遠藤ビーム

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遠藤ビーム

月曜日「鬼に笑われる」更新 | 木曜日 通常エッセイ更新 | 月末 「しばらく考えながら歩く」日記更新 | 休日は、よく旅をしたり、よくエッセイしてます。

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奥歯に空芯菜が挟まったまま伝える妻への愛

右奥歯、奥から2列目の隙間に空芯菜が挟まった。 いつもより強めに歯を磨いても、奇跡的に嫁が持ってきていたデンタルフロスを使っても、なぜか取れない。 口の中を最新のiPhoneで照らし、鏡で確認すると、そこにあるのが見えている。なのに、なぜか取れない。Apple社も、まさか最新のiPhoneが、奥歯を照らす為に使用されているとは、夢にも思ってない事だろう。 凄まじい顔で、空芯菜と向き合っている『鏡の中の僕』と目が合った。もうジャックニコルソンにしか見えない。 『でも奥歯と

    • 拝啓、隣の「パリピ」へ

      私、今、イライラしております。 年に、指折り数える程しかない、2連休。嫁は実家に帰り、友達は元々ほぼ居ない。用事0の奇跡的、2連休。誠に大切な二連休です。 なので、1人キャンプに来ています。山梨県道志村のキャンプ場。夏ともあって、緑の色が深く、ひぐらしの声と、針葉樹の焚き火の音が、とても気持ちいいです。正しく言い表せませんが、森と川の匂いがします。良い所です、山梨県。 ここまで来るのは、大変でした。中央道は、いつも以上に渋滞しており、途中途中のパーキングエリアは、全て満

      • お爺さんにパソコンを教える

        見知らぬお爺さんに、パソコンを教える事になった。というか、教えなければ、いけなくなった。「それ、僕の仕事ですか?」ゴネてみたが、対応できる人がおらず、仕方なく教える。僕も、よく知らないというのに。 パソコンへの印象は、令和になった今でも変わらず、押してはいけないボタンを押すと「爆発」しそうで怖い。あと、入ってはいけないページに入ると「ウイルス感染」しそうで怖い。プログラミングやC言語なんてもってのほか、多分、押したことのないボタンがある。 そんな僕が、人にパソコンを教えな

        • 「自分探し」の到達点

          SNSに「股間」を晒そうとした。 違う。趣味で、ではない。 隠す事より、全て見てもらう方が、楽だと思ったからだ。あまりにも真剣な眼差しで、相談するものだから、嫁は「流石にキモい」と言っていた。 時々、自分の言いたいことが、分からなくなる。 自分の本心を隠して生きて来たので、今更、出そうにも、出てこない。「本心って何だ?」「自分って何だ?」答えを、考えて考えて、出そうとするが、よく、分からない。 必死になって探すのは、面倒で、諦めようとするが、憧れた表現者たちは、答えを

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        マガジン

        • 鬼に笑われる
          4本
        • 弱ぇ犬
          21本
        • しばらく考えながら歩く
          3本
        • 僕の旅行記
          6本
        • 恥も外聞も凄ぇある
          2本

        記事

          レジ籠の斜め積み

          「帰り、ニラ、買ってきて欲しい」 忘れるところだった。朝、嫁に言われていた。18:30にセットしたリマインダーも、鳴ったのは覚えているが、消したのを覚えていない。 SEIYUが目に止まり、ギリギリ思い出した。車を止める。 嫁に電話。「ニラ以外、何かいる?」ニラ以外を買いたい為の電話ではなく、覚えていたアピールの電話。色々頼まれた。電話しなきゃよかった。 蛍光イエローのレジ籠を、カートに乗せる。赤文字のロゴが、掠れている。 フルーツ売り場、青臭い。セール中のゴールデン

          レジ籠の斜め積み

          これが「SLAM DUNK」か

          NetflixのTop10に「THE FIRST SLAM DUNK」が、入ってきた。 SLAM DUNKの映画が、公開された事は知っていた。各界著名人たち、友人たち、ほぼ全員が褒めていたから。 「観た方が良い」そう言うが、褒めていた全員が「SLAM DUNK」ファンだった。僕はそもそも「SLAM DUNK」を、読んだ事が無い。 漫画は、相当好きだ。中でもとりわけ「スポ根」が好きだ。あらゆるスポーツの作品を読んだ。野球からサッカー、陸上から薙刀まで。王道作品から、マニア

          これが「SLAM DUNK」か

          vs マルチ商法23人

          洗髪用のリクライニングチェアに座り、首の形に凹んだ洗面台に収まる。顔に白い紙を乗せられる。視界が白い。美容師の動きが、少し透けて見える。 この美容室、もう7年も通っている。今更、美容師に伝えたいトピックもなく、無言に耐えられるくらいには、落ち着けている。首の角度も体重も、されるがまま、髪を洗われている。彼を信頼している。シャワーの温度が、少し高い。頭皮にぶつかる水の音が、頭の中に響く。 話し始めた美容師の「愚痴」に耳を傾ける。内心「逆だろ」と、思いはしたが「なるほどねぇ」

          vs マルチ商法23人

          6月を歩く

          歩きながら、考え事をしている。 雨。昨日も雨なのに、今日も雨。「東京 天気」で調べると、15時から快晴になると、豪語していたのに、17時。雨。「止みなよ」と思う。まぁ、ギリ歩けそうな量だし、歩く。公園に生えている木も、水の飲み過ぎか、吐きそうな表情に見える。そういえば、いつからだろう。雨が「楽しくない」と思い始めたのは。雪はまだ楽しい。かなり楽しい。同じ濡れるタイプの天気なのに「今日、雨か」と、ネガティブなイメージに囚われている。次の予定の事を考え「濡れるのは不都合だ」と思

          寺にギャル

          炎天下。夕方。都会に追い詰められた鳥たちが、一堂に集まり爆音を立てている。そういう意味では、鳥はヤンキーなのかもしれない。 駅から真っ直ぐ、下町情緒溢れる参道が、寺に向かって伸びている。参道の入り口には、真っ赤な中華料理屋。1件だけ、世界観が違う。メニューの写真が貼り出され、日焼けで変色している。チンジャオロースが、チンジャオロースじゃ無くなっている。鶏ガラの香りが「ツン」とする。 参道。「いらっしゃい」が飛び交う。お気持ち程度、拒否の会釈をする。賑わいの声の裏に、鳴って

          寺にギャル

          Deep Local

          19:00。もう、だいぶ暗い。片側2車線の国道沿い。対向車のハイビーム。鬱陶しい。通りすがり、眉間にシワを寄せ、気付かれない程度、睨む。 田舎道を車で走る。左側にセリアが出て来た。住宅地に続く細い路地を挟み、ツルハドラック。次は木、そして少し空き地を挟み林、ココス、マック、小さいコメリ、軽く畑、またツルハドラック、森。「田舎だなぁ」珍しい物が何もない。「まじか、このユニクロ、駐車場がある」これは少し珍しい。 長く、味気のない道。国道沿いに、個人経営の店は無く、全国チェーン

          本日の主役

          「遠藤さん、今日の主役ですから、誕生日席に座って下さい」 マジで嫌だったので「いや、それだけは勘弁して下さい」と拒否したのだが「そんなそんな謙遜なさらずに」のテンションで誘導され、座る事になった。営業マンの粘り強さには、毎度「狂気」を感じる。 * 先日、得意先の担当者に「飲み行きましょう」と誘われた。僕は断った。僕は、酒を飲まない。「翌日具合悪くなる飲み物」を飲む意味が分からない。 断った理由は、それだけじゃない。正直、この人と今後関わる予定がない。なのでモチベーショ

          本日の主役

          罪悪感を食べる

          「とり軟骨の唐揚げ」を床に落とした。転がるそれを、じっと眺めていると、小魚が漏らした空気のように、コポコポと罪悪感が湧き上がって来るのを感じた。そして僕は、それを食べた。 * ほんの少し、腹が減った。「無理に食う必要は無いけど、抑える必要もないな」と、自分への言い訳を考えている間に、気が付くと、食券機のおつまみ欄をタッチし「とり軟骨の唐揚げ」を購入していた。 450円。PayPayを開いたが、残高不足。現金は、車に忘れて来た。たまたま残っていたLINE Payの、513

          罪悪感を食べる

          5月を歩く

          歩きながら、考え事をしている。 観光地。石畳の道。最近の車はどれも、エンジン音が無い。背後から忍び寄り、突然視界に現れる。心臓が「バクン」と1度鳴る。だが、この道はすぐ分かる。今まさに、後ろから、車が来ている。敷き詰められた石が揺れ「コトコト」と音を立てて近づいて来ている。道の左右を歩く、外国人観光客。彼らは、避けない。彼らの母国では「車が来た、避けなきゃ」という発想は無いのだろう。あまりにも落ち着いている。僕はそれを見ながら、即座に避ける。クラクションが怖いから、すぐに避

          悪魔

          僕の実家は、平屋。築50年の古い家。玄関を入ると、一直線に廊下。座敷と仏間を通り過ぎ、一番奥にあるのが僕の部屋。便所は真逆。最も離れた所にある。 今夜も、その時は突然訪れた。 僕はベッドに寝そべり、肘を立てながら、今週の「ピューと吹く!ジャガー」を読んでいる。面白い。余りに面白い。急展開する裏切りに、のけ反りながら笑った。しばらく腹を押さえた後、本に視線を戻す。 その瞬間、視界の端に、蠢く気配を感じ、壁に目線を送る。 奴だ。 「カマドウマ」。通称「便所コオロギ」。

          裏口入学、砂上のラブホテル

          山梨のキャンプ場。テントの準備をしていると、友人が手伝ってくれた。この友人は、キャンプ経験がほとんど無い。にも関わらず、なぜか紐の結び方が上手い。僕は、不思議に思ったが、特に何も聞かず、教えを乞うた。正直「もう一回やって」と聞いたはいいものの、何も入って来ていない。入って来ないというか、見えない。素早い。今、上から巻いたのか、下から巻いたのか、じっと見ていたはずなのに、分からない。なぜ見えない。多分、魔法だな。「頼む、もう一回」そう頼み、また、じっ見ている。彼は順番の説明を添

          裏口入学、砂上のラブホテル

          石鹸が増える

          嫁がタイ旅行から帰って来た。僕調べだが、彼女は旅行に行くと、必ず石鹸を購入してくる。「マンゴスチン石鹸」なるものが有名なタイ。行った日には、買ってこない訳がない。今回も、絶対に買って来ている。 以前、僕が台湾に行った時だ。彼女にお土産を頼まれた。内容は、山ほどの石鹸。計12個。デパートの4F、爽やかな花の香りがするフロア。買ったのは「良い匂いの石鹸」。別のデパート1F、高級ブランドが立ち並ぶフロア。女性客が沢山いる。香水の匂い。汚れたバックパッカー、俺。買ったのは「肌がツル

          石鹸が増える