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転職体験記 シリコンバレーのベンチャー企業に その9 ハチドリ、リスと暮す 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 時は昭和のバブル時代真っ只中。

経緯

 シリコンバレーにある高速半導体メモリを開発·製造している会社に転職となったのです。
形式的には鉄鋼会社の米国駐在員で、鉄鋼会社の社員としての給与を貰い、その米国ベンチャーの社員としても給与を貰い、日米の年金保険料はダブルで払い、税金は日米の給与と駐在員手当(住居費、自動車購入費、交通費など)も含めた全収入に対して米国の税金を支払うという形でした。 渡米に際しては先ずは米国大使館でのビザの取得。形式的に半導体技術開発のエンジニアという建付けでの渡米でしたので、取得したビザは、H-1B。ビザ取得に際しての大使館での面接、その後の手続きとそれなりに面倒でした。


 その2は渡航前の明るく楽しいひと時の話。

 その3は、予防接種の重要性と就労ビザのご利益の話でした。

 その4からは現地での流れ。

 レンタカー、ホテル、外食で仮に生活を立ち上げ、仕事が可能な体制に。そして銀行口座開設、年金、健康保険の手続きをして入社した会社の社員としての基礎的な手続きを完結させました。

 その5は仮生活からの脱却です。
 今ならスマートフォン手配は必須ですが、当時は携帯電話すら無く会社支給のポケットベルという時代でした。

 ということで、先ずは空港で借りたレンタカーは高いので、急いで自動車を購入ということに…。レクサスLS400は狭くて保留。
 戯れにシボレーカマロを見に行ってプレミアがついていたのに驚くといった感じ…

 その6もその続き。

アメリカでは車は極めて重要なアイテム

 折角アメリカに駐在するのだからアメリカ人に成り切って楽しもうと私自身車好きだしね。日曜日昼下がり道に迷い、Lincoln Mercury販売店に入って道を尋ねがてら車も…

 米国での自動車購入の実況中継です。

メキシコ系販売員の丁寧な対応で、不人気なアメ車のフルサイズセダンの最高級グレードの車、リンカーンタウンカーを選びレクサスとは別格とその場で契約を決めました。
 アメリカ専用に作られ、熟成し続けられただけ有って、この国には最適解ということで…。

 その7もその続編、契約手続きの実況中継です。
日本では味わえないレアな体験なので…

 渡米して間もないので自動車保険は基本的にコンサバな車しか掛けられません。勿論リンカーンタウンカーなら文句なし。
 ということで販売店で契約書3セットを読み合わせ。各項目ごとに読み上げて私が理解したらイニシャルを書いて各詳細項目までも説明済みということを記録に残し、1セットが終わると同じ契約書3枚にそれぞれイニシャルではなくフルのサインをすると言う作業。その後詳細な車の操作方法の説明と同様の確認作業。流石リンカーン。
·トランクからの緊急脱出装置
 (トランクの中に閉じ込められても内側から自力で脱出可能)
なんて装備まで…。アメリカの高級車らしい。
 ナンバープレートが出来上がるまで仮ライセンスの紙をフロントガラスに貼ってその場で乗って帰れるのがアメリカ流。合理的なんです。
 これで自分自身用の車の件はおしまいなんですが、ちと奮発した感じ。でも、予定通り35年後の今でも使っているので良いか… 

 仮生活からの脱却のお次は…
その8は、住む場所の話。ホテルからアパートへ。

 私は初めての駐在なので大人しく人事が用意したアパートから部屋を選ぶと言うスタンダードな流れを選びました。しかし、駐在慣れした方や気の利いた方は、駐在員手当を活用して不動産を買って、帰国時に売却して売却益を得たり、そのまま賃貸に出す何て兵(つわもの)も…

 人事ガソリン用意したアパートはこんな感じ…

 アパートの管理棟が敷地のど真ん中に有り、塔の下は大きなホールになっています。ラウンジの様な感じ。居住者の親交を目的に月一回週末ブランチが振る舞われると言うまぁアメリカらしいオ・モ・テ・ナ・シ。
 建物の左がオフィス。右はジムでセキュリティの問題で夜中は閉まります。建物の前にプールが有り、塔の真ん前がジャグジー。夜間はプールの中の水中照明が点灯してとても美しい…

 中庭もいくつか用意されていて、噴水も有りとても落ち着いた雰囲気…

 敷地内の散歩が楽しくなるような小径の景色…

 で、私は…

 部屋は異型の広いリビングと子どもと私達用の2ベットルームを選びました。兎も角アメリカらしい、ならでは感の有る間取りにしました。表紙の間取り。

 もちろんお風呂はバスタブとシャワーが一緒になっていて、石けんのお風呂に入って、シャワーで仕上げるタイプ。それを各人が楽しむという何ともアメリカンなタイプ。
 
 パティオも広いし、1700ドル程度と割高だったけど選んでしまいました。

つづく

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 今回は、住む場所の話の続編。

 住居は大事なので少しだけ家族も揃って住み出した後の話もご紹介しますね。

 リビングと私達の寝室をぐるりと取り囲む広いパティオ(デッキ)は、子供が自転車を乗り回している脇でデッキでのバーベキューを楽しめました。
 バーベキューが下手で初めはチャコールに着火した炎を使って焼いていたのです。すると上の階のイラン系の方がベランダから顔を出してもう少し待っと炎が落ち着いてチャコールが赤くなるからそれで焼くと焦げずに中まできれいに焼けるよと教えて下さいました。確かに赤外線で焼けばきれいに中まで火が通るのでした。生まれて初めての中東の方との会話でした。
 これも素敵な体験でした。

キッチンからリビング経由窓の外のパティオを望む
この長いパティオも大切な空間として大活躍

勿論COSTCOでチャコールを買って、お肉もCOSTCO。リブアイが特に美味だったなぁ〜

 そしてお決まりの小鳥の餌箱をパティオの一番奥の門の前の樹に…。本当に小鳥(ハチドリ(ハミングバード)など)が来て(当たり前か…)子どもは大喜び…。


 害獣なんですけどリス(chipmunk)もそのへんを彷徨(うろつ)いていました。

 シリコンバレーってこんな感じなんです。

 建物の半地下が全て駐車場と倉庫になっていました。半地下なので開放感が有り、部屋は正倉院のように高床式になっているので風通しが良く、とても過ごしやすいアパートでした。何と冷房は無く、ヒータのみ。真夏も涼しく高原の様な気候でした。

 建物の周辺もフリーアクセスの駐車場で、余裕タップリの収容台数。なので娘の電動フェラーリ(子どもが運転できる…COSTCOで300ドル程度だったかと…私も乗って運転しました(笑))も駐車可能でした。

 初めは私一人で家具付きの広々したアパートを独り占め。1ヶ月後に家族を迎えました。そしてご近所さんからFurnished(家具付き)は割高と言われ、契約を変更。月額990ドルになりました。アパートの事務方も分かっっちゃつたのね、”テヘペロ“と言う感じで、多分それでも高い家賃だったのだと思います。間取りによってはもう少し安いところもあったようですが大体高くても700ドル程度の家賃だと言っていました。日本はバブルでも米国は不況だったので…

 因みに今は同じ部屋が月額3000ドル以上です。

 そんな体験が後に別荘のリフォームに活きる事に…

 シリコンバレーには害獣なんですけどリス(chipmunk)もそのへんを彷徨(うろつ)いていました。

 木々だけではなく電線を渡っている姿も良く見かけました。

閑話
 そういう意味では、郊外のハイウェイで子どもがトイレに行きたくなりハイウェイを外れた草むらてガラガラヘビを見かけました。

閑話休題

 建物の半地下が全て駐車場と倉庫になっていました。半地下なので開放感が有り、そのため部屋は正倉院のように高床式になっているので風通しが良く、とても過ごしやすいアパートでした。シリコンバレーには木造の家屋が多く、そのアパートも木造でした。何と冷房は無く冬場用のヒータのみ。ですが真夏でも涼しく高原の様な気候でした。緯度的には仙台位かなぁ、大陸の西海岸性の気候で、ヨーロッパと似た気候かな。

サンフランシスコ付近
地中海性気候
夏は中緯度高圧帯なので高温·乾燥、冬は亜寒帯低圧帯なので湿潤、偏西風の影響も有るとのこと。

 建物の周辺もフリーアクセスの駐車場でした。余裕タップリの収容台数なので娘の電動フェラーリ(子どもが運転できる…COSTCOで300ドル程度だったかと…私も乗って運転しました(笑))も駐車可能でした。

 初めは私一人で家具付きの広々したアパートを独り占め。1ヶ月後に家族を迎えました。そしてご近所さんからFurnished(家具付き)は割高と言われ、契約を変更。990ドルになりました。アパートの事務方も分かっっちゃつたのね、”テヘペロ“と言う感じで、多分それでも高い家賃だったのだと思います。日本はバブルでも米国は不況だったので…


 もう少し身近な話題も…

 米国は当然靴生活前提なので…
カーペットは、床から突き出している鋭利な釘で留めてあるので歩くと場所によってはチクチクします。最近はフローリングの床が多いようですが…突然チクっと来るので。まぁ郷に入っては郷に従えで裸足は避けた方が無難でした。

 自然豊かなのでお砂糖とか密封が甘いと直ぐに蟻が出ます。しかも考えられない位沢山大行列を成して。日本でもそうですが蟻は見つけたら可愛そうですが生きて帰さないことです。

 アパートはお抱えのメンテナンスの方が居て、常に施設管理をしていました。そのメンテナンスの一環として屋根の大掃除でパティオが水浸しになってしまって干してあった洗濯物や靴が事が有りました。
 事前に連絡もなく管理室に行ったところ、
「で、どうして欲しいの?」
と冷静に対応されました。流石アメリカ。合理的な反応に驚かされました。パティオに水がかかる作業の時は連絡して欲しいとお願いして一件落着。
 これも良い経験でした。

 因みに基本的にアメリカのアパートでは、洗濯室でQuarterという25セント硬貨3枚、詰まり75セントで洗濯、同様に75セントで乾燥。詰まり1ドル50セントで洗濯完了という流れでした。天日干しするというのは想定外。

 その意味では25セント硬貨が無いとキツく、例えばパーキングメーターも25セント硬貨が無いと使えませんでした。吾妹は25セント硬貨専用の小銭入れを用意して何時も持ち歩いて居ました。

 機械物が故障するのは想定内。
洗濯機や乾燥機はズラリと並んでいて少し位故障しても支障はありませんでした。この物量で解決するのもアメリカ流。何時も何台かは故障していてメンテナンスの方が修理していました。
 凄いのはプールの浄水装置や夜間照明のライトが壊れて、頻繁にプールが何日間も閉鎖になったり、ジャグジーバスのジェットバス装置が壊れたりと。でもまぁそんなもんですという感じで皆さん大人の対応でした。

 また、ゴミは少し離れた場所にある普通自動車がすっぽり入る位大きな大型トラックの荷台の様な金属製の箱に分別せすいれる感じ。勿論、体(てい)の良い目隠しはしてあるので、敷地内の景観は保たれています。ですが近寄ると多少異臭がします。基本的に乾燥していて毎日晴天なので紫外線で殺菌されるので、そこまで不衛生ではありませんでした。所謂ゴキブリやネズミ何ていうのはメンテナンスの方の活躍も有り特に目にしませんでした。
 生ゴミから家具、電化製品など何でも捨てるので、偶(たま)にあるボヤでは煙がたちのぽったり、一度だけ本格的な火災になって消防車が来たりしていました。勿論建物からは独立していて異臭も火災もある意味で想定内。回収は、これまた大きなフォークでその金属製の箱ごと牛刺しにしてそれより遥かに大きな荷台に機械で逆さにして乗せて、空になった箱を戻すという何ともダイナミックな回収。回収時は凄い音が付近に…でも気にならない程広い敷地なので

 とまぁこんな感じの日常がシリコンバレーのアパートには有りました。

つづく






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