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Beyond The Reading

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本を読む先にあるものって、なんだろう。
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#おすすめ本

日本辺境論、を読んだ。

日本辺境論、を読んだ。

人様にご紹介いただいた本は、できるだけ読むようにしている。毎回購入はできないので、まずは図書館の蔵書を確認。お借りしてグッとくれば改めて購入し再読を繰り返す...。そんな読書ライフを満喫。

とはいえ、今回ご紹介する内田樹先生のような「超名著・超量産機」みたいな人は、内容がどれほど素晴らしくても経済的に破綻するリスクがあるので慎重になる。私が高野秀行さんの作品を所有しないのはこの理由から。

さて

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クオリティランド、を読んだ。

クオリティランド、を読んだ。

恋人や趣味までアルゴリズムで決定される究極の格付社会。役立たずの主人公が欠陥ロボットを従えて権力に立ち向かう大ベストセラー。

ネタバレになりそうなコメントは一切控えるが、ディストピア小説であれば夭逝が惜しまれた伊藤計劃氏のハーモニーが筆頭に挙がる。本書はシリアスな話題でありつつも、ユーモアが散りばめられ読む人を飽きさせない。

実社会で人々をスコア化するというシステムは、中国の芝麻信用で既に実装

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東京の生活史、を読んだ。

東京の生活史、を読んだ。

遂に読了、1216p。

150名にも及ぶ語りを、ただひたすら聴取し文字に起こし編まれたもの。読書から実益的な見返りを求める人には、全くオススメできない。特にタイトルから社会学的な何かを期待していると、自分のように肩透かしを喰らう。

出版社からのコメントが本書の説明ズバリなので引用する。

これだけの大作は「読んだことがある」という経験を得るだけでも十分だろう。それは登山になぞらえれば、最もメジ

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冬の旅、を読んだ。

冬の旅、を読んだ。

角幡唯介さんの極夜行前の後に読みたくなり手にしたのはこちら。

あらすじはこのような感じだ。

今回が2回目となるが、前回読後に自分が何を感じていたのか確認をしてみる。

なるほど、自分は著者が選択したアプローチ(手段)に反応していた。これは本多勝一が提唱し、角幡唯介さんが本多氏から被爆したというパイオニアワークの理論に著しく影響を受けてのことだろう。

***

今回自分が感じたのは、舞台となっ

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アルゴリズムの時代、を読んだ。

アルゴリズムの時代、を読んだ。

テクノロジーが大好きだが、手放しでは受け入れない。

影響力とアルゴリズム、データとアルゴリズム、正義とアルゴリズム、医療とアルゴリズム、車とアルゴリズム、犯罪とアルゴリズム、そして芸術とアルゴリズムの構成。具体事例も紹介され非常〜に読みやすい。

毎度、ウィキペディアで調べてみると、

アルゴリズム(英: algorithm)とは、「計算可能」なことを計算する、形式的な(formalな)手続きの

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諦めの価値、を読んだ。

諦めの価値、を読んだ。

とても見込みがない、しかたがないと思い切る。断念する。とある。

諦めると聞くと、何やらネガティヴなイメージを持たれるかもしれない。冒頭にある通りに、調べてみると「何かを途中でやめる(やめてしまう)」という意味合いを汲みとることができる。

いっぽうで、このような解釈もある。長くなるが大谷大学のHPから引用したい。

「諦観(たい(てい)かん)」、「諦聴(たい(てい)ちょう)」といった熟語の「つま

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本の読める場所を求めて、を読んだ。

本の読める場所を求めて、を読んだ。

読書という行為ではなく、本を読む場所について考察するユニークな内容。

読書とはなにか、これからの書店のありかたとは、などをテーマにした本は数多く手にしてきたが、「本を読む場所」について深く考えることはなかった。著者の阿久津さんは「fuzkue」というお店(場所)を運営している。

サイトのつくりも素晴らしく、機会があれば是非一度は出かけてみたいと思う。

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自分が本を読む場所は自宅だ。昨

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狩りの思考法、を読んだ。

狩りの思考法、を読んだ。

我らの角幡唯介さんの待望の最新作である。

2018年に出会い熱心なフアンになってから、著作は全て拝読した。同じ作品を何度も何度も拝読し、角幡さんが読んだという本も精読。自称、日本一の角幡唯介ファンである(非公式なファンクラブの会長を拝命している)。

本作はこの数年、精力的に通っているグリーンランドでの活動をまとめたものだが、ただの活動報告記ではない。題名にある通りに「狩猟という行為」を通じて人

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帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

帰還兵の戦争が終わるとき、を読んだ。

自分は戦争に行ったことがない。これからも行くことはないだろう。日本国憲法第9条により、日本国民は戦争への参加が禁じられているからだ。しかし、何か起こるかわからないご時世である。こちらを読み終えた。

イラク戦争に参加した米軍の退役軍人が、癒されない深い心の傷に苦しむ。不合理に奪われた仲間や民間人の命。彼らを最も苦しめたのはモラルインジャリーだった。

戦争から帰ってきた兵士に見られた精神的な症状を

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建設機械の本、を読んだ。

建設機械の本、を読んだ。

ブルドーザーにショベルカー。子どもの頃に憧れた重機たちだ。

雑学王になりたいわけではないが、どういうわけか日常生活で直接的に関係のない(わかりやすく言えば役に立ちそうにはない)分野の本が、ものすごく気になる。鉱脈が眠っているのではとワクワクしてしまうからだ。

読書を始めた2017年の頃には、いわゆるハウツー本やスキルアップ本を夢中になって読んでいたが、ある程度の物量をこなすと急に興味がなくなっ

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何者かになりたい、を読んだ。

何者かになりたい、を読んだ。

自分らしさとは、なんだろうか。

図書館で偶然に手にした1冊。タイトルを見て思わずドキリとしてしまい、恐る恐るページをめくるが、ありきたりな自己啓発本ではないようで、安心して有り難くお借りし拝読した。

承認欲求、自分探し。人々の欲求は飽くなきものである。ここnoteでも何度か言及しているように、隣の芝生どころか地球の裏側の芝生の青さまでも見えてしまい、羨ましくて仕方なくなるのが現代人の悲しい性(

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チョンキンマンションのボスは知っている、を読んだ。

チョンキンマンションのボスは知っている、を読んだ。

HONZのノンフィクション選書集で拝見し、手にした1冊。

文化人類学者の著者が、重慶大厦で独自のコミュニティを形成し逞しく生きていくタンザニアの出稼ぎブローカー”カラマ”に密着。彼らの独特のビジネ観、相互扶助の価値観を読み解いてゆく。

前半はカラマの超テキトーな性格に呆れつつ、彼らの波瀾万丈な人生を紹介。後半は文化人類学と社会学的な考察から鋭く迫る。

「ついで」が構築するセーフティネットは、

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マチズモを削り取れ、を読んだ。

マチズモを削り取れ、を読んだ。

武田砂鉄さん、まだ彼のラヂオを拝聴したことがない。

地元の図書館では割合早めに新刊が蔵書されるので非常に有難い。とはいえ、買わずに読んだ本を一丁前に評するという行為が毎度後ろめたい。さておき、今回も砂鉄節炸裂!という感じであっという間に読み終える。

マチズモ。聴き慣れない言葉かもしれない。毎度のごとく調べてみよう。

ラテンアメリカで賛美される「男らしい男」を意味するスペイン語のmachoから

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暗号資産の基本と仕組みがよ〜くわかる本、を読んだ。

暗号資産の基本と仕組みがよ〜くわかる本、を読んだ。

ビットコインと聞いて、どのようなイメイジをお持ちだろうか。

ビットコインは、2008年にサトシ・ナカモトという名前を使った無名の人物またはグループによって発明された、Peer to Peer型の暗号通貨である。この通貨は、その実装がオープンソースソフトウェアとして公開され、2009年に使用が開始された。 *ウィキペディアから

以前から気になっていた暗号資産、仮想通貨、そしてNFT、NFTアート

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