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クオリティランド、を読んだ。

恋人や趣味までアルゴリズムで決定される究極の格付社会。役立たずの主人公が欠陥ロボットを従えて権力に立ち向かう大ベストセラー。

超監視社会を風刺的に描いている点はむろんジョージ・オーウェルの「1984」を想起させるが、後半ではどこか「オズの魔法使い」を思わせる冒険が繰り広げられる本書は、いうなれば「愉快なディストピア小説」だ。

*訳者あとがきから

ネタバレになりそうなコメントは一切控えるが、ディストピア小説であれば夭逝が惜しまれた伊藤計劃氏のハーモニーが筆頭に挙がる。本書はシリアスな話題でありつつも、ユーモアが散りばめられ読む人を飽きさせない。

実社会で人々をスコア化するというシステムは、中国の芝麻信用で既に実装されているので、本作のテーマは全くの絵空事でもなんでもない。ディストピアは確実に我々の日常に忍び寄っているのだ。

我らの角幡唯介さんが提唱していた脱システムに通底するものがあるので、特にファンクラブ会員各位には推奨したい1冊である。

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