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「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~ 」リメイク良すぎて引くほど泣いた話

映画で人生がかわるなんて話信じられないだろう?でも本当の話なんだ。どうか聞いてくれないか?

それは2011年。今からもう10年以上も前。今も青二才だが、もっともっと青二才だった私は、映画館へと足を運んだ。それは平日であった。真昼間のガラガラの映画館で前から2~3列目、ド真ん中の最高に良い席を確保した。

公開から随分と時間が経っており、一日に一回か二回しか上演しないような、そんな時期だった。隣にはたぶん付き合いたてのカップルがいて、仲良さそうに何か飲み物を持っていた。

あの映画館の雰囲気は本当に良いものだね。今は手軽にサブスクで映画が自宅で見れる。それも良い文明。
でも映画館の良さも知って欲しい。前後左右から重低音の音が響いて、普段では考えられないほどの巨大な画面が目の前にある。ラインの着信もない、誰かのピンポンもない。ただ、ひとつの映画の世界に没頭することのできる空間。そんな瞬きを味わうのも悪くない。

さて、今回の映画は 1986年に映画公開されたドラえもん鉄人兵団のリメイク。「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~ 」
30年以上も前の作品が蘇るこのドキドキ。リメイクや実写は賛否がわかれる。特にドラえもんは声優が一新してから色々あった。私は、ドラえもんの声優さん水田わさびさんが新ドラえもんに決まったときに『嬉しいよぉぉぉ』って大泣きしていたのを一緒に泣きながらテレビで見ていた。だから、誰よりも応援している。どんな批判にも負けて欲しくない。のぶよドラも、わさびドラもスキ。大好き!

そうそう、映画の話だった。鉄人兵団はその話の内容が私好みであるから期待を膨らましていた。是か非か、どちらにせよ楽しみで笑いが零れていたわ。思い返すとキモチワルイな自分。

たかがドラえもん、されどドラえもん…。結果、どちらだと思う?

約100分後の私は息も出来ぬほど号泣していた。そう隣のカップルが引くほどに(苦笑)いや、本当に心から泣くというのはこのこと。

この映画の話を知らない人に簡単なあらすじを書いてみた。

ひょんなことから出会った少女『リルル』は自分の星の奴隷にするために、地球人を捕獲する役目を持って宇宙からやってきた侵略者だった。

地球人捕獲計画を知ったのび太たちは、なんとか食い止められないかと、リルルが戦闘用に地球に送り込んだ巨大ロボットのジュドの心を利用することにした。頭脳と言われる丸いボールのような物体が話す言葉は、どうもわかりにくい。ドラえもんは道具で見た目をひよこ型ロボットにした。そしてピッポと名付けた。顔はかわいくも人間を下に見て、のび太たちに挑発的な態度を取るピッポを疎ましく思う。到底仲良くなどなれなかった。

そんな中、ピッポはリルルが事故により鏡の中の世界に閉じ込められたことを知った。ピッポは昔、壊れて捨てられる直接にリルルに拾われ助けられた事があり、絶対に助けたい一心でのび太たちと仲良くなるフリをした。
最初はフリだったが、のび太の優しさに徐々に心開いていく。人間は悪い人種だから、奴隷にしても良いと言われていたピッポの心はかき乱される。

一方で、しずかは事故で怪我をしたリルルがロボットであると知る。そして、全てを承知の上で治療をした。なぜそのようなことをするのかリルルはわからなかった。黙っていれば、侵略されないのに、なぜわざわさ敵である自分を治療したのか。

のび太やしずかに心動かされ、リルルとピッポは祖国に反旗を翻す。ピッポは祖国が地球を侵略しようとするのを防ぎ、守るために戦った。ボロボロになっても止まらない。リルルは三万年前に行き、祖国の最初のロボットを作った博士の元に行く。そして、最初のロボットを改造して欲しいと頼む。途中で博士の寿命が尽きてしまうも、その続きをリルルは行う。
でも、そのリルルの行いは歴史をかえることを意味していた。地球を侵略しようとする敵たちはもちろん、リルルもピッポも消えてしまう。それでも、二人は自分が正しいと思ったことを貫いた。そして、消えた。

「その名前大好きだよ」
「お友達になってね」

優しさにあふれた世界過ぎて涙が止まらなかった。いや、正直に言おう。コレを書いている今も泣いてる(笑)

その理由はピッポ。あのヒヨコ。

特にクライマックスで、ピッポとのび太が語り合うシーン。葉っぱが落ちてきたことに驚くピッポに、のび太は「やーい弱虫」っとからかう。それに怒ったピッポは、「明日になったら鉄人兵団が地球に到着して、お前らなんかやっつけちゃうんだからな!」みたいなことを言うんだ。それにのび太は、まじめな顔して「ピッポと戦いたくないな…。」って。そのあと、ピッポ号泣するんだぜ?子供みたいに、うわぁあああんって。それでのび太の胸をどんどんと叩くの。

ピッポ、戦いたくなかったんだよ…のび太達と。ほんの数日の触れ合いが楽しかったんだよ。大好きな歌を歌うことが出来て嬉しかったんだよ。のび太の胸をどんどんと叩くその仕草で、ソレらがどうしようもなく私には伝わった。

のび太、おまえが悪い奴ならこんなに苦しくなかったのに。

結果、地球を救ったけどピッポが助けたかったのはのび太だと思う。そして、リルルが助けたかったのはしすかだと思う。

二人共、本当は地球なんてどうでもと良かったのかもしれない。でも、二人の友達や家族が死んだら、のび太が、しすかが悲しむから鉄人兵団を消すことに手を貸した。

それは二人の最後のセリフからもわかる。

のび太は消えていくピッポに理由もわからず、名前を呼ぶ。ピッポはそれに答えるように笑って「その名前大好きだよ」って言う。のび太が付けてくれたピッポって名前が、本来持っていたジュドって名前より、大好きだって。そんな愛の告白卑怯だろ?私も大好きだよピッポ!!!

リルルもリルルでさ、しすがに「今度は天使にうまれかわるから」「お友達になってね」って。自分がしてしまったことの過ちを悔いてる。もうとっくに友達になってるのに、友達になってねって言うの切なすぎるでしょう。もう絶対にうまれかわってくれよ!うまれた瞬間に友達だよ!!!

二人の友情以上の想いが、私の胸をいっぱいにした。ぶっちゃけると、死にネタは泣くに決まってる。愛する人との永遠の別れなんて悲しいに決まってるから、だから死にネタは号泣感想からあえて外しているくらい。いや、ドラえもんとクレヨンしんちゃんは例外。この二つはなぜかな、子供の頃から見てるからかな?どうこらえても泣いてしまう。心が、動いてしまう。

そして、何よりストーリーが最高。藤本先生は天才だよ。
人間が嫌いな博士が理想の世界を作ろうと二つのロボットを作った。ロボットは増え続け、そのうち階級が出来た。でも階級は悪い事だから廃止と決まったが、新たな奴隷が必要。だから、人間を捕まえようというのが地球を侵略しようとした理由。人間は過ちを何度でも繰り返す。三万年という長い月日を経てロボットも同じことを繰り返し始めた。こんなに刺さるテーマある?

しずかも言っちゃったしね、『人間と同じことを繰り返して、神様はがっかりしたことでしょう』ってね。でも、本当にその通り。何度でも言っちゃう。その通り、繰り返してしまうんだ。愚かだね、人間は…。いや、ロボットでさえも。あと数百年後には冗談でなくて同じような戦争が実際に起こりそうな気がする。滅んで、立ち上がり、再生し発展し、また滅ぶ。
それが人間のサガなのかな。

じゃあ、この映画で私の人生の何がかわったかって?
ははは、まごうなきオタクへと進化していったのサ。それまでは本の虫であった私が映画の虫にもなってしまった。毎月15本も映画見て、20本以上映画をレンタルするなんて狂気の沙汰でしょう。エンタメというものに惚れちまったのだ。

随所、随所でいってるけど人の心を動かす物語を私は作りたいんだ。
今のエンタメは良いものもあるが、悪いものもある。少し前に問題になった原作者を蔑ろにした実写化ドラマは、まさに悪いものの象徴。あの人たちも仕事だ。多くのドラマを放送しなければならない。売ってくれと言われれば、新人の俳優を使わなければならないこともあるだろう。それは営利団体なら仕方のないこと。
でも、やっぱり感情は大切にして欲しいとひとりの映画オタクは思うのだ。物語の登場人物は作られたキャラクターだけど、生きてる。物語の世界で生き続けている。
その心をぐちゃぐちゃに、しないでくれ。架空の物語であっても人は人。感情のある生き物なんだよ。それを大切にしてくれれば、そんなにオカシナ話にはならないハズなんだ。

どうか、エンタメ業界よ。見失わないでくれ。今後も良い作品を出し続けるために、その魂を揺らして欲しいと心から願う。

#映画にまつわる思い出


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