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転職体験記 シリコンバレーのベンチャー企業に その4 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 時は昭和のバブル時代真っ只中。

経緯

 シリコンバレーにある高速半導体メモリを開発·製造している会社に転職となったのです。
形式的には鉄鋼会社の米国駐在員で、鉄鋼会社の社員としての給与を貰い、その米国ベンチャーの社員としても給与を貰い、日米の年金保険料はダブルで払い、税金は日米の給与と駐在員手当(住居費、自動車購入費、交通費など)も含めた全収入に対して米国の税金を支払うという形でした。 渡米に際しては先ずは米国大使館でのビザの取得。形式的に半導体技術開発のエンジニアという建付けでの渡米でしたので、取得したビザは、H-1B。ビザ取得に際しての大使館での面接、その後の手続きとそれなりに面倒でした。

 その2は渡航前の明るく楽しいひと時の話。

 その3は、予防接種の重要性と就労ビザのご利益の話でした。

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 今回からは現地での流れ。

 空港で先ずやることは足の確保、レンタカーです。
取り敢えず、安心をお金で買う感じで最大手のHertz Rental Carを利用。保険はフルカバードで…

 因みに2回目の身軽な単身駐在時には、サンノゼ市内のNational Car Rentalで、

シボレーカマロのオープンカーを格安で借りて楽しんで居ました。

こんな感じのマスク…

 そしてシリコンバレーのど真ん中、サンタ・クララのビルトモア・ホテルに直行しました。現地の駐在員事務所まで近く、提携先のベンチャー企業までも10分程度のロケーションでした。
 そこで初めて視たアメリカのテレビ番組。そしてコマーシャルまでもがもぅ新鮮で、たまりませんでした。
 しかしサンノゼ空港から比較的近く航空機の航路になっていた為に室内は防音が効いていてそれ程でも無いのですが、一歩外に出ると1日中飛行機の音がしていました。カリフォルニアの空に飛行機が飛んでいるのもそれはそれで一興。国内線の飛行機は特にバスと同じ位身近な乗り物。それもまたアメリカらしく感じていました。

 食事は毎日外食、まぁ駐在員手当がたっぷり出て居るので全く気にならな金額でした。それでも1人の時はファーストフードにして節約。

 そういえば、ファーストフードではその後に笑える体験を…
 技術開発で既存の最先端技術を早く“キャッチアップ”して、そこから次世代の世界初の商品を開発…なんてことをやっていたので、思い込みが悪戯したこんな面白い体験も…

 現地駐在事務所にはたまに顔を出す程度で、通勤は専ら提携先のベンチャー企業という生活の始まりでした。シリコンバレーの北側、サンフランシスコ方面。途中には広大な円形の散水施設を備えた農場が有り、その先の平屋の建物が並ぶビスタ·モンタナという通りにそのベンチャー企業の事務所·工場が有りました。郊外なので土地は安く平屋のオフィスが並んでいました。見栄を張らず堅実に経営しているという感じが伝わってくる、そんな所でした。
 建物の周りは駐車場。通勤は車以外は考え難い環境でした。シリコンバレーを貫く感じでドラム、路面電車が走っていて、その駅からは徒歩10分ぐらいかなあ、路線バスの停留所までも数分といった感じです。
 半導体工場なので24時間365日稼働していて、製品開発もその量産工場で行って居ました。まぁそんな感じの工場でも、例えばスカッドミサイルに使われるミリタリースペックの半導体製品まで製造できていました。
 思いの外英語は通じて、特に不自由はありませんでした。まぁ受験で死ぬほど学んだし、大学もESLとしてみっちり会話中心のカリキュラムも取れるだけ選択。会社でも海外からのお客様対応や英会話のクラスも受講していたのでそれが功を奏した感じです。
 また、特殊な技術的な単語も、大学生時代からずっと専ら最先端の英語の文献で知識を得ていたので日々の業務に違和感はありませんでした。唯一中国語訛の早口英語には慣れるのに1ヶ月位要してしまいましたが(笑)
 流石に最先端半導体のベンチャーなので選りすぐりの優秀な方々が揃っていてとても居心地良い感じでした。

 そんな仕事の垂直立ち上げよりも厄介なのは生活の立ち上げ。

 当時は東京銀行がユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアを運営していましたので、そこで銀行口座開設しました。クレジットカードと20冊のチェック(小切手)を手配しました。

 また年金ソーシャルセキュリティ番号取得とその払込手続きも必要でした。私は個人用ですが、吾妹は子どもとの連名でした。

 健康保険はでき得る最高の契約内容のものが用意されました。何が起こるか分かりませんし、医療費が高額なので兎も角事前に打てる手は打ち尽くすという人事のスタンスでした。勿論全額会社が駐在員手当として補填していたので、経済的には負担はありませんでした。
 ベンチャーは少数精鋭なので優秀な人材確保には福利厚生、フリンジ・ベネフィットにも気配りが行き届いて居ました。

 ですから駐在員は皆さん歯は親知らずまでも駐在期間中に抜いたりして完璧にして、目の悪い人はメガネは全額保険外食効くので定期的に検眼検査結果に合わせて新調していました。

 凄かったのは、追突されて軽いむち打ち症になり、3ヶ月通院した時のことです。相手の自動車保険会社から全額支払いが補填されていたのですが、全額補填されていると申告したのですが、健康保険の特約で全額支払いされるという事になり、通院すればその費用分だけ手元に残るという事に。保険会社からはそう云う契約ですからと…。驚きました。

 ここまでで、会社関係の諸手続きの障害は無くなりました。

 そしていよいよ私生活の立ち上げです。

つづく




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