして
一言だけ告げた

本当の友達を探していると

本当の恋人を探し

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