マガジンのカバー画像

ルトとお葬式

20
葬儀社社員時代のエピソード等を書いていきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

人の死に関わる人が最低限持つべきもの

人の死に関わる人が最低限持つべきもの

 先日、ビックリするような事件が起こった。
 こちらである。

 愛知県内の営業していない葬儀場で、腐敗した遺体が棺に入った状態で見つかった。しかも二体である。ハエも葬儀場内を飛び交っていたというのだから、遺体の腐敗具合がどのくらいまで進んでいたのか、あまり想像したくないものである。
 当初は葬儀場の電話番号も繋がらず、誰が柩(注:遺体が入った棺はこちらの漢字を使用する。入っていない場合は棺)を置

もっとみる
失敗した業務改革~お茶くみは誰の仕事なの?~

失敗した業務改革~お茶くみは誰の仕事なの?~

 今回は、ルトくんが仕事をしていた葬儀社において実際にありました、業務改善の失敗を取り上げていきます。

 業務内容の改善は、会社にとって必要不可欠なことです。業務内容を改善することによって、仕事も進めやすくなり、経費削減や利益率の向上につながったり、お客さんへのサービス向上に繋がったりします。
 必要な業務内容の改善は、どんどん行っていくべきだと僕も思います。
 しかし、あくまでもそれが本当に「

もっとみる
ある葬儀で僕が行ったこと

ある葬儀で僕が行ったこと

 12月になると、色々とイベントが多くなるものである。
 師走(しわす)とも呼ばれるこの時期は、何かと忙しくなる。仕事納めで注文や取引の締め切りが早くなるし、年末年始を無事に迎えるための準備も進んでいく。さらにクリスマスだってある。
 年末年始が忙しくない人は、いないだろうと僕は思っている。

 そして僕は、12月になるとある葬儀を思い出す。
 僕が葬儀社社員として勤務していた頃。ちょうど12月に

もっとみる
棺に入れる副葬品について

棺に入れる副葬品について

 昨日のことですが、次の記事を読みました。

 火葬場で棺に入れられた副葬品を、火葬前に火葬場職員が無断で取り出していた、という内容の記事です。
 棺に入れられた副葬品を無断で取り出すことは、礼を欠いた行為であることはいうまでもありません。それに対する葬祭業者の怒りもごもっともです。

 僕も元葬儀社社員として、最初は「ひどいなぁ」と思っていました。
 しかし、冷静になってみると、記事だけでは分か

もっとみる
僕は「忘れ去られるべき人」になりたい

僕は「忘れ去られるべき人」になりたい

 僕は葬儀社で施行担当者として働いてきた。
 施行担当者は、電話での葬儀依頼受付から搬送、遺族との打ち合わせ、通夜と葬儀の立ち合い、葬儀後の片づけ、費用の説明など多岐にわたる仕事をこなす。
 遺族としては、葬儀を依頼した葬儀社の顔ともいえる存在であり、大切な人を亡くした悲しみに寄り添う存在でもある。

 葬儀を無事に滞りなく終わらせるだけでも、遺族からは感謝される。
 遺族や故人の気持ちを汲み取り

もっとみる
「想い」は受け継がれていく

「想い」は受け継がれていく

 諸君、僕は京都が好きだ。

 1000年以上の長い間、日本の首都として機能し、文化の中心となった古都の京都。首都としての機能を東京に譲り、地方都市となった京都。歴史と文化の街として、観光都市になって毎年多くの人が訪れる美しい街、京都。

 いわゆる「洛中」と呼ばれた場所や、観光地として名高い神社仏閣が多い京都市だけではない。
 長岡京として一時的に首都機能が置かれた長岡京市や、宇治抹茶や源氏物語

もっとみる
今のは誰?~お盆の時期に葬儀の仕事で実際にあった不思議な体験~

今のは誰?~お盆の時期に葬儀の仕事で実際にあった不思議な体験~

 皆さんこんにちは。ルトです。

 少し前のことですが、こちらのnoteに実際に体験した不思議な出来事を書きました。

 葬儀の仕事をしていて、お化けや幽霊を見たことはありません。
 しかし、以前のnoteでも書いたように、理屈や科学で説明ができない不思議な体験をしたことは、何度もあります。

 お盆の時期にも、そんな体験があります。
 それはお盆が差し迫った日の、ある通夜のことでした。

 

もっとみる
宿直について~元葬儀社社員が語る仕事の現実~

宿直について~元葬儀社社員が語る仕事の現実~

『世の中は、どこでも24時間動いているんだなぁ』

 ふとこの間、そんなことを考えてしまいました。
 それを考えるきっかけになったのは、大晦日から元日の夜中にかけてです。初詣に向かう人たちの様子を、YouTubeで配信されているライブ映像を見ていましたら、世の中が24時間動いていることを実感できました。
 ライブ映像を見て、先述したことを考えていましたら、ふと葬儀社に勤務していた時のことを思い出し

もっとみる
葬式とお寿司の関係について

葬式とお寿司の関係について

 葬儀では、お寿司の出番が意外と多い。
 特に助六寿司に至っては、ほぼ定番といっても過言ではない。

 実際に、葬儀の打ち合わせで料理関係を決める時、通夜振舞いは必ずと言っていいほどお寿司とオードブルの盛り合わせが定番メニューだった。コロナ渦以前は、そこにビールや清酒といったお酒、ウーロン茶やジュースを加えて飲み食いしていたものだった。
 コロナ渦になってからは、通夜振舞いは原則として無くなり、助

もっとみる
新型コロナで死ぬとどうなるのか?~元葬儀社社員が語るコロナ葬の現実~

新型コロナで死ぬとどうなるのか?~元葬儀社社員が語るコロナ葬の現実~

 こんにちは。ルトです。

 本日、僕は新型コロナウイルスのワクチン2回目を打ってきました。これにて2度のワクチン接種完了となりまして、新型コロナウイルスに感染する確率が減りました。(もちろん、今後もマスクに手洗い、三密の回避などは励行していきます)

 新型コロナウイルスの感染者も、一時期と比べてかなり減ってきましたが、まだまだ油断はできない状況が続いています。毎日のように、新型コロナウイルスで

もっとみる
元葬儀社社員が語る、仕事中に常に持ち歩いていたもの

元葬儀社社員が語る、仕事中に常に持ち歩いていたもの

 以前、葬儀社社員が鞄の中にどんなものを入れているのかお話させていただきました。

 前回は鞄の中身を紹介しまして、今回はポケットの中身についてお話しようと思います。

 ここで紹介するものは、僕が葬儀社社員として勤務していた頃に、本当にスーツのポケット(主にジャケットのポケット)に入れて持ち歩いていたものになります。

 それでは、どうぞ!

その1 常に持ち歩いていたもの 常に持ち歩いていたの

もっとみる
葬儀社社員の鞄はどんなもので、中には何が入っているのか

葬儀社社員の鞄はどんなもので、中には何が入っているのか

 葬儀社に勤める社員は、仕事で使う道具を入れた「受付鞄」を手にして葬儀の打ち合わせに向かいます。
 この受付鞄は、多くの企業で営業職が使う「渉外鞄」と同じものです。

 なかなか見ることができない葬儀の裏側。

 今回は、葬儀社社員の受付鞄と、その中身についてお話したいと思います。
 なお、ここに記すものは、あくまでも一例です。葬儀社や社員の考え方、地域の風習によって異なる部分があります。予めご了

もっとみる
元葬儀社社員が実際に体験した「理屈や科学でどうしても説明できない不思議なこと」3選 Part.2

元葬儀社社員が実際に体験した「理屈や科学でどうしても説明できない不思議なこと」3選 Part.2

 以前のことですが、葬儀社社員として働いていたときに体験した、理屈や科学で説明できないことを3つお話しました。

 実はこの「理屈や科学でどうしても説明できない不思議なこと」は、以前書いたことだけではありません。

 まだお話ししていない体験もあります。

 今回は、それをまた3つだけ、お話させていただきたいと思います。

 なお前回も申し上げましたが、僕はこの仕事でお化けや幽霊を見たことは1度も

もっとみる
退職した今だからこそ言える、誰にも話したことが無かった、葬儀の仕事に就いた理由

退職した今だからこそ言える、誰にも話したことが無かった、葬儀の仕事に就いた理由

 葬儀の担当者として仕事をしていた時、受付に行った喪家の人からよく尋ねられたことがあります。

「どうしてこの仕事をするようになったの?」

 これは葬儀の仕事をしていて、本当によく尋ねられました。葬儀の担当者として仕事をしていたのは、25歳~29歳の頃。お客さんの多くは、50代~70代の方です。自分よりも圧倒的に若い方が、自分でもそんなに経験のない葬儀の仕事をしているのは、とても意外に映ったのか

もっとみる