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マグニフィセントなnoter様

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心に響いた”マグニフィセント”な記事をまとめています。わたくしの独断と偏見で選出しております。不定期ではありますが紹介記事も書きたいなと思っております🐈
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#映画にまつわる思い出

マグニフィセントなnoter様📒総合受付案内所📒

マグニフィセントなnoter様📒総合受付案内所📒

ようそこいらっしゃいませ。

こちら、ネコぐらしの勉強暮らしpresents

マグニフィセントなnoter様
📒総合受付案内所📒
でございます🐈

『マグニフィセントなnoter様』とは?
文才や表現力にあふれる方が、noteの世界にはたくさんいらっしゃいます。

特に「これは皆に広めたい!」と心に響いたnoterさんをピックアップしているマガジン。

それが『マグニフィセントなnoter

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父と映画と私

父と映画と私

「あなたも行くかい」
と、父が私を映画館へ誘ったのは、あとにも先にも一度だけ。
あれはたしか高校生になった年だったか。
連れて行かれたのは神保町にあった岩波ホール。
あった、と過去形で語らなければならないことが本当に残念であると、きっと父は私の10倍は感じていることだろう。

映画を愛する人びとなら誰しも、入り口になった作品や映画体験を持っているのではないかと思う。
私の入り口はあの日の岩波ホール

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物語は、「私」を拡張させる

物語は、「私」を拡張させる

小説を読む。映画を観る。

ともすれば、「趣味」「娯楽」として片づけられてしまうもの。効率やわかりやすさが求められる社会において、それらは余剰の多すぎる情報でしかないと捉える人もいるかもしれない。

たしかに、一冊の本を数日かけて読む、一本の映画を2時間かけて観る、それだけの時間を費やすだけの費用対効果を示すのは難しい。同じ時間を資格試験の勉強に費やすなり、仕事にまつわる情報収集をするなりした方が

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わかんないと言える今だから

わかんないと言える今だから

新しく買った『銀河鉄道の夜』のDVDを鑑賞した。双子の娘たち(6歳)といっしょに。

宮沢賢治の童話をアニメ化した、1985年の映画だ。公開されたとき、私は母に連れられて映画館へと観に行った。

貧しく孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラとともに宇宙を鉄道で旅するストーリー。保育園児だった私には難しく、正直に言うとまったく理解できなかった。

ただ、ほとんどの登場人物が猫の姿で描かれていて、親

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三木孝浩監督作品『ソラニン』

三木孝浩監督作品『ソラニン』

今時の若い人は知らないのかもしれない。
それでも、この映画のことは書いておきたいと思う。そう思ったのは、今年も変わりなく春が訪れようとしているからだろうか。

2012年3月。
もう12年も昔になるとは、僕もどうりで年を重ねるわけだ。
当時在籍していた高校では現役で進路を決める人が大半で、僕のように大学浪人の道を選ぶ人間はごくわずかだった。
今でも鮮明に覚えている。高校の卒業式、みんなクラスメイ

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サリエリになれたらいい

サリエリになれたらいい

アートが好きなので(絵画から建築まで)、行ける場所には足を運び、行けないものも写真や動画で観て楽しんでいる。
そう、楽しんでいる…けど、いつも心の隅にはそれらを創り、造る者達への尊敬と畏怖のほかに嫉妬、そして自己卑下の感情があることにも気付いている。

どうして私はそちら側に行けなかったのだろう?
あんなに想像することも生み出すことも大好きだった、幼き日を思い出す。

保育園の頃は、「ハカセ」にな

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夜が明けることを知らない23歳の僕へ。

夜が明けることを知らない23歳の僕へ。

「生きるのが辛い。でも死にたくない」

そう思っている8年前の僕へ。

ある日突然、今まで無意識に働いていた重力を感じるようになった23歳の10月。相変わらず体は重たいままですか。

「毎朝、外に出て散歩すると良いですよ。陽の光を浴びながら体を動かすのは健康に良いですからね」。なんて、主治医に言われますが、こんなもんは何も喋ってないのと同じです。

でも、もし目が覚めて「今日は少し外に出れそうだ」

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「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~ 」リメイク良すぎて引くほど泣いた話

「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~ 」リメイク良すぎて引くほど泣いた話

映画で人生がかわるなんて話信じられないだろう?でも本当の話なんだ。どうか聞いてくれないか?

それは2011年。今からもう10年以上も前。今も青二才だが、もっともっと青二才だった私は、映画館へと足を運んだ。それは平日であった。真昼間のガラガラの映画館で前から2~3列目、ド真ん中の最高に良い席を確保した。

公開から随分と時間が経っており、一日に一回か二回しか上演しないような、そんな時期だった。隣に

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『瞳をとじて』立ち現れる映画の表象

『瞳をとじて』立ち現れる映画の表象

「映画についての映画」。『ミツバチのささやき』にしても『エル・スール』にしても、ビクトル・エリセの作品は映画の中に映画というモチーフを置き、映画ならではの美しく強烈な体験を、あるいは風景を語ってきた。本作『瞳をとじて』もまた、ビクトル・エリセ本人の人生を反映し、映画を主題とすることで、老いについて、人生について、変わりつつある映画産業についてを物語っていく。

映画がはじまる。まさしく言葉通りの意

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パイレーツ・オブ・カリビアンごっこ

パイレーツ・オブ・カリビアンごっこ

ぴかぴかの1年生というのは、世知辛いその世界に揉まれていないから最強である。言わば世間知らず。昨年の阪神タイガースよりもサバンナのライオンよりも、何も知らない人間は強い。

僕が小学校へ入学したときもそうだった。ボクは強いんだ。ボクはジャック・スパロウになれる、と思い込んでいたのだ。

「ジャック・スパロウ」を5年ぶりくらいに聞いたという人もいるだろうから、ここで改めて説明すると、『パイレーツ・オ

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『ジャン=リュック・ゴダール 遺言 奇妙な戦争』レビュー:「黒画面(=無)」の探求の涯てに彼はGOD+ART(D)となる

『ジャン=リュック・ゴダール 遺言 奇妙な戦争』レビュー:「黒画面(=無)」の探求の涯てに彼はGOD+ART(D)となる


0.ジャン=リュック・ゴダール遺作、ついに公開2022年9月13日、ヌーヴェルヴァーグの首領ことジャン=リュック・ゴダールが亡くなった。91歳だった。彼の最期は、スイスでの自殺幇助。映画は完成せず、『気狂いピエロ』のラストを彷彿とさせる唐突さが全世界の映画人を震撼させるとともに、どこか納得いくようなものも感じさせた。

それから1年後、サンローランプロダクションが彼の遺作をカンヌ国際映画祭に届け

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時計じかけのフルメタルガンプ

時計じかけのフルメタルガンプ

人と違う感性を持っていると思われたくて『フォレスト・ガンプ』を見たことがない。もちろん、馬鹿げた意地だと分かっている。

『Run ! Forrest! Run!』

作中に出てくるこの名シーンを、僕は見た事が無い。なぜ知っているかというと『フォレスト・ガンプごっこ』なるものが流行ったからだ。なので、使った事はある。先頭に遅れをとっている全ての人を『フォレスト』と呼びつけにし、走らせていたのも、そ

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何年たっても古びない映画。「もののけ姫」を語ります。

何年たっても古びない映画。「もののけ姫」を語ります。

私がジブリの映画「もののけ姫」を観たのは確か小学生のときだったと思う。映画館でみたのか、テレビでみたのかは忘れてしまった。親から観るように言われて、終わったあと感想を求められて、「最後自然が戻ってよかった」みたいなことを言った記憶がある。

でも、そんな単純な話じゃない、と子供心に思っていた。うまく言語化できなかったけれど、自然を壊す悪い人間のせいですべてがめちゃくちゃになって、でも最後はみんな仲

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親密な映画館

親密な映画館

天神のビルが乱立する警固神社方面を歩きながら、左側にはドンキホーテがあり、その前にピザのキッチンカーがあったのを認めた。キャンピングカーを改造して作られたと思しき車内の中には大声で客引きをする一人のツーブロックの男がいた。それに薄黒いサングラスをかけていた。その男の店はかなりの人気店である事を示すかの様にドンキホーテ前の歩道には若い男女が並んでいた。あと二組の四人家族がやってきたら歩道が埋まる勢い

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