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ケム川にかかる橋

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Cambridge留学の経験と、その前後の英語学習について。
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2019年4月の記事一覧

太らないために大切なこと。

太らないために大切なこと。

最初に断ると、「痩せている方が格好が良い」とか、「痩せている方が健康的だ」とか言いたいわけではない。現に、超肥満大国「オーストラリア」の平均寿命は、80歳を優に超えている。日本と遜色無い長寿国だ。健康には無限に近いパラメータが存在しているので、食生活や運動習慣だけでどうこうできると考える方が傲慢だと、私は思う。

では、なぜ体型の話を書こうと考えたか。前々から言われていたのだが、イギリスに到着して

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マダムヴィジニとシェークスピア。

「フランス」という国があまり好きではなかった。

その気持ちが何に由来していたか分からない。恐らく自国や母語への強烈なプライドとか、やたらとフランス産ワインを好んで飲んでいるとかそんな所だろう。全く下らない。フランス人の友人など居た試しがないのだ。バース市街で目にしたジェーン・オースティン像は、随分と気難しそうな面持ちだった。聡明な彼女が物語をしたためたら、どのような仕上がりだったろう。

2週間

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なぜ学習効果は時間に比例しないのか、という話。

なぜ学習効果は時間に比例しないのか、という話。

学生時代、不思議に思っていたことがある。勉強をした後の模試ほど、何故か成績が振るわなかったのだ。勿論、「勉強をしても意味がないから…」という結論を得て、エスケープしたい気持ちはあった。しかし、学習した時は、間違いなく点を伸ばしたい時である。効果を実感できない理不尽さに、学生時代、随分と悩まされたものだ。

イギリスに来てからも、同じような経験をしている。昨日はあんなに頭が冴え、滑らかに話せていたは

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ありがとう、クロノトリガー。

ありがとう、クロノトリガー。

中川翔子さんのtweetが、タイムラインに飛び込んできた。クロノトリガーだ。

本ゲームをプレイしたことの無い方にご理解頂くのは無理だろう。青春時代を共に過ごした音楽、スポーツ、本、などなど。画一的に売り出された筈の実物は、当時の感情とねちっこく結びつき、長い歳月によって熟成され、唯一無二の想い出になる。そういうものが、誰しもに、何かしらある。そして、私にとってのその1つが、「クロノトリガー」とい

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さらば、社会主義。

さらば、社会主義。

「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうにお互いに理解が進んでいるので。」

4/19の報道と、その報道に対する率直かつ肯定的な「リアクション」に、私は二度驚いた。経団連という、”超”を3つ付けても差し支えのない伝統的大企業の抽象物が、終身雇用の放棄を検討している事実。それを「待ってました。」と

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女の子に生まれていたら。

女の子に生まれていたら。

「女の子に生まれていたら。」と、よく想像したものだった。女の子に生まれていれば、表立って泣いたり、痛がったりすることを許された。スポーツをする必要も、力仕事も不要。大嫌いな人前で、小難しい仕事の提案をする必要もない。勉強ができなくても、適当に結婚し、適当に子供を産み、適当に養ってもらうことができる。最高の人生。女性万歳。そんなことを思っていた。男に生まれた人生の先を思い、日々背筋が寒かった。

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自分の「感覚」も大切にしたい、という話。

定量的な裏付けは重要だ。何の裏付けも無しに、「私はこう思う。」「こうに違いない。」「絶対にこうだ。」と決めつけては、健全なコミュニケーションは図れない。「定量的」とは、「数字の」という意味だ。大抵のエラーは、数字がそっと教えてくれる。バブル崩壊も、サブプライム危機も、数字は躊躇いがちに「実は…」耳打ちしてくれていた。0と1との間で、どのようにそれらを「咀嚼」するか。その判断の誤りだったに過ぎない。

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閑話休題。

閑話休題。

ダッシュボードを開く。「49,993」という数字は、いかにもキリが悪い。そうして、何の変哲も無い数字の1つに意味を見出してしまう時、「人間だな」と再認する。

noteを本格的に書き始めたのは、昨年の6月頃。飽き性の私がよく46本も書いたなと驚くばかりだ。内省に終始するその内容が平均1,000回読まれたことに、不思議な気持ちを覚えながら、これからもマイペースに更新したい。

今日は、過去のnote

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日本人は「Polite」である。

日本人は「Polite」である。

レッテルや偏見に縛られることは、恥ずべきことではない。誤解を恐れずに言えば、それらは時に物事を整理する有効な手段でさえあると思う。知らないことにレッテルや偏見を代用することで、事物を相対化したり、自分の中の世界のバランスを保ったりすることができる。勿論、一度用いたが最後、「それ」を解消すべく努力を重ねなくてはならない。南米に住む人は時間にルーズなのか、イタリア人はいつでも陽気なのか。アメリカ人はフ

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「宜しくお願いします。」の英訳。

「宜しくお願いします。」の英訳。

午後4時。今時期の外気温は10度そこらだが、教室は決して寒くない。

イギリスの建物には、基本的に「エアコン」というものが備え付けられていない。代わりに、暖房設備(器具ではなく固定式)が充実している。近年は、地球温暖化の影響か、夏場に30度に迫る日も少なくないのだというので、空調設備メーカー方々は虎視眈々といった所だろう。

ブラインド越しに斜陽を浴びながら、ディスカッションの授業を受ける。生徒が

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公転周期と水と油。

公転周期と水と油。

「プレゼンテーション」を好む日本人は少数派だ。そう主張されて、「いやいや…」と反論する日本人もまた、少数派だろう。

研修先の語学学校のプログラムに、毎週しっかり組み込まれているプレゼンテーションの授業。日本人からして、「えー。」となりがちだが、ヨーロッパ圏の生徒も同じような反応をする点が何とも面白い。誰もが生まれながらの雄弁さを備えるわけではない。彼らとの共同作業を通じて、自然と情も深まるという

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一本の電話から。

一本の電話から。

Fitzwilliam Museumに陳列された膨大な数の美術品。

そのそれぞれに「Dish」とか「Oil on canvas」といったシンプルな分類と、簡単な説明文が添えられている。

どこかで見聞きした気もするが、如何せん世界史は苦手だ。「ああ、これはあの戦いの時の…」と、没入することは叶わない。それでも、その総体は、素人をも圧倒する何かを孕む。これが無料とは、さすが世界のケンブリッジ大学。

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