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精神疾患患者の周りの人たちも同じくらい苦しい現実。

私はうつ病当事者。今年で初診から5年になる。鬱の時期は4年間あった。
去年の4月に抗うつ薬と抗精神薬を減薬、眠剤はゼロに。同じ4月に障害者手帳の等級が2級から3級に。その後抗精神薬もゼロに。
今はもうすぐ減薬1年となる抗うつ薬1錠のみで障害者雇用の社会人をしながら一人暮らしをしている。

順調に見えるかもしれない、「琴音は良くなっていいな」と思われているかもしれない。
でも、私はここまで来るのにそれなりの地獄を経験して沢山努力した。とんとん拍子な訳ではない。

大学中退した日にバイト先がいきなり倒産して次の日からいきなり無職になったり。
企図や自分を傷つけること(刃物も薬も)も沢山したし救急隊や警察官が来たり。
精神科の閉鎖病棟や保護室に入院したり。
夜職やったり男遊びしたりお酒飲んで朝帰りしたり。

その当時はこの世から消えたかった。
でも、鬱から脱却した今考えると
『自分で自分を不幸にさせていた』

鬱の時の当事者の思考

(以下、うつ病当事者の方は読まない方がいいかもしれません)

鬱の時は、とにかく思考が偏っている。0−100思考・白黒思考と言われるやつだ。

なぜこの思考はなかなか改善されないのか。

鬱の人ってある意味自己中なのだ。「鬱の気持ちは鬱の人にしかわからない」とか「死ぬなって言うなら助けてよ」とか。私もよく言っていたなあ。
健常者(特に当事者の近しい人)の言葉に対して聞く耳を持たない。
つまり「自分(当事者)の考えが絶対正しい」という、ある意味自信を持った考えでいる。

だから、主治医はもちろん家族など周りの意見を聞かない。そして良くならない。
私は鬱から脱却してようやく「鬱期に言われていた周りの意見は一理あったんだ」と気付いた。

「鬱は鬱の人にしかわからない」が加速、そしていわゆるSNSの『闘病界隈』は広がる。鬱同士で繋がる世界。
今の私は思う、あの世界に足を踏み入れたら治るのは数年・数十年延びる、と。
実際私はあの世界に入ったから治療が難航した。主治医と家族は当時「SNSから距離を置いてほしい」という理由で私を入院させた。その時の私はものすごく怒っていたけれど、今は主治医と家族の意見が正しいと思う。
あの世界がある限り自分を傷つける者は減らない。なんなら自分を傷つける方法を知る人たちが増えていく。
あの世界は負のループであること、それを当事者の周りは感じている。
でも先にあげたように当事者は聞く耳を持たないから気付いてくれない。
そりゃあ、鬱が治りにくいのも当然だ。

頑張っている『フリ』って

よく鬱の当事者はいう。
『しんどくても頑張っている「フリ」をしているんだよ、笑顔を作っているんだよ。』

当時の私も同じことを言っていた。
でも、今はそうじゃない。

頑張っている「フリ」をしろなんて誰が言った?
「フリ」をしなければいいだけ。自ら勝手に「フリ」をしているだけ。
「YES・NO」を素直に言えばいい、それで嫌われたり職場クビになっても、全人類があなたを嫌っている訳ではない。


薬の過量摂取

いなくなりたいから、楽になりたいから、意識なくしたいから、心配されたいから
色んな理由で過量摂取をしている人たちがいる。

でもその行動は「自分で自分をさらに苦しめている、不幸の道に進んでいる」。
私もあの行動をしていた時があるから気持ちは分かる。一度ハマったら辞めるのがきついのも分かる。

でも早く良くなりたい幸せになりたいなら、薬は用法容量守るべきだし、そういう行動していることを主治医に素直に話すべき。

簡単にはこの世からいなくなれない

私も何度も企図をした。
でも、いなくなるのは簡単ではないしそれなりに苦しいし、なんか諦めた。

今私は大きな病院で働いている。
よく朝のミーティングで「昨夜○階病棟の〇〇さんが亡くなりました」とか、電カルで調べると赤字で『死亡』と書かれていたりとかする。
亡くなっていなくても、病院に来る人は苦しいから良くなりたくて元気になりたくて来院している。それで亡くなる人もいる。
それなのになぜ私は今まで自らいなくなることを望んでいたのか。

「生きたくても生きられない人もいるんだよ」って周りの人がいうことを、鬱期の私は嫌っていた。
「私の気持ち分からないくせに!!!」って怒っていたなあ。
でもさ、実際この「生きたくても生きられない人がいる」しか言えないよ。それで反発されても「そういうことではなくて…」となる、分かるよ今の私なら。

鬱を持つ患者を支える人たちへ

鬱をどん底まで存分に経験し、そして脱却した私から言えること。

鬱を支える周りの人たちは鬱当事者の気持ちを分かろうとしなくていいのです。
分かってしまったら、あなたも鬱ということになります。

分からなくて当然、分からなくていい。

支える人たちは苦しいと思う、でもどうか「分かってあげられない」などと自分を責めないで。
傷つくのは当然。苦しいのも当然。

見守ろうと思っている、その気持ちだけであなたはとっても素敵な人。
でも離れていくのも「自分を大切にする」とってもいい人。
あなたは、精神科医や心理士ではない、プロでもないただの一般人、だから尚更分からなくて当然。

とにかく、あなたまでも苦しむ必要はないから。

琴音

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