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仕事のコツ その5 出張時は時間的余裕を 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 今回も結構現実的な話です。

 そもそもは転職の環境が整って居らず企業も終身雇用前提の時代、社員をじっくり育てる時代の話。とある鉄鋼会社。

 A4サイズ20ページ程度の社内報が毎月配布されていました。幹部の方針解説、最新設備や技術の紹介、受注や引き渡しのトピック、運動部の活躍状況、社員のほのぼのした話などまぁ長年の蓄積もありそれなりに良くできた社内報でした。

 その中に、役員の方が持ち回りで話す、閑話が連載されていました。例えば、役員になっても初めての取締役会の日、出勤途中で体調を崩して遅刻してしまった話とか、あるあるネタも取り上げられるなど、役員の方々を身近に感じられるという意味では編集者の工夫も気が利いていました。

 そんなコラムに官庁から来られた役員の方

の閑話が掲載されました。とても紳士的な印象の役員の方でした。その方が自身もそうですし、部下に対しても同様という前置で、出張時には時間に余裕を持たせ少なくとも半日、可能なら一泊余計に日程を伸ばしてでも貪欲に現地視察の時間を作ることを勧めていました。

 自動車電話は有りましたが、携帯電話など無く、ポケットベルすらない時代です。出張中の連絡手段は適宜固定電話をする程度。出張中は束縛感のとても薄い時間が流れていました。

 その余裕時間で、出張先の文化、自然などを堪能して教養をつけることを意識して行う事で自らを磨けという趣旨。勿論上司によってはそんなのお金と時間の無駄と許さないという時代だからこそ、その役員の率先垂範。流石元官僚の見識だなぁと感心しました。

 そこは基幹産業。天下りが良い意味で有効に機能しているとも思いました。

 それ以来、出張時にはあざとカワイく振る舞いつつ、時間的余裕のある旅程を組むことを心掛けました。お陰様で、特に海外畑だったこともあり、行く先々の博物館や美術館を堪能しまくりました。これはサラリーマンの成れの果てに近づくにつれて会食時の話題の豊かさに直接的に効きました。

実際に現地に行っての経験という価値は、現地での業務経験との相乗効果を生み出し、多面的なものの見方…幅のある見識の醸成に大いに役立ちました。

 勿論部下の出張時には、余裕がある旅程を組むことを指導し続けました。

 仕事のコツとして、出張時は時間的余裕を持たせる旅程を組むことを強くお勧めします。

蛇足
 まぁ、それ以上に家族帯同での海外駐在の経験、旅行ではなく現地に居を構えて生活したという経験のパンチ力は遥かにこの上を行くのですが…




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